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蒼い月-どれだけ忘れてもこの時だけは持って行く-


 気が付くと、頭上の月が雲の隙間から顔を出していた。
 今日は曇りかと諦めたつもりだったのに、夜空のやつ、お茶目なんだから。
 想いに耽るようなことは数あれど、あたしのこれは、たった15年の人生の中でも目下、現時点最高難易度であり同じく最重要機密課題である。これは絶対にバレてはいけない。自分1人の部屋で考えて、うっかり日記にでも記してみろ。うっかりアイフォンの中にでも残してみろ。それは紙もしくはデジタル遺産としてどっかであたしの命が切れた時、誰かに掘り起こされて晒されてしまう。この特A級の秘密課題が、将来に渡っていつかもし達成されるのであれば、その後にバレるのであれば構わない。失敗した時に、もしくは実行されなかった場合に、ただの恥でしかないからだ。そんなものは絶対に残せない。教材が売っているわけでもない、それは経験と時間経過と年齢というものが解決するものだというのが今のところ自分で勝手に見出した結論ではあるけれど、それだってそもそも経験値の少ない自分の判断であって、完全なる自己満足に過ぎないだろう。でも自分の経験に縋るしかないのが今の自分だ。誰にも相談できない。紙にもデジタルにも残したくないのだ。人に赤裸々に話した上で相談に乗ってもらえやしないかなんて言えたもんじゃない。そんなことを考えながら空を見上げているとまた雲が隠れた。まるで気まぐれな猫みたいだ、と思わず苦笑した。
 初めてこうして深夜の散歩ーあたしが徘徊と呼ぶその行動に出たのは、今年の夏休みの初日だった。先月の下旬。そして今、8月の17日、深夜24時を周るかというところ。
 あと数分で、16歳になるあたしは、家に放置してある携帯に何通ラインが入るのかな、と期待にもやげやりにもにた感覚で思う。期待しても、それは抗えない現実と不条理とわがままによってその光は潰えていくのだということは幼いながらに知っている。だから置いてきたし、この徘徊の時は、ほとんどの場合持ってこない。
 腕時計が、てっぺんで全ての針を一致させた。
 いらっしゃい。16歳のあたし。
 まだまだ変われるかもしれないけど、何も変わっていない16歳のあたし。
 月が、また顔を出した。




