はじめの1歩を応援するTHE CAMPUS FLATS Togoshiでできること
2023年8月、品川区・戸越に賃貸住宅「THE CAMPUS FLATS Togoshi(ザ・キャンパスフラッツ トゴシ)」がオープンします。コンセプトは「プロトタイプする暮らし」。住居の他に、8つのスタジオを備えたこの施設では、「いつかやりたかったこと」を実験しながら暮らすことができます。THE CAMPUS FLATS Togoshiについて事業企画/立上げを担当したコクヨの鷲尾有美さん、荒川千晶さんのおふたりにお話を伺いました。
コクヨが提案するライフスタイル
ーー7月に開業する賃貸住宅「THE CAMPUS FLATS Togoshi」は、どのようにして生まれたのでしょうか。
鷲尾有美(以下、鷲尾) コクヨは、ファニチャー事業、ステーショナリー事業、そしてビジネスサプライ事業を展開していますが、暮らしやライフスタイル領域においても新規事業の軸を築きたいと考えていました。2年前に検討チームが発足し、社会課題や、自分たちの等身大の課題意識にも合致し、事業として収益を上げられるかを検討しました。その結果、働いたり、学んだりすることが、暮らしの中でもっと混ざり合うような機能が重要だと気づきました。それで「フラッグシップをつくってみよう!」となったときに「戸越にちょうどいい施設がある!」と気づいて。
ーーもともと社員寮だったのですよね。
鷲尾 そうですね。コクヨは大阪が本社なので、東京に単身赴任する社員専用の寮で、実はそこまで稼働率が高くない建物でした。
ーー今回取材できている品川の「THE CAMPUS」とコンセプトが近いということでしょうか。
鷲尾 「THE CAMPUS」は、自社オフィスを街に開いて、多様な価値が混ざり合う豊かな場となることを目指しています。子供向けのイベントを開催したり、「働く」という機能しかなかったオフィスに、他の機能を混ぜ込んでみました。地域の人々にとっても居心地の良い場所になっていると思います。「THE CAMPUS FLATS Togoshi」は、その郊外版という位置づけです。
利便性が高い戸越という場所で
ーーTHE CAMPUS FLATS Togoshiがある戸越公園はどんな場所ですか。
鷲尾 戸越のような郊外住宅地は「働いたあとに、寝に帰る」という機能に特化されていることが多いですが、そこにもう少しいろいろなものが混ざったら面白いと思っています。「働くこと」や「学び」などを暮らしの中に組み込んでいくことができる余白のある街の一拠点になればと思います。
荒川千晶(以下、荒川) THE CAMPUS FLATS Togoshiの最寄り駅は戸越公園駅です。戸越界隈には5つの商店街がありますが、お年寄りが多いイメージがあるかもしれません。しかし、交通の便が良いため、実際にはお年寄りだけでなく、ファミリー層や若い方も多く住んでいます。商店街の方々に教えてもらったのですが、戸越公園の周りの商店街には昔ながらの方もいれば、30代、40代で新しく店舗を始めた方もいらっしゃるそうです。ポテンシャルの高い街なので、THE CAMPUS FLATS Togoshiをきっかけに、街のみなさんと一緒に新しい流れを作っていけたらと思います。
新しい一歩を踏み出す人に
ーーTHE CAMPUS FLATS Togoshiではどんなことができるのでしょう。
鷲尾 1階と地下1階はパブリックゾーンで、フードスタンドがあったり、街に面するところです。商店街に向いた“顔”なので、誰でも立ち寄りやすい場所になるようにしています。地下には8つのスタジオを備えており、フィットネススタジオやクッキングスタジオ、配信用のスタジオに加えて、ビューティースタジオ、カウンターのあるバーのようなスナック、ポップアップショップ、1on1ができるスペースもあります。
ーー誰でも使用できるのでしょうか。
荒川 はい。「街の中のキャンパスのような混ざりあう場所」にしたいと考えていまして、入居者だけでなく、街の人も使えるようにしています。例えば「ヨガの先生を週末だけやってみたい」というときに地下のスタジオを借りたり、パン教室を開いてもいいですし、週末だけレモンサワーを出すスナックをやったり。いろいろな機能が包含できるスタジオを準備しました。飲食店の営業許可を取得したキッチンがあったり、壁一面が鏡貼りになっているスタジオにしたりと、事業や副業をはじめるハードルになりそうなことをクリアし、気軽に挑戦できるようにしています。
