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京都の『からしそば』にハマりつつある件

長く半世紀以上も生きていますので、国内いろんな場所に行っていろんな食べ物を楽しんできました。
それでも、身近にありながら意外と食べたことがないものもありますね。

私は京都市生まれの京都市育ちで、27歳まで実家暮らし。
その後、約30年に及ぶ地方各地への転勤を経て、昨年58歳で京都に戻ってきました。
京都の郷土料理はいろいろ食してきたつもりでしたが、約30年振りの故郷で聞き慣れないものが2つ。
一つが『一乗寺のラーメン街道』で、もう一つが『からしそば』です。

一つ目の『一乗寺』というのは、京都市北東部の東大路通と北大路通が交わる高野たかのというエリアからもう少し北に入った一帯を指し、現在では京都随一のラーメン激戦区となっていますね。
30年以上前、私が学生の頃には、今や全国区で有名な『天下一品』の北白川本店や、老舗『天天有てんてんゆう』くらいしかなかったような気がするのですが、今はもう関西のみならず全国のラーメン好きが聖地詣でに訪れるほどのラーメン街、さながらテーマパークと化しています。

このエリアにチェーン系を含む名店が集積したのは2010年代、
私が福岡を離れて広島、そして東京に移り住んだ頃ですので、そんなブームはツユ知らず…
先述の『天天有』さんだけはこの地で1976年頃創業なので、学生時代から知っていたという次第。
因みに『一乗寺』という名称のお寺は今はなく、かつての存在も不詳のようです。

そして、もう一つの『聞き慣れない京都グルメ』が『からしそば』。

こちらは1970年代、昭和50年前後から老舗の町中華で生まれた歴史ある食べ物だと言います。その昭和ノスタルジー溢れる麺料理を今回初めて教えてもらい、その数日後には実食する機会を得ました。

からしそば、
簡単に説明すれば、『五目ラーメンを餡掛けにして、和辛子で風味付けしたもの』かな?
『五目』って、関東の方にも伝わりますかね?
関西で『かやくご飯』のことを関東では『五目ご飯』と呼ぶと聞いたことがあるので、分かりますよね?(笑)
関東圏の方には『タンメン』と言った方が分かりやすいのかな?
キャベツやモヤシ、ニンジン、タマネギ、豚肉、キクラゲ…といった具材を乗せた塩スープの麺料理。関西にはタンメンが存在しなかったので『五目ラーメン』と表現したのですが、その五目ラーメンを薄めの餡掛けにして、丼の底に黄色いカラシを敷くか、或いはスープにカラシを溶かし込んだもののようです。

ま、言ってみれば、塩ラーメンの具材が八宝菜で、それにカラシを効かせたような感じですね。
あくまで、タンメンではない。
敢えていえば長崎料理で『皿うどん』というのがあって、そこに酢やカラシを合わせるのが相性良くて美味いわけですが、その皿うどんの具材を、パリパリ揚げ麺ではなく、麺やわめの塩ラーメンの上に載せた料理を想像してください。

先日、京都祇園でお仕事があり、花見小路の祇園甲部歌舞練場こうぶかぶれんじょう辺りで用事を終えた後で空腹を覚えて、さてどうするか?と悩んだ時のことです。
昨今の京都、とりわけ祇園界隈はインバウンドの勢いが異常で、地元民として軽い食事にも不便する状況。円安を背景に数千円から数万円のメニューに喜んで群がるインバウンド連中を避けて、チェーン系ファストフード以外で何か安くて美味しいものはないかしら?と悩んでいた時に、ふと思いついたのがその数日前に初めて耳にした『からしそば』でした。

検索するとその店は、なんと大賑わいの四条通から一本北の小路こうじにあるらしい。
あれ? ここは確か、有名なカレーうどんの老舗『おかる』のある辺り…?

取り敢えず歩いてみると、大通りの喧騒が嘘のように静かな小路のさらに奥まった路地に、そのお店がありました。

店名は『平安』。
70代と思しき老夫婦が、狭い店内で仲良くかつ手際よく調理と給仕をしていらっしゃいます。
そこはラーメン屋ではなくあくまで老舗の町中華でしたので、酢豚とチャーハンを注文し、締めに『からしそば』を…

平安さんの『からしそば』は、カラシの量を『中学・高校・大学』から選ぶようになっています。初めてでしたので『高校』にしておきましたが、まだ大丈夫かな? 大学だとやっぱり辛いかな? という絶妙な塩梅の辛味でした。常連さんは『社会人』のオーダーもあるとか…

ラーメン愛好家からすると麺が柔らか過ぎの感はありますが、そこはラーメンとは異なる料理。
辛味の中にもしっかりとした旨味を感じる、上品で美味な麺料理でございました。
リピ確実!

因みに、この体験のあとネットで『からしそば』について調べまくったわけですが、
『本流』は今は無き広東料理の名店『鳳舞ほうまい』で、広東から京都に来た初代店主により開発されたメニューであり、今ではその流れを汲む『鳳舞系』と呼ばれるお弟子さんたちの店で提供されているものが本家であるとの記述がありました。

先述の『平安』さんも、その初代店主の店で学び、独立されたお一人。
そうした『鳳舞系』としては現在、祇園『平安』のほか、新京極『龍鳳』、河原町二条『鳳泉』といったお店があり、それぞれ個性的な『からしそば』を提供されているとのこと。
これは是非、ハシゴして食べ較べする価値あり!

それともう1店、
『鳳舞系』からインスピレーションを受けて独自の『からしそば』を開発したのが、こちらも京都の老舗中国料理店である『ハマムラ』さん。
昭和の時代からおもしろいTVCMで知名度は抜群の老舗ですが、今は3代目店主が京都府庁前の新店舗で頑張っていらっしゃいます。
府庁前と聞くと河原町や烏丸からちょっと足延ばしになりますが、JR在来線・新幹線・市営地下鉄・近鉄が集積する京都駅の名店街にも出店されています。
京都出張の最後の電車待ちに、密かな京都名物『からしそば』は如何でしょうか?

意識高い系のニューウェイブ・ラーメンに飽きてきたこの頃、ホッコリする懐かしい味わいの五目そばにピリッとした辛味が、食欲をそそります。
お薦めです!

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