 それからおよそ1年後。
 怒涛の第一次考査期間も終盤。みんなヘトヘトなのか、なりすぎてハイなのか。明日に2教科を残すばかりとなって、その後は一斉採点が行われ、夏休みの後半に補修があてがわれるかが決まる。だが、採点さえ終わればそれはもうご褒美のような夏休みだ。
「じゃ、また明日」
「ふん。あんたとの明日ななんかないわい」
「うっせぇ。とりあえず残り2教科踏ん張るべ」
「こっちは完璧だ!舐めんじゃない!」
 昇降口から校門までむかっていたあたしは、ふざけて喧嘩しながら持っていた中身のスカスカな学校鞄をそう言いながら拓巳の背中に振り回してぶつける。よくあるJKが持っているあの鞄だ。
「痛って。仕返しは明日してやる」
「絶対させてやらないもん」
 明日のテストの結果が出揃うと、夏休みに突入する。授業で午前が終わり午後は終業式とテスト結果の速攻配布、補修対象者の発表があって、宿題の配布。なんとまあ大量に一気にテストが返ってくるので、自信のない人間にはなんと最悪なことか。
 幸いあたしとかは仲間内は補修は免れた。真ん中より上にいればほとんどは補修は免除される。
 そしてそのまま夏休みに突入した。
 初日は2人を含む中のいいグループで遊武予定を組んでいた。
 クラスの仲良し8人組。普段は部活でなかなか全員揃わないが、奇跡的に初日に全員オフということになったので、テスト前からの約束だった。これを逃すともうしばらくは見込めない。
 メンバーもよく遊びに行っている率が高いのが真人の自宅なのだが、そのせいで虹海たちはその姉・紗都美とも仲がよかった。大学3年で就活の真っ最中。ということだったが、真人の計らいで、車を出してくれることになって、虹海たちは海を目指した。江ノ島だ。でっかいワゴンで一路江ノ島へ。
 思いっきり楽しむメンバーだが、暗くなってくると少し雰囲気が変わってきた。みんなでワイワイやっていたところから少しトーンが落ち着いて、しっとりした雰囲気さえ漂い始める。
紗都美さんが何か察したのか、じゃあ車で帰るから特に時間はまあ多少遅くてもいいし、単独行動タイムにしようかね、と言い出した。
「16時だから、3時間くらい!あたしはノンアルでホタテと蛤とシラス食ってくる。あとお土産」
と、宣言してふらふらとどこかへ向かって人混みに紛れていった。
 次第にみんなで歩き始めるが、あ、ここよりたい!が多発して、気づけばポロポロとメンバーが減っていき、参道を登りきったときに気づけば真人と2人だけになっていた。
「あいつらやりやがったな」
 と、真人がやられたとばかりに口にした。なんだこいつ。気づいてなかったのか。
「っていうか、自分たちの目的があの組み合わせなんだよ。あたしとっくに気づいてた。さっきみんなでいた時から、ツーショット高確率でいっしょだったよ?みんなこれだけ長くいてもだらもまだ付き合ってないっぽいし、多分今日狙ってんだよ。実咲なんて隠しもしないで賢人と腕組んでた。合流したらきっちり吐かせようぜ」
「だな。帰りはその話で持ちきりだな」
「みんな突っ込まれないようにふて寝したりして」
「絶対に許さない。そして逃さない」
「ああ、こりゃ終わったなあいつら。で、あまりもの同士、どこ行く?」
「適当にフラフラしますか」
「いいねぇ。日中で結構遊んだしな。しかし3時間もあるのか」
「ま、なかなか江ノ島なんて来ないし、ちょうどいいじゃん」
「俺は別にお前みたいに深夜徘徊好きなタイプじゃねーけど」
「じゃ別行動でもいいよ?」
「なんかそれもなぁ。まあ、行くか」
「最初からそういえばいいのだ」
 そういってあたしたち2人も繰り出した。16じといえば夕方の時間帯のイメージがやっぱりあるけれど、7月の下旬の江ノ島はまだまだ明るい。奥まった、古民家が立ち並ぶようなエリアにも少しずつ人が流れていくので、そっちに行ってみることにすると、海面スレスレまで降りることが許可されている海岸、岩が見えた。降りてみることにすると、夕日がど真前ですごく綺麗だった。穴場というわけでもないだろうけど、観光客の量に比べたら、訪れる人はまばらに見えた。
「いいな、ここ」
「うん」
 しばらく眺めて、ゆっくりと日没に向かう太陽を見送るように見納めて、街に戻る。
「なんか買う?」
「んんー。まあ、記念品くらい?うちにお土産と差し入れはさっき買ったし。真人は?」
「うちにはねーちゃん買うからな。バイト先くらいかなあ」
「そっか」
 そう言いながら、参道を物色しながら降っていって、途中で見つけたタコ煎餅を購入していたのを横目で見ていて、あたしは思いついた。
「あ、一枚かって半分食べない?食べてないの渡すのもさ」
「お、いいね」
「じゃそっちはあたしが。すいませーん」
 すぐに焼き立ての温かいのが登場してパキッと大体半分に割って渡す。
 いただきまーすと見事に揃い、齧り付くと、決して生臭くはない海鮮風味の後に明らかなタコ。タコが来た。うん。美味しい。
「当たりじゃない?」
「だな。焼き立てだからも知んないけど」
「でもうまいじゃん」
「おう」
 そんなことをしながらダラダラと参道を下っていくと、あちこちにみんなの姿が見えたが、1組だけ見つけられなかった。
「……おや」
「征司・明日凪ペアですな?」
「虹海も気づいたか」
「そうかぁ。人気の少ない方に行ったかぁ。あそこはそんな感じだわー」
「だよなーわかるわ性格的に」
 なんて噂話をしながら参道を抜けて、おそらく真人のお姉ちゃんがいるいるであろう飲食店街に差し掛かるが、姿は見当たらない。そのままの道筋で、島から伸びる橋の上で少し風を浴びてみる。
 海の風。磯臭さが苦手なんて人もいるけど、あたしは結構好き。生き物の、匂い。これはkyとうは徘徊あだな、と思う。
「なぁ」
「何よ」
「お前、なんで夜よく徘徊すんの?」
 真人はあたしの徘徊ぐせを知っている。バイトで帰りが遅くなっての返り道でよく徘徊スタートした頃のあたしと遭遇するからだ。最初はバレた、と思った。そのころは、その行為そのものが、真人にはバレちゃいけなかったのだけど今は目的馬バレなければいいと割り切った。
「んー…考え事、が80%。あと20%が夜と月と星」
「眺めるの好きだってのはまあ、わかるけど、なんで夜中に出歩くよ?いくら虹海ったって、女1人で、危なくない?」
「いくら虹海ったってってなんだ。こら」
「いやすまんつい」
「もう。つい、じゃないわよ。失礼な。真人のいうことはわかってるよ。でもこんなんに手出すようなもの好き、そんないないって」
「いや、夜に歩いてる女の子狙うやつはそういうことは気にしねぇから。女なら誰でもいいんだよ」
「わかるけどねぇじゃああさっきのいくら虹海つったってはなんなんだよ」
 と、あたしは天を仰ぐ。
 それでも、そのリスクを負ってでも、その時間で頭の中をハーディスククリーンナップしなければならない。でないと、あたしの学校生活は処理以上を重してしまい、何もかもがうまく行かなくなる予感がしたのだ。いや、している。部屋で考え事をしていると背中に粘性の高い冷たい水を流し込まれるような感覚が、あたしがあたしでなくなってしまう前に歩き出せ、と言ってくる。
 けど、そんなことは言えないし、わかるわけがない。
 その原因も知っているけど、それこそ口にできない。
 そんなめんどくさい自分のことを、面倒でなくするための、儀式めいた逃避行。
「わかってんならまぁ、って話でもないけど、やめらんねぇなら仕方ねーけど、本当気をつけろよ。何かあってからじゃ遅いんだかんな」
「はいはい。お母さんか」
「そのポジはやめてけれ」
  そこからはたわいのない話だった。本当に3組のカップルがここで出来上がるのか。もしそうなら車内パーティ確定だまあ、あたしたちの予想では2組は確定だけど、もう1組がな。とか。ここでくっついとけば今年の夏最強プランで一番肝心なポイントを押さえることになるからなぁ。とか。秋になったら別れたりして、とか茶化してみたり。
 と、そこで、あたしの携帯が鳴った。明日凪唐のLINEで「いえい!」ときた。全てを察したあちはすぐに真人にリークする。
「やっぱりか。おめでたい話だねぇ」
「あ、一応まだみんなには内緒で!!!だって。てーおーくーれー」
 2人で爆笑する。もちろんグループに載せるようなことはしないけど。
「最初にいじるペアは決まったな」
「連絡くるとしてもあと1組か。もう1組は多分口で言うことにこだわりそう」
「賢人と実咲はそうだろうな。こんな中にいても真面目より」
「だな」
 そうしてまたしばらく話していると、真人の携帯に同じく着信が入った。
「悠真と彩綾もけってーい」
「何これ。予想しておきながらあれだけど、今日そのために江ノ島きたの?これ修学旅行か恋愛バラエティーショーのロケかなんかなの?」
「確かにな。間違いない」
「くそ。みんなして危なっかしい計画ばっかり聴くからだ」
 馬鹿な話をしていると、集合時間が迫ってきたので食べ終えたタコ煎の袋を畳みながら向かうと、お姉さんはすでに到着していた。
 それ以外のメンバーはもう少しのようで、その間に車中の予告をすると、お姉さんの広角がぐいと上がった。
 全員合流して車に乗り込む。出発と同時に助手席の真人が音楽を再生して、生贄だらけのカーニバルがはじまった。


