見出し画像

「地域でパートナーシップを活かすには?」なんとSDGs推進セミナーに参加しました

こんにちは、たがやすの反中(たんなか)です。

今回は、たがやす代表/PECとやま理事を務める 鈴木がファシリテーターとして参加した、富山県南砺市主催の【地域でパートナーシップを活かすには?】なんとSDGs推進セミナーについての参加レポートと気づきをお届けします。

地域での協働やSDGsにご関心のある方のヒントになるのではないでしょうか。

南砺市エコビレッジ構想

「土徳」という豊かな自然のなかで、あらゆるものに感謝し、目に見えない力に育てられていることを信じる風土が根付く南砺市。

そんな南砺市では、2015年9月に国連サミットでSDGsが採択される以前から、持続可能な地域づくりに取り組まれています。

南砺市エコビレッジ構想
2011 年 3 月に発生した東日本大震災をきっかけに、「本当の豊かさとは何か?」と、人と人、人と自然の関係性を改めて問い直した南砺市。
「環境保全・エネルギー」「農林漁業」「健康・医療・介護・福祉」「教育・次世代育成」の 4 つの分野が相互に連携・連動しながら地域の自立と循環を図っていくことに重点をおき、まずは皆で思いを共有するビジョン(構想)を描き、取組の輪を広げていくための第一歩として、2013年3月に「南砺市エコビレッジ構想」を策定。

基本理念
「小さな循環による地域デザイン」

基本方針
(1)再生可能エネルギーの利活用による地域内エネルギーの自給と技術の育成
(2)農林業の再生と商工観光業との連携
(3)健康医療・介護福祉の充実と連携
(4)未来を創る教育・次世代の育成
(5)ソーシャルビジネス、コミュニティビジネスによるエコビレッジ事業の推進
(6)森や里山の活用と懐かしい暮らし方の再評価による集落の活性化

参照元:ECOTO

本セミナーは、なんとSDGsパートナーのみなさんに向けて、基調講演・事例紹介および交流会の2部構成で開催されました。リアル会場とオンラインを合わせて、約60名の方がご参加されました。

第1部 リアル会場の様子
第2部 参加者交流会の様子

第一部のセミナーの内容はアーカイブでも配信されています。「SDGs」という言葉だけを聞くと難しそうな気がしますが、実際にはこれまでの取り組みと地続きであること、取り組むうえで大切なパートナーシップのヒントが詰め込まれた時間でした。


コラボレーションが鍵

今回のセミナーで基調講演をされた佐藤真久氏によるパートナーシップの考え方は、SDGsなどのソーシャル・プロジェクトをはじめ、あらゆる共創の場に生かされる考え方だと思います。

本セミナーでピックアップされた主な視点は2つ

◆問題・課題はいずれも個別のものではなく、相互に深く影響し合っていること。

◆SDGsが、役割や価値観が異なるセクターどうしの「接着剤」というツールとして活用できること。

それぞれ問題解決を図ろうとした場合、一見、個別に向き合う方が合理的な解決手段を見出すことができ、短期的な対応が可能に思えるかもしれません。

しかし実際には、
・思いを持った人はいても肝心の当事者が参加していない
・補助金の分配など個別の問題どうしで衝突が発生する
・いつのまにか目的が活動の継続になってしまう
などの障壁にぶつかってしまうこと、さらには個別対応しても根本的な解決に至れないほど根深いことが多いのではないでしょうか?

・獅子舞を残したい
・こどもたちと自然を楽しみたい
・若者が流出してしまう …

本セミナーで聞こえた課題例

一見別々の問題のようで、すこし目線を引き上げると共通した目標が浮かび上がってくるように思います。

「人と自然と豊かに暮らしたい」

佐藤氏からの投げかけは、ミクロの目標は完全合意ではないかもしれないけれど、相互連関がありませんか?マクロの目標は共通していませんか?という問い直しであり、その目標には統合的問題解決ツールとしてSDGsが有用ですよ、という実例に基づいた提案でした。

地方という参画できる人員が限られた中でこそ、これまで関係性をもってこなかったひとと交流し、共通目標を見出してコラボレーションしていくことがよりよい未来を生み出す鍵なのかもしれません。

場づくりとしてのコラボレーション

本セミナーの場づくりも、コラボレーションのうえで成り立っています。

参加者・交流している方々が主役として過ごせるように、当日を迎えるまでのプロセスにおいて、コーディネーターとファシリテーターは主催ご担当者さまと以下のような対話を重ねています。

・本セミナーの本当に目指したいことをヒアリングすること。
・本セミナーのタイトル決めに立ち会い、一緒に考えること。
・セミナー構成をご担当者さまが自分の組織に説明しやすいように、一緒に考えること。

これらのプロセスを経た本セミナーでとても印象的だったことは、第2部でなんとSDGsパートナーのみなさんの交流がとまらなかったことです。「まだまだ話し足りない聴き足りない!」と参加者から声が漏れ出てくるほどに、終始お互いに耳を傾け思いを話す様子が見られました。日常的に、自分ごととして地域のことを考えているからこそ、生まれた時間だったのではないかと思います。

この場でなにかが解決してしまうことはないけれど、同じように地域のことを考え、悩み、でも変えたいね、と仲間と共有する時間が、パートナーシップの土台となり、あたらしいコラボレーションのはじまりにおいて大切であることを実感しました。

また、個別の課題はちがっていても「発信していくことが難しい」という共通課題の声も聞こえていました。方法を交換し合うことで、広範囲でのコラボレーションも生まれていきそうです。

おわりに

富山県は、人との関わりを大切にした売薬を通して、銀行や水力発電、容器製造など複数の産業を発展させてきた地域です。

「SDGsを目標にコラボレーションをする」と表現するとなんだか新しく難しいように思いますが、もともとはコラボレーションが活発な地域だったのではないでしょうか。

すでにある、心根にながれる文化や風土ともコラボレーションできたら、より豊かな暮らしに近づける気がしてなりません。たがやすでは、ひきつづき一人ひとりが輝く土壌(社会)をつくるために、すでにあるヒト・もの・コトを生かした活動を行っていきます。

●コーディネーターネーター:PECとやま 常務理事・事務局長 堺勇人氏
●ファシリテーター:鈴木耕平氏


佐藤 真久(さとう まさひさ)氏のご紹介

東京都市大学大学院 環境情報学研究科 教授 筑波大学