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天薬 朴桜@ただの人
2024年1月24日 22:07
時は江戸中期。朴桜が生まれた頃から時は経ち、時代は享保へと移り変わる頃。まことしやかに囁かれる、廃村となった一角の東屋にあるという、猫又が切り盛りする薬屋。万病、難病を立ちどころに治すという薬屋。今日もどこかで、暖簾を掲げてお目にかかることでしょう。「ようこそおいで下さいました。……猫又の薬屋へ」─────────猫又である朴桜は、柔らかな銀灰色の尾を揺らしながら店の中の薬棚の整理
2023年11月11日 01:14
古びた薬箱が並び、薬草独特の匂いが漂う東屋。今は朽ちたかけた家ばかりが並ぶ廃村。そこに妖怪猫又が営む薬屋があると言う。─────────嘗て薬師であった心優しい人。風土病、流行り病、子供の病。声がかかる度毎日奔走し、薬を煎じていた。ーーさんの薬はよく効くよ、そうして元気に、笑顔になる姿を見るのがたまらなく好きな瞬間だと、飼い主は笑っていた。猫はその姿をじっと見ていた。忙しい毎日だ