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【日本経済新聞要約・考察】第1回 イラン米基地へ報復攻撃、円買い加速

※本要約・考察は2020年1月9日の日経新聞の記事をもとに書いております。

〈要約〉

8日のニューヨーク外国為替市場での円相場は急落し、109円台まで売られた(下げ幅は1円50銭を超えた)。イランによるイラク駐留米軍基地への報復攻撃をきっかけにより一層中東情勢が緊迫すると考え、安全資産である円を買う人が増えるのは必然ではある。しかし、High Frequency Trading(HFT)はこの中東情勢の緊迫は「既知の事項」であり、報復前から既に市場に織り込まれていた。先回りして買った円をHFTは持ち高整理の売りを続けたため、円強気派は円を買っても中々相場が上がらなかった。そんな中、円強気派のさらなる向かい風となったのがイラン外相の「戦争を求めていない」との発言やトランプ大統領の「我々の軍事力を行使したくない」などの発言だった。中東情勢を巡る懸念が和らいだことから米国債相場と円共に反動安(利回りは上昇)が生じた。そしてそれに伴い相次いで欧米市場での円売りドル買い注文が増えた。
年始早々急変動を示した為替レートだが、将来の為替レートを予測する通貨オプション市場での予想は前日より1%少ない5%前後の変動率となっており、「底辺同率相場」が復活しそうである。

〈考察〉

今回の中東情勢を三つの観点から自分なりの考察を行うとすると、「原油と円高」「『戦争を求めていない』の根拠」「HFTの予測力」だ。

1. 「原油と円高」

中東情勢の悪化懸念から年始からNY原油は昨年7月以来の1バレル60.09ドルとなった。輸出国である日本にとっては原油価格の高騰は望ましくない。加え、そこに円高となってしまうと輸出企業にとっての負荷はさらに増す。実際、1月3日に1ドル108円前半を記録したと同時に日経平均株価は暴落した。
そのような点を考慮すると、私は今回の記事の円強気派は同時に日経平均のショートや円債の購入をしていたのか、それともリスクヘッジを行うために日経平均を買っていたのか興味がある。


2. 「『戦争を求めていない』の根拠」

世界が注目する中東情勢において、戦争への懸念が大きく取り上げられる。そのため、トランプ大統領やイラン外相の発言は本心なのかでマーケットの変化も大きく変わってくる。その中での今回のイランによる報復攻撃は死傷者を出さず、イラク在中米軍基地の機能性を落とすだけの攻撃となった。最低限の武力行使でかつ最大限の報復を実現できた(https://www.bbc.com/news/world-middle-east-51042156)。そのため、今後の発展は限定的だと考えられ、市場における先行き不透明感も払拭されるのではないかと考えられる。

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(フロリダ州の上院議員のマルコルビオ氏の発言を見ても、今回のイランの報復攻撃は米国の武力行使の引き金にはなり難いと考えられる)

3. 「HFTの予測力」

金融市場またそれに付随するテクノロジーの知識のない人間として、HFTを含めたコンピューターにはこのような予期せぬ事態への対応力は限定的だと考えていた。しかし、今回のイラン情勢の緊迫が「既知の事項」であったことに驚いた。実際2日前の記事 

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では「イラン関係の悪化がHFTの動きを止める…」と記載されており、HFTにも限界があるのではないかと勝手に考えていた。加えこの記事では「円買いの勢いを削いだ」と記載されており、この時点から円売りを進めていたのである。
今後相場の変動率を抑えるHFTの存在は重要なほか、金融市場に与える影響が次第に大きくなっているトランプ大統領の動きをどう予測するかには1年間おっていきたいと考えている。

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