 無事見事、3組のカップルが、予想を一切裏切ることなく誕生した江ノ島プチ旅行は、各所にメンバーを下車させながら、真人の自宅前で停車して完結した。
「お姉さん今日は運転ご疲れさまでした。これ、買っておいたお酒用のおつまみ何点か。一応江ノ島っぽいやつを選んだつもりですけど」
「おお!いいの!?ありがとう!さっすが気が聴くねぇくるみん」
「あ、一応真人くんに趣味もインタビューしつつ」
「あ、そうなんだ」
「おうよ」
「偉そうに」
「じゃあ、あたしはこれで。ご両親にもよろしくお伝えくださいねー!」
「うんありがとう!お疲れー!」
 その声を聞き届けて、あたしは踵を返して1人で歩き出す。
 さて、少しの荷物をおいたら、少し休んで、出るか。と決めた。
 真人の家とあたしの家は、実はそこまで離れていない。だから彼の家の前解散となった。あたしはお土産も少なく身軽だったし、まだ22時前だった。
 半分くらい歩いた頃だろうか。携帯が鳴った。メッセージではなく着信のようだ。
「はいもしもし?明日凪?どうしたの?」
『あ、あの、えっとんっと……』
「なに?なんかあった?」
 スピーカーから聞こえてくるそのか細く女の子らしさ満点の可愛らしい声はいつも通り囁くように話開けてくる。まるで釜から出した焼き立ての甘いケーキの香りのような芳しい声。こりゃ惚れるのもわかる。
『あ、いやその』
『落ち着いて。どうしたの』
『えっと……つ、付き合うって、何すればいいの……?』
 炸裂。可愛いのビックバンが炸裂。しかし。
「…っ。っても、あたしもわかんないよ。明日凪と違ってモテないし、経験ないから」
『あたしだってないよ!頼むよ虹海!なんか、なんかちょうだい!』
「じゃああ、当たり前のこと言うけど、手繋いでデートして帰りにハグしてキスしちゃえば?」
『frgめt;いうんひrsんをg』
 ほらバグる。
「そんくらいしかあたしはなんとも言えないって。2人のことは知ってるから言えることと言えば、征司は明日凪の嫌がることはしないじゃん。喜ぶことはしても。明日凪もでしょ?」
『そりゃぁ……』
「奈良自然とどうにでもなるって。気にしないの。妙に肩肘張らない!」
『……うーー』
「何」
『征司くんの喜ぶことってなんだろ……』
「そんなのいっぱいあるんじゃない?さっき行ったことだってそうだし、一緒にいるだけでもそうかもしれんし。あとは脱ぐのが最強だな」
『!!……!!!!!うぇ、gろいうぇtbんうぃおgw」』
 これは壊れた。
『ぬ、ぬぬぬぬ、ぬぐぅ』
「まあこれはふざけたけど、嫌じゃないだろ。好きな人とそういうふうに触れ合いたいって思うのは別に自然なんじゃない?やらなくても」
『あたしへのこの手の相談が、明日凪にとってどれだけ不正解か分かったでしょう』
『…そうでもないけど、今でなかったことはわかった』
「あははは。じゃ、家着くから。まあ、せっかくの夏休み、2人を楽しんでね。なんだかんだで祝福してるよ?ようやくだけど」
『うん。ありがとう。とんでもなかったけど話せてよかった』
「どうせこのまま征司に電話するんだろ?」
『?うん』
「繋がったら開口一番、即座に、今ベッド中で全裸なの、って言ってみ」
『絶対やだ!バカっ!!』
 それを最後に、通話は切れた。もう家の前に着いていたあたしは、スマホ画面に苦笑だけ飛ばしてポケットにしまい、玄関の扉を開けた。