ーー店舗を借りたり、設備を整えたり、資格を取得したりするための費用がかさむイメージがありますが、「本当にやっていけるのか」という生活不安から踏み出せない人も多いと思います。ここに住むことで、チャレンジのための土台が与えられるというのはとてもいいことですね。
荒川 人生100年時代と言われて生き方も多様化しています。会社に就職して一生勤めるというビジネスモデルは崩れつつあります。だからこそ、途中で、1回、チャレンジをしてみてもいいと思います。だから、なかなか一歩が踏み出せない人、どういうふうに将来を過ごしていこうかと模索している人に入居してもらえたら嬉しいです。ここに住むことで、新しい人脈を築いたり、新しいスキルを身に付けたりして、次に別の場所で挑戦する気持ちになってもらえたらいいと思います。
ーーここでの経験を次に活かしてもいいわけですね。
荒川 そうですね。「ビジネスで成功した」ということよりも、何かを試したり、ここで出会った人と何かをしたりすることが重要だと思っています。人生の中で、そういう経験をたくさん積むことが大切だと思います。新しい人生をプロトタイプとして作りたいという人には、ぜひここに住んでもらいたいです。
ーー自分はまだはっきりとやりたいことがあるわけではないけれど、面白そうだから入居してみたいという方でもOKですか?
鷲尾 もちろんOKです! 毎日、面白いことが起きる場所なので、身近でチャレンジする人を見ながら、自分でも考えてみたり、話を聞いて考えてみる、というニーズもあると思っています。
ーーすでにコクヨの社員の方も入居希望者もいるとか。
荒川 そうですね。ポップアップで日本酒を売りたい方や、スタジオでお笑いライブを開催したい方など、社内でも募集をかけたところ、すぐに手が挙がりました。最初はコクヨの社員が実験台となって、積極的にプロトタイプをお見せしていきたいと思っています。
ーー住居の部分でも、敷金・礼金、水光熱費や通信費もお得なのもありがたいですね。全居室にはACTUSの家具もついているのもいいですよね。
鷲尾 デザインされた空間に、身ひとつで住むことができます。
ーー快適な暮らしができそうです!
鷲尾 この施設を「シェアハウス」と思われる方もいるかもしれませんが、シェアハウスというよりも、ワンルーム賃貸にスタジオやイベントができる機能がついたイメージです。ウェットな人間関係というよりは、出入り可能な開かれたコミュニティを築き、自分の時間もほしいし、自分の挑戦もしたい人が快適に過ごせるような場所にしていきたいです。
「つながる」ことで生まれる化学反応
ーー入居者同士が「つながる」ための“仕掛け”はありますか?
荒川 入居者の「やりたいこと」を全面的にサポートするコミュニティマネージャーがいます。多くの人は、チャレンジしたい気持ちはあるけれど、集客や告知をどうしたらいいのか、施設をどう使いこなしたらいいのか、誰と協業したら上手くいくのか…、不安がたくさんあると思います。そういうときに、コミュニティマネージャーがちょっとしたアドバイスをしてくれるようなイメージですね。また、コミュニティマネージャー自身が積極的に街に出て、商店街のみなさまと関係性を築き、それが入居者に還元されていく。コラボレーションしたい人同士の「橋渡し役」を担います。
ーーまさに、背中を押してくれるような存在ですね。
鷲尾 ついついチャレンジに対して腰が重くなってしまうところを、横からサポートする役割です。さらに、THE CAMPUS FLATS Togoshihでは毎日いろいろな種類の“体験”を創発するために、「イベントをやりませんか?」と入居者に声をかけたりして、日々のイベントやクラスのバランスをマネジメントしていきます。
ーー毎日違うイベントをやっていたりすると地域の方も「今日は何かな?」と覗いたりして、自然と交流が生まれそうですね。
荒川 学びにきてもいいし、お子さんを連れてふらっと遊びにきても楽しいと思います。施設やサービスをフレキシブルに、オープンにつくっていますので、ヨガ教室の横でドリンクを開発してる人がいたら、そのふたつがコラボして新しいドリンクが生まれることもあるかもしれません。いろいろなものが混ざりあって、新しいつながりが生まれる空間になるといいですね。
ーーありがとうございます。オープンが楽しみです!
(写真:吉松伸太郎/取材:野口理恵)