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未来のためにできることは、まず関心を持つこと


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ビル・ゲイツさんの『地球の未来のため僕が決断したこと』から、私たちの未来のためにできることをいくつか学びました。

新しいエネルギー産生の技術が出来ること、炭素を生み出さない・回収する技術ができること、そして普及すること・・・

しかし、その多くは普通に生活をしている私たちが直接的にアイデアを反映させることは難しいです。

誰にでもできる、未来のための唯一の行動。それは、「地球の未来に対して関心を持つこと」です。



知っていますか?

地球温暖化の要因の1つで、今、世界各国の政府や企業が削減しようとしている炭素。炭素は年間どのくらい排出されているのでしょうか。

(ここでは便宜的に二酸化炭素の排出も含め、「炭素」とします)

答えは、510億トンです。ちなみに、日本の2019年の排出量は環境省のデータによると11億トンです

直近のピークである2010年代前半に比べると、減少傾向にあり、さらにSDGsなどが少しずつ普及することによって改善しているように感じます

しかし、実は地球温暖化による気候大災害を防ぐために(すでに大災害は起きつつありますが・・)、炭素の排出量をゼロにする必要があります。

炭素排出量の増加と、気温の変化は相関しており、1850年以降、地球の平均気温は1〜1.5度上がっています。

1〜1.5度と聞くと、大した温度でないように感じますが、これは平均気温ですので、地域によっては5度以上温度が上がる場所も出てくるのです。

気温が上がれば何が起こるのか。

既に日本でも、大型の台風や大雨・洪水などの被害が出ていますが、それ以外のものも紹介します。

・非常に暑い日が増える

・大雨の場所と乾燥する場所が極端になり、山火事の頻度と激しさが増える

・海面の上昇により、水没する都市が出てくる(都市部でも排水管から海水が噴き出ることも・・・)

・農作物の収穫量が減る

・動物、海洋生物の生態系が変わる

・経済損失が増え続ける(それも、コロナウィルスのパンデミックよりも深刻な)


簡素化して述べていますが、1つ1つの事象が起こると考えると、ゾッとしますね。

日本でも既に気温の上昇や異常気象により、農作物や海洋生物、家畜など食物の収穫に影響が出ていますが、その影響は一時的なものではなく、温暖化に伴い増え続けるのです。

また、温暖化に伴い海水面が上がることで、水没する地域が出てきたり、日本の地盤にあるプレートへの水圧がかかることで地震が発生しやすくなるとの研究も発表されています。

これらのような大災害を防ぐためにも一刻も早く、炭素ゼロを目指し、クリーンなエネルギーへ移行することが必要です。



エネルギーの移行がうまくいかない5つの理由

エネルギーをクリーンなものへ移行すべきことは、誰でもわかっています。
が、それがなされないのは何故でしょうか

主に5つの理由があると言われています。

①移行に巨額のコストがかかるため

②新しいエネルギーの導入にかかるリスクを下げようとするため

③法律や規制が適切でない

④気候変動への対処方法が、選挙の度に代わってしまっているため

⑤気候変動に対する強い合意がなく、人によって意見が様々であるため

あなたは、化石燃料が「ソフトドリンクよりも安い」と言われていることをご存知ですか?

クリーンなエネルギーを生み出すための電池や、原子力発電所を作るには、発電するためのリチウム電池を作るコストや、発電所を作り数十年間稼働させるコストがかかります。

また、チェルノブイリ原発の事故や、東北大震災での原子力発電所の事故の印象が強いことも理由の1つです。

でも、これらの原発事故で亡くなられた数と、化石燃料を掘り起こすために亡くなられた数は、後者の方が圧倒的に多いのです。

どちらの被害者が多い・少ないという判断ではなく、日頃から使用されている化石燃料を掘り起こすために多くの方々が亡くなられている現実を知ってください。


加えて、各国における気候変動や新エネルギー、それに伴う開発に対する法律が整備されていないこと、

各国の選挙に置いて、選挙の度にエネルギーや気候問題に対するアプローチが代わっていることも、エネルギーが移行できない原因の1つです。


そして、最も身近なものとして、気候変動に対して強いコンセンサスが取れていない現状があります。

あなたは気候変動に対して、どのような意見をお持ちですか?

気候変動は大問題だけど、それよりも医療や教育支援の方が重要だから後回し。」と思っていませんか?

そう思うのは仕方のないことかもしれません。
しかし、炭素の排出量をゼロにし、気候変動を食い止めるためには、

炭素の排出量をゼロにすることも教育も、医療も、同時に進める必要があるのです。



人の活動による温室効果ガスの排出量

炭素も含めた温室効果ガスは、発電などのエネルギーを生み出す行為だけが排出の原因ではありません。

私たちの生活に欠かせない、「ものをつくる」、「電気を使う」、「物(食物も含めた)を育てる」、「移動する」、「冷暖房、冷蔵を使う」という行為の全てから排出されます。

その割合は以下の通りです。

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ちなみに、書式やカテゴライズが若干異なりますが、日本の内訳は以下の通りです。