 リビングで江ノ島土産と土産話振る舞って、夕飯は済ませたことにして部屋に戻る。すぐにシャワーを済ませて髪を乾かす。土産のお菓子を少しパクったら、また部屋に戻る。妹が先程の土産話に対して姉ちゃんはどうなんだと食い下がってきたが、残念ながら本当に何もないので仕方がない。どちらかといえば首謀者側だからとごまかすしかない。実際誤魔化しでもなんでもなく本当にそうなのだから仕方ない。
 その一点で押し切って、あたしはまた部屋に籠った。今日は徘徊はしないだろうけど、きっと部屋に1人で何か悶々と考えるのだろう。明日からはしばらく学校もない。今日から浮かれスイッチの入った6人とは当分遊ぶアポも取りづらくなるのだろうし。妹も彼氏との約束があると言っていた。こればっかりは仕方のないことだけど、真夏の計画は希望と同じだけの危険がともあっていることに案外渦中の人は気付かない。制服という身分を脱ぎ捨て、突っ走って、気づいたらまたその拘束衣を纏わなければならない。それを想像も覚悟もできずにはしゃいで仕舞えば、いざと言った時にその拘束衣には不満しか抱かなくなってしまう自分が存在することになりかねないからだ。もちろんみんながみんな絶対とは言わない。けれどだから、夏休み明けの席には空席がある。あたしは最初から不満だからギャップも何もないけど、想像もできるけど、だから、子供のように無邪気と評されるようなはしゃ擬方ができない。遊ぶのも楽しむのもできる。けど、ハメを外せないというか、すぐその先を想像してブレーキがかかる。
 可愛くない子供だ。たかだか16なのに。
 俯瞰もしているわけでも達観しているわけでもない。自分の中の理論に絶対的な自信があるわけでもない。それは実績が証明している。その結果、あたしは特定の人物と必要以上な人間関係を作ることが怖い。ここまで頼りきってきた頭でっかちの理論武装が、簡単に突破されてしまう可能性が非常に高いからだ。そうなったら、それに関してはあたしもどうなるかわからない。いくつか想像はしてみるが、どれも最悪のシナリオだ。救いもやり直しもあったもんじゃない。けれど、だから悩む。自分の中にある、どこで拾ってきたのかわからない感情が燻っているのか、蠢いているのか、もがいているのか。それすらも自覚できないでいるあたしの心は、本当に自分のものなのかどうかすら怪しい。と思わざるを得ない。目に見えないものを信用しないとは言わないけれど、見えた方が信じやすいのが人の性だ。言わなくてもわかる、は、臆病をイルミネーションで演出した綺麗事の幻想に過ぎない、と思う。その幻想の中だけで、口に出さなくても理解してくれているという勝手な箱庭の中で来ている人はいずれ、言ってくれなくちゃわからない、という当然の発言によって箱庭をめちゃくちゃに蹂躙されてひがいしゃぶるのだ。最初から決まっていることなのに。だからあたしはこの何をしているのか若わからない自分の心の正解を早く知りたい。感じることから辿っていって、その意図がどこに通ずるのか。天奥なのか地獄なのか。たどり着く場所があるとしたらどこなのか、その地は見当がついているけれど、天国か地獄かは不明。
 だからあたしは徘徊するのだ。
 夜は、見るべきものだけを見せてくれるから。


 それから数日は自宅でのなんの変哲もない夏休みが続いた。宿題を可能な限りこなし、家の手伝いとか、部屋の模様替えをしたり、1人で散歩したり、何度か徘徊もした。それにしても抜けない徘徊グセである。
 妹は半分ぐらい彼氏と遊んでいるようで、お母さんに呆れられていたし、お父さんは気が気じゃないらしい。あたしにはそんなものできないことを悟っているのか、そんな話を振ってすらこないのに。呆れたものである。まあ、本当のことだから仕方ないのだけれど。
 そんなわけで江ノ島以降は海に行くでもプールに行くでもなく、ほとんど家族との日常生活がメインだった。あの時のメンツから相談のラインは飛んできても、アポはほとんどない。正直会った方が話早いと思うのはあたしだけだろうか。
 正直3組とも、もう付き合っているのはばればれだし、片方からは状況もほとんど筒抜けだ。男性陣から真人の方に聞こえている話も、ちょくちょくリークがある。なんなんだこのネットワークは。と、お父さんに感じるのとは別の呆れた感情で俯瞰してしまう。面白くなくはないからまだいいけど。
 そんな日常を過ごしていたら、もうすぐ8月に入ろうという時期になった。とはいえ、江ノ島からせいぜい10日程度なのだけど。
 例によって妹は不在なので、土曜日ゆえ仕事が休みで自宅にいて意気消沈なお父さんとお母さんをお昼ご飯を終えてスイカを食べていると、真人からLINEでメッセージが入った。通話の依頼だった。しばらくしたらかける旨を返信して、スイカをとりあえず平げ、キッチンの整理をして、あたしは部屋に戻り、通話ボタンを押した。
『お、きたきた。どもども』
「どうしたの」
『用がなきゃかけちゃいけないの!?』
「切るぞ」
『待った。悪かった。ちょっと待って』
「ふざけるからじゃ」
『時間ないの?』
「いや、特に」
 探るような口調。珍しいくらいに遠慮気味な気がする。なんか妙だ。
『明日暇?』
「別に、今のところは時間あるけど」
『ならさ、明日どっか遊び行かねぇ?征司たちもう完全ブロック入っちゃっててさ。火がつくとこれだよ。本当に暇すぎて。そっちは?』
 やっぱそっちもか。
「相談とか惚気は来るんだけどね」
『一緒よ。まったくこれだから盛りのついたお子様は』
「なんて言い方よ。一応友達でしょうが。もしかして妬いてんの?」
『そりゃゼロじゃないさ。彼女いりゃいいなとは思うしさ俺だって』
「へえ。そうなんだ。意外でもなんでもない」
『どっちやねん』
「どっちでもない」
 なんだろう、少しだけイラッとしたけど、もうその苛立ちはどっかに飛んでいった。
『なんだそれ』
「さあねぇ。まあ、いつも通りですよっと」
『それはそうなんだけど。で、明日どうよ?』
「んー。あ、ちょっと待って」
『ああ、うん』
 あたしはひとつ気になってしまい一旦保留して日にちを確認した。
 ああ、問題ない。
「……もしもし?」
『おう』
「明日、お昼前くらいからならいいよ。11時に駅前とかでどう?」
『まじか!いやー助かるわー。もう色々腐り切ってたわ。よっしゃ。まずはランチな。OK』
「じゃ、駅前のモニュメントの前で」
『おう。よろしく!』
 やけに楽しそうな真人が珍しくて吹き出しそうになったが、電話のこっち側で微笑むまでに留めた。寂しがりのかまってちゃんか。
 さて、予定外だけど、今から出かけるとするか。


