ピンチをアドリブで乗り越える技 48/100(役との距離感)
自問自答を繰り返しながら、
アドリブと演技の関係を
追求していってみようと思い立ちました。
100回(?!)連載にて、お送りします。
昨日は、「己」についての話をしました。
その「己」があった上で、場面によって私たちは、見せる顔を変えているのですが、どうすれば、それを無理なく行うことができるのか?
というお話をしようと思います。
ピンチに陥った時、場合によっては、この見せている顔を変更する必要があるかもしれません。
「いつもより積極的な自分」
「より謙虚な自分」
「自信がありそうな自分」
など、ピンチの状況によって変わってくると思いますが、私たち役者がキャラクターを変えるように、
見せる表情を変える、というような異なるアプローチを選択することによって、ピンチから脱することもできるかと思います。
でも、いろんな顔を持つのって疲れますよね?
精神的にもシンドイです。
私たち役者の場合は、通常まず台本を渡されます。
その上で、役作りをする時に、台本に書かれている人物像と、自分との距離を考えます。
どこまで共感できる人物か、というのもあるのですが、自己認識している自分像と似ている場合は、距離が近い。
逆に大きく異なっている場合は、遠い。と捉えます。
遠い役は、それを身につけるのにもより多くの時間を必要とします。
そのため、役作りにかける時間が短い時には、台本に書かれている人物像よりも、もう少し自分に寄せた役柄を選択するか、過去に身につけている役柄の使い回しをせざるを得ません。
(大きなハリウッドの映画でも、キャスティングが決まってから撮影開始まで1週間ない、なんてこともよくあります!)
即興の場合は、どうしても自分に近い役柄を選びがちですが、前述のように過去に身につけた役柄を使ったり、役作りのためのツール(重心や、癖、動物など)を用いて対応します。
このようにして、自分とは違った人物を演じるには、「己」が定まっていないと、どこをどう変えれば良いのか分からなくなり、迷子になるわけです。
皆さんの多くは、おそらくこれを無意識に行なっているので、ふと気がつくと「己」を見失ってしまった、というようなことが起きてませんか?
この「己」を自己認識するというのは、非常に難しいことなので、その過程を踏まずに、別人格を身につけようとするのは危険だと思います。
実際、わたしもある長い期間、本来の自分とは違ったタイプの人物を演じようとした時に、相当のストレスを感じてしまった経験があります。
「遠い役柄」を演じる、というのはそれだけ難しいことです。
一つのご提案として、
異なったキャラを装うのではなく、自分の「ある一面」を、強調して見せる
という方向性で、捉えてみるのはいかがでしょうか?
人格(役者でいうところの役柄)を変化させるのではなく、一定の人物像の、異なった側面だけを強調して表現する、という考え方です。
これを目標にした時に、生きてくるのが、
これまでご紹介してきた様々なツールです。
(今日はちょっと、まとまりのない文章になってしまいました。もしかしたら同じ題材を後日書き直したほうがいいかもしれませんね。
こういう調子の良くない時でも、一定のパフォーマンスを出すことが出来るのが、プロだと思っているので、やはり自分は、物書きに関してはプロじゃないな、と実感する回となってしまいました。
乱文お許しください。)
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