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環境省HPより引用

そのため、発電を化石燃料を燃やすことから原子力や太陽光などのクリーンエネルギーに変えれば良い!というわけではなく、

移動する際に使う車、エコな家電、食物の育て方などなど、様々な分野で技術の進歩が必要なのです。



ビル・ゲイツが今後必要だと感じている技術

地球の未来のため僕が決断したこと』の中で、ビル・ゲイツさんが今後のために必要だと感じられている技術を書かれていました。

・炭素を排出せずに生産される水素
・フルシーズンもつグリッドスケールの電力貯蔵
・電気燃料
・次世代バイオ燃料
・炭素ゼロのセメント
・炭素ゼロの鉄鋼
・次世代核分裂
・フロンガスを含まない冷房
・核融合
・炭素回収
(直接空気回収と局所的な回収)
・地熱エネルギー
・蓄熱
・干魃や洪水に強い食用作物
・炭素ゼロのパーム油の代替物

ビル・ゲイツ『地球の未来のため僕が決断したこと』より引用

これらの他にも、木やマングローブを増やすことなどにも触れられていました。

そして、これらの技術は実際に世界各国の大企業やスタートアップでも、研究や投資が始められているものでもあります。

しかし、私たちの地球の未来を守るためにはこれらの新たな技術を急速に普及させより多くの人が技術を活用できるようになる必要があるのです。



私たちが具体的にできること

先ほどご紹介した、ビル・ゲイツさんが必要だと思っている技術。どれも素晴らしいアイデアで実際に走っているプロジェクトもあります。

しかし、私たちが直接的にプロジェクトへ関わることは、関係した職業でない限り不可能です。

では、消費者として、市民としてどのようなことができるのか?
まずは、関心を持つことです。

世界ではどのくらい温暖化が進んでいるのか?

温室効果ガスや炭素が環境に及ぼす影響は?

世界、及び日本はどのくらいの温室効果ガスを出しているのか?

などなど・・・
関心を持ったら、次の段階としては以下の3つの行動をとってみましょう。

①生活の中で炭素を排出しないようにする
②需要があることを市場に示すこと
③政治活動に参加すること

①あなたの炭素排出を減らす

家に取り付けている電気を白熱電球からLEDへ変更する、ガソリンの車からEV車へ乗り換える、公共交通機関を利用する、エコな家電への買い替えをする、機密性の高い家にするなど・・・

あなたが日頃の生活で排出してる炭素の排出をできる限り減らすことを心がけてみましょう。


②需要を市場に示す

①でも紹介した、電球の変更やエコ家電の導入、EV自動車への乗り換えなどを行うことは、市場へ需要を示すことにも繋がります。

購入する人(=需要)が増えれば、企業ないし政府は、供給を増やし、クリーンなエネルギーによる製品のコストが下がります

そして、多くの人がクリーンなエネルギーによる製品や、エネルギーそのものを使うためにかかるコストが下がり、普及します。

市場原理として、需要が少なく、たくさん生産できないと、コストは下げられません。

あなたの購買行動で需要を示し、クリーンなエネルギーやそれによって作られる製品が普及させましょう。


③政治活動への参加

購買の需要があり、企業も開発・商品化を進める、そして最後の一押しかつ、もっとも重要なことが政府の方針です。

政府の方針として予算が振り分けられなければ、企業やスタートアップ、研究者の開発に十分な資源が与えられません

しかし、政府の方針に私たち市民が直接介入することは不可能ですので、まずは未来を支えてくれる施策をする人が議員になることを後押ししましょう。

つまり、選挙へ積極的に足を運び、必要であればデモなどの運動に参加し、民意を示しましょう

選挙へ行っても無駄だと思ってしまいますが、過去の革命の歴史を振り返ると、数パーセントの市民運動により、国が大きく変わってきています

たかが選挙ですが、されど選挙です。



おわりに〜正解はわからないが進むしかない〜

ビル・ゲイツさんの『地球の未来のため僕が決断したこと』は、未来に対して楽観的だと感じました。

ビル・ゲイツさんご自身の多くのイノベーションを起こした経験からなる自信と、いくつもの具体的なアイデアが書かれていたことから、そのように感じたのだと思います。

ただ、読んでいて、どのアイデアも研究開発がスタートされており現実的ではあるものの、世界規模でアイデアを具現化し、実行するには、大きな政治的ハードルがあると感じました。


一方で、斎藤幸平さんの主張のように、資本主義がある限り(=資本の成長が望まれる限り)、環境破壊は止められないという主張も理解はできます。

しかし、そのための脱資本主義でのコミュニズムを促進させるという発想もまた、理想ではあるもののハードルは非常に高いと思います。


…とはいえ、環境破壊は待ってくれないですし、私たちも日常生活を送っている分、炭素を出し続けることに変わりはありません

悲しいですが、そうしないと私たちも生きられないのです。


テクノロジーを急速に進歩させるのか、資本主義を止めるのか、はたまた他の方法があるのか、正解はわかりません

ですが、関心を持って、考え、少しでもエコでクリーンなものを使うことや、政治に参加することはできます。

なんの力にもなれないことの方が多いかもしれないですが、少しでもできることをやっていきたいですね・・



\書籍はこちら/


\参考までに『人新世の資本論』/




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