 まずはしばらくしていなかった1人での外出の準備をする。だらしないとまでは行かないまでも完全自宅用の格好から多少は外に出てもいいくらいの格好に着替える8部丈のスキニージーンズに、キャミソール、丸襟の広い丈の短いTシャツに着替える。もうだいぶ使い古したポシェットを見につけて、これも買い替えようかと考える。予算は日々あまり使わないので、金額的には楽勝だろう。トートバグも欲しいな。携帯と財布、リップとイヤホンをポシェットに搭載し日焼けのキャスケットを被ると、ショートカットの髪がひょいと毛先を跳ね上げた。いざ出陣、とばかりに階下に降りると、珍しく妹がもう帰宅している。
 なにやらお父さんが甲斐甲斐しく声をかけていた。
「お母さん、何あれ。どうしたの」
 キッチンでいっぱいだけ水を飲んでから出かけようと向かうとお母さんがいたので聞いてみる。
「なんか、永海ちゃん、二股だか振られただかしちゃったんだって。深くは知らないけど」
「あーあ。だからやめとけって言ったのにねぇ」
「ねぇ。ま、これも経験よ。永海の勘違いってこともあるんだし」
「ま、そっか。あ、お母さん、駅前まで行くけど、なんかお使いある?あ、じゃあ、今お金渡すから、後で送るラインのメモ通りに頼めるかしら?」
「うん。いいよ」
「今1時半だから…17時くらいまでに頼めると。はいこれ」
「ん。余裕余裕。そんなにかからないと思う」
「ありがとう。助かるわー」
「いーえ。んじゃ、いってきまーす」
 と、あたしあリビングから玄関に出ると、妹の永海が飛び出してきた。
「お姉ちゃん!あたしが泣いてるのに声も掛けずにどっかいくの?!」
「お母さんから大体は聞いたから」
「そうじゃなくて!あたしも一緒行く!慰めてよう」
「だめ」
「なんで」
「あんた、まだ自分勝手な被害妄想の被害者だから。恋に恋してる人間が、テンションガタ落ちになって、テイのいい武器見つけて、それぶんまわしてあたしは悲しいから慰めろって喚いてるだけ。おもちゃ売り場の前で駄々こねてるガキと一緒」
「…そんなこと言わなくても」
「緩くいうより伝わるでしょ。それにあんた、彼氏に振られたの?二股かけられてたの?それともなんでもなかったの?」
「わかんない。けど、先輩の同級生に偶然会ったときに「知り合い」って言われた」
「それだけじゃなんの証拠にもなんないよね」
「なんで」
「その先輩すごくモテる人で、後輩を彼女なんて紹介したら、それ僻んだ奴らにあんたが何されるかわかんないから守ったのかも知んないし、本当にどうでもいいのかも知んないし、本命いてキープかもしんないし、あんたが本命で、今日ばったり会ったそいつがキープかもしんない。そのほかになんかあるのかも知んない。でもどっかには当てはまるんだから、その確証取れたらギャン泣きしていいし慰めもする」
 妹は黙りこくった。その後でお母さんが声を潜めて聴いている。性格悪いなこの母親め。だからこの娘なのだけれど。
「前から言ってんじゃん。悩みは聞くよ別に。材料があるなら。けど今この状況で慰めて〜、だけじゃ何もできないし大丈夫も言えないし、はいおしまいゲームオーバー!も言えない。悩みも慰めも抜けたあとは状況の打開。けど今のあんたにその材料はない。論外。誰かに泣きついてないで彼氏と話してきなさいちゃんと。以上」
「虹海はえぐいなぁ」
 お母さんがニヤニヤしたいやらしい一言を残してリビングに去る。言い逃げか、と思ったが、あたしもサンダルを引っ掛けて玄関を出たので同じことだった。
 さあ、どう出る?永海。できる子だろ、きみは。


 それからは頭を切り替えて、15分ほど歩きながらどこに行こうかと思案する。
 目的は4つあるけど、マストは1件。他はいいのがあればなので、まずはその確保確率の高いファッションビルを選んだ。普段足をあまり踏み入れることのないフロアを彷徨いていると、めんどくさい輩が何人か声をかけて来たようだったけど、適当にその辺の人指差して、あれ彼氏、って言ってしまえば立ち去った。どうせ裏なんぞ取らんのだし。
 程なくしてちょうどいいものを見繕う。まあ友人からのプレゼントなんてそんなもんだ。
 続いて自分のポシェットを探しに行くと、今使っているものよりも少し大きめのターコイズブルーのが見つかった。何気可愛い。即決。
 予定より買い物のテンポが早いのでフラフラしているとお母さんからラインが来た。買い物メモ、了解っと。
 と、スマホの確認を終えて新しいポシェットに仕舞い込むと、見知った人影が前方にある。
 江ノ島で一緒だった、賢人と実咲のペアだった。もうがっちり手を繋いでめちゃめちゃカップル感がダダ漏れ。青春してるなぁ。と思い、これ見よがしに物色してる棚を挟んで反対側をわざわざ通る。立ち止まりはしない。
 すると案の定、やっぱり2人が気づくことはない。すごい集中力。2人だけが世界なのだ、と言われても何も考えずに、へぇ、と頷いてしまいそうだ。正面であたしが見てるくらいだからどこで誰が見てるかわからんぞ?と思いながら、その店を後にする。探偵みたいで楽しかった。しかし2人とも顔が緩み切ってんなぁ。そういうもんかね。
 しかし、6人もいてよく三角関係とかにならんもんだったなと思う。もしかして知らないところであったのかな。江ノ島で人間関係が転換期を迎えてから、集まってないからなんともだ。
 その後サンダルを見ようかと思ったけど、途中でみつけたトートバッグ専門店でいいのが見つかってしまった。サンダルはまたかな。今シーズンは、遊びに行く機会も少なそうなこともあって、余裕っぽいし。
 それからはお使いの時間も考慮しつつ、気になったものとかを物色していると、ふと思い出した。徘徊用のスニーカーが、だいぶへたっていたのだ。立派なものはいらないからとアウトレットのショップに入ると、声をかけられた。
「あれ?幸坂じゃん」
「ん?あら、与儀君。買い物?」
「ああ。そっちも?」
「うん。スニーカーへたっちゃって」
「おんなじだ。自己練用のがもうボロボロでさ。1人?」
「サッカー部だっけか。走ってんだもんね」
「おう。毎日三キロは」
「靴の消耗激しそー」
「まあ、な」
「そっちも1人?彼女いなかった?先輩の」
 と、言いながらあたしたちは周囲の商品の物色をそれぞれ始めた。
「テスト終了と同時に振られた。大学生の彼氏できたんだと。腰掛けでした」
「あははは。でもその様子じゃあんまりショックじゃないみたい?」
「ショックはショックだよ……あ、これいいかも……でもまあ、予兆はあったからなぁ」
 何か気に入った靴を見つけたようだった。
「そっか。もう切り替えたん?」
「まあ、吹っ切れてないからまだショックなんだよきっと。でも俺の恋愛体質は次に行くしかないってことは分かり切っているので」
「なら明快だねぇ。うじうじするより建設的。今朝うちの妹ひどくてさ」
 と、ことのあらましをざっくり伝えると、
「まあ、そういうタイプは往々にして通る道ではあるかもな…かわいそうだけど」
「まね。でも自分がいい時は付き合わないくせに都合悪くなったり大変な時だけ頼ってるということを自覚させねばならない。姉として」
「その姉は経験ゼロだろ?」
「そうなんだけどね」
「な、最初俺どうよ」
「冗談」
「ですよねー。でも幸坂、ルックスもいいし、性格もはっきりしてるし、超女の子好きな奴にはモテねーだろうけど、人きるの知ってるか?」
「人気って、なんの人気よ」
「男子のだよ。一年の時から、何人かは袖にしてきたろ」
「……まあ、なくはないけど、こっちが相手のこと知らないのに、向こうがこっちのこと知ってるなんて思えないし、知ってたら気持ち悪いしねぇ。全然受け付けなかったから」
「だろー?で、俺どうよ」
「冗談」
「ですよねー」
 そんなバカな話をしつつもお互い目星の靴を見つけて会計を済ませると、店を出て別れた。どうやら、弟と一緒らし買った。
「じゃ、また学校で」
「うん。与儀君ならすぐ次見つかるよ。元気出せ」
「さんきゅー」
 別れて帰宅方向に背をむけ、腕時計に視線を落とすと、買い物して帰宅するにはちょうど良い頃合いだった。よし、自分のお買い物終了。
 帰りにお母さんのお使いと、お土産にアイスケーキを4カット買って帰った。
「ただいまー」
 声をかけると、お母さんがリビングから出てきた。
「おかえり。早かったね」
「そうでもないよ?意外と知り合いにバッタバッタ会っちゃった」
「夏休みだし、遊ぶところそんなにないしねぇ」
「あ、これ、頼まれたお使いと」
 といって、買ったばかりのトートバックに入れてきたまま食料品数点を渡す。
「これ、お土産は、あたしもってく。永海は?」
「一回話してくるって出ていって、さっき帰ってきたところ。リビングにいるよ」
「へいへい。外暑かったから、まずこれ冷やしてからだな」
「お土産、何?」
「いってみたかったできたばっかのお店のアイスケーキカット4つ」
「わお。夕飯後にしましょうか」
「うん」
 2人でリビングに戻り、ソファでスマホをいじる妹を一旦スルーして、アイスケーキを冷蔵庫にしまう。一瞬中身を確認したが、溶けてはいないようだった。
「夕飯、手伝う?」
「んー。でもまだいいわ」
「わかった」
「お姉ちゃん」
 永海から声がかかる。
「どうだった?話に行ったんでしょ」
 冷蔵庫から麦茶を取り出してグラスに注いで一口つけたあたしはそう返事をする。
「うん。そしたら、お姉ちゃんの言った通りだった。今日偶然会った女の人、彼の幼馴染で全部知ってて、嘘つくとか二股とかできやしないって。過去1人彼女いたけど、ても繋がねーで終わってんだからって。それにしたって、幼馴染の自分に紹介するときぐらいちゃんと彼女って言ってやれって説教されたらしい……ごめん。あたし、怖くて突っ走っちゃった」
「で、元鞘な訳だ」
「うん。お姉ちゃんに言われなきゃなかったかもしんない」
「いや、その幼馴染さんに感謝しないと。あたしが言わなくても、そういう状況なら向こうから話に来てくれたよ。連絡向こうからだろ?」
「うん」
「ほらみろ。今度から、妄想で塞ぐ前に、ちゃんと目に見えるものを信じろ」
「……うん。ありがとう」
「いいって。じゃ、お母さん、なんかあったら呼んで。荷物もあるし、部屋いるわー」
 と言って、母の返事を背で受けて自室に向かう。
 これだけの多面性を獲得した今日。今夜は、夜散歩確定だ。
 新しいスニーカー下ろそう。



 夕飯とアイスケーキ、デザートとシャワーを終えてみんながなんとなく部屋に散り散りになり始めた頃。時刻は23時半を少し回っていた。
「あ、お母さん、例のごとく言ってくる。今日は携帯持って行くから」
「気をつけてね」
「はーい」
 Tシャツに、7部丈のブラウスの前開け、淡い桜色のロングスカートに、新しい白を基調としたこれも桜色のラインがさりげなく入ったスニーカー。ファッションセンスとしてどうかというのは置いといて、足元を見下ろした時の並びは気に入った。玄関を出て、イヤフォンを片耳だけ嵌める。お気に入りのバンドの曲が流れ始めた。こういう時は好き曲だけ雑多に突っ込んだプレイリストをランダムでプレイ。好きだけで集めるとまるで節操がない。
 徘徊のルートだが、基本的に往路は変えない。いつも通り。そうするとこの行為自体がその日だけの特別なものではないという印象になる。問題は復路だ。これはその日によってまちまちになる。どうせ明日、朝はゆっくりで構わない。
 今日も今日とて夜空は曇り時々晴れ。頭上に鎌首もたげる三日月は、ゆっくりと満月に近づいているのか新月に帰ろうとしているのか。
 今日あったことを回顧しながら公園への歩を進める。アスファルトを踏む足からは大した足音はしない。空いた耳に少しだけ掠める夜風の音。涼しい夜だった。
 今日は、真人から電話があって、その後妹の暴走、出かけたと思ったら今度はラブラブな実咲カップルを見かけ、与儀君が振られていた。帰ったら帰ったで妹大復活。
 なんなんだこの感じは。やけに忙しいなと思う。
 それにしてもやはり、恋愛というのは本当に人によってその色が違う。被害妄想に取り憑かれた永海にとって恋愛なんて毒でしかなかった。実咲カップルに関しては今幸福感絶頂だろうし、与儀君はふざけることで誤魔化して乗り換え期なのだろう。深刻そうじゃなかったし。で、帰ったら帰ったで永海の大復活。世界がひっくり返ったみたいな顔をしていた。
 そんなふうに人格や状況、組み合わせ一つであらゆる人を振りますような恋愛という空想概念に、果たして本当に実態なんてあるのだろうか。
 あたしの課題は、お気づきの通りそこにある。
 24時まであと10分を切ったところで、公園に到着する。
「さて…」
 このご時世にしては珍しくその公園にはまだ多くの遊具が残っている。これまで無事故のため、住民の同意もあってのことらしい。
「いつも通りに、っと」
 そのほぼ中央にあるドーム型の上に登ったり潜り込んだりして遊ぶ、タコの頭を模したような遊具ーこれなんていうんだろう?ーその天辺に立って、胸元をごそごそとする。
 取り出すのは、一個のペンダント。
 この徘徊のきっかけとなったモヤモヤがはじまった1年とちょっと前、ぼんやりと駅前を散歩していて偶然出会って一目惚れして購入したレジン細工の蒼い月の浮かんだ群青色の星空。
 闇のない夜。
 空に向かって透かしてみると、三日月とあたしの瞳をつなぐ一直線の世界に二つの夜が混ざり合う。
 さあ、虹海。
 今日は、どうだい。
 わかってきたことはある、かもしれない。少なくとも、明確な根拠もなく今日、急遽外出を決めたくらいには。理由葉ある。あと数分で迎える明日があるからだ。それは、明確だ。しかし、その根拠がわからない。その行動と結果が理由でも、それを引き起こす根拠が見当たらない。あたしは、今日なんのために外出した?ポシェット、まぁ。トートバッグ。弱い気がする。スニーカー?まあラッキーだった。値段的にも。なら一番最初が根拠か。
 スマホを取り出す。
 時刻は23時59分45秒。
 あと、15秒。
 深呼吸をして、もう一度群青色の夜を通して三日月を見た。
 雲は都合よく去ってくれた。
 
 5。
 
 またね、7月30日。
 
 4。

 3。

 2。

 1。

 バイバイ、16歳の真人。
 
 0。
 
 ようこそ、7月31日。
 初めまして、17歳の真人。
 
 スッキリしたと思った。なんでだろうかはわからない。
 でも、なんかできてよかったと思う。今まで自分のためにしかしたことのなかった、他人にとってはまるでどうでもいい儀式。
 と、その時。

「あーギリギリ遅れた」

 自転車のタイヤをドリフトさせて停車する音とともに、そんな聞き覚え抜群の声が聴こえた。




To be continued……?

基本的に物語を作ることしか考えていないしがないアマチュアの文章書きです。(自分で小説書きとか作家とか言えません怖くて)どう届けたいという気持ちはもちろんありますけど、皆さんの受け取りたい形にフィットしてればいいなと。yogiboみたいにw