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ピンチをアドリブで乗り越える技 26/100(エネルギーの出し引き)
自問自答を繰り返しながら、
アドリブと演技の関係を
追求していってみようと思い立ちました。
100回(?!)連載にて、お送りします。
存在感を消したい時
ピンチにも様々な種類があると思います。
こちら側の人数や、相手の性格によっては、まずは存在感を消して後方に下がり、様子を伺った方が賢明だという場面もあるかもしれないと思い立ちました。
これまでは、精力的に状況を変えることを試み、攻めの姿勢でピンチを乗り越える提案をしてきましたが、時にはその逆が求められる時もあるかもしれません。
「押してダメなら、引いてみろ」
と言われますが、引くことも時には必要です。
『存在感を消す』というタイトルからは話がそれますが、「引く」といえば、相手に聞いてもらうための話し方ってなんだと思いますか?
大きな声でハキハキ、ゆっくりと噛み砕いて話すと、人は聞いてくれない傾向にあります。
「あ、ちゃんと分かりやすく話してくれてる。」
と思うと、脳が無意識に受動的になってしまい、能動的に聞く、という姿勢でなくなってしまいます。
「ん?なんて言ってるの?ちゃんと聞き取らなきゃ。」
と思わせるほうが有利です。
イギリスの演劇、とくにシェークスピアなどの古典では、一文の中で強調するのは一単語、あとは流すように素早くリズムに乗せて、スラスラと言うほうが良いとされています。
こうすることで、観客の脳内を能動的にするばかりでなく、全体のイメージを掴みやすくしつつ、重要な単語だけは鮮明に浮かび上らせることができます。
能狂言でもこの「引く」ということを、演目の冒頭で行います。
実際に「一足引く」んです。
狂言の一般的な始まり方として、一人の登場人物が現れ、無言でゆっくりと橋がかりという、長い廊下のような舞台を摺り足で歩いてきます。
そして観客の方に身体を向けて、またゆっくりと舞台の前方へ歩き、観客の方へ歩み寄ります。
この時、劇場全体の空気を押し出すようなイメージで前へ進むようにしてます。ともすれば観客が圧倒され、座席の背もたれへ押し込まれると感じるぐらいに。
そこで演者は、ふと、「一歩後ろへ引く(下がる)」
ということをします。
こうすることによって、ひいていた観客が逆に、ふと、前のめりになる、という効果を狙っているんです。
存在感というか、エネルギー(25/100参照)の出し引きをコントロールして、観客との綱引きをするようなイメージでしょうか。
話を元に戻しましょう!
存在感を消すときは、このエネルギーを内に込めます。
気づかないうちに隣に立ってる人とか、大勢の中で全然気が付かない存在の人っていますよね?あれを試みます。
私は忍者をイメージするのですが、たまに遊びで、存在感を消してみたりしてます。スイッチを入れたり切ったりするように。
(大概見つけられた時にびっくりされて叱られるんですが…)
具体的には、これまでお話ししてきた内容の真逆を行えばいいのです。
まず、海苔巻きは、前方へ垂れるようにします。(3/100参照)
呼吸はわざと浅くゆっくりにします。(4/100参照)
身体は細くする(18/100参照)ために、膝と膝をつけたり、両手を前で重ねてもいいかもしれません。
目線はぼやかし、1、2メートル前方へ向けます。(9/100参照)
『三つの輪』で言うと、『ひとつめの輪』の状態となります。(10/100参照)
なかなか習得するのは難しいと思いますが、このエネルギーの出し引きが出来るようになると、何かとお役に立つと思います!
ピンチに陥った時、相手との非物理的な距離感、関係性を自在に操る余裕があるといいですよね。
そういえば、芸能人ってオーラがあるとか言いますが、私の実感としては、オーラを出せる人って、消すこともできる人なのでは?と感じます。
四六時中オーラ全開な人なんてなかなか居ませんから、あれは意識的にせよ無意識にせよ、出してるのでは?
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