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家探しから見つかったもの

2021年3月に妊娠し、同年11月に日本で男の子を出産しました。これが私たちの第一子です。ベトナムでは28歳での出産と育児はやや遅いとされることがありますが、仕事経験を積んでから子どもを持つのも悪くないと思っています。実際、子どもが生まれてからはその実感がより深まりました。出産は愛知県で行われましたが、夫の仕事の都合で息子が4ヶ月の時に大阪に引っ越しました。大阪では2回の引っ越しを経て、現在は安定した日々を過ごしています。

大阪で新しいお家を探す際、私たちにとって譲れない条件は、1階または2階の物件で、広さはおおよそ55平方メートルです。愛知県で60平方メートルのお部屋に住んでいたことから、あまり狭いと少々違和感を感じるのです。夫の会社まで自転車で通える距離で、家賃は6.5万円から8万円の間が理想的。また、子育てのことを考えると、公園のそばに住むのが理想です。外国人としては部屋選びに制限があるのは分かっていましたが、これから長く愛着を持って過ごす場所を見つけるため、ワクワクしながら不動産サイトでいろいろと探していました。

実は、部屋探しは私たち自身ではなく、夫の会社が手配してくれています。物件リストも、不動産業者と一緒に会社が決めています。夫の職場まで自転車で通えるような場所にはいくつか良い物件が見つかりましたが、入居できるのは主に日本人のみ。私たち外国人は、どの部屋に住めるか選択肢が限られています。つまり、気に入った部屋が見つかっても、必ずしも入居できるとは限らないのが現状です。

まず、不動産会社から提案された外国人でも借りられる部屋のリストには、どれも狭すぎる物件ばかりで、私たちの理想とは程遠かったです。ずっと楽しみにしていた部屋が、想像していたものとは大きく異なっていて、正直がっかりしました。でも、ネットで見つけた気に入った部屋を夫の会社に相談してみたところ、幸いにも1件だけ借りることができるとの返事がありました。私たちも夫も、そのニュースには本当にホッとして、引っ越しの日が来るのをわくわくしながら待っていました。

引っ越しの日が近づき、いろいろと準備も整ってきた矢先のことです。AEONで買い物をしていたある日、突然夫の会社から連絡がありました。「大家さんがダメだと言ったので、契約がキャンセルになりました。他の家を探してください」とのこと。入居を許可されていたはずなのに、なぜ引っ越し直前になって契約が取り消されたのか、理由も説明もなく、とても理解に苦しみました。その知らせを受けて、買い物をしている最中にもかかわらず、ぽっかりと心に穴が開いたような虚しい気持ちに襲われました。どこか寂しく、外国人であることが理由ではないかと感じざるを得ませんでした。

いろいろな事情が重なり、私は現在の部屋に住むことになりました。ベトナムにも「縁」という言葉がありますが、自分に起こる不幸や不利な出来事を、それが縁だと受け入れることができます。気に入った家には住めませんでしたが、今の家に住むことになったのも何かのつながりがあると感じています。実際、ここに住んでみると、部屋の前にある小さな公園で毎日、おじいさんやおばあさん、若者や子供たち、犬の散歩をする人たちが訪れる光景が見られます。これらの光景を見るたびに、とても元気をもらっています。窓のカーテンを開けると、公園の美しい景色が広がっていて、この家が素晴らしい場所だと改めて感じるようになりました。ただ、日本に永遠にいるわけではないので、住んでいる家や毎日通る道、公園の景色を大切にし、今を精一杯楽しむことが大切だと思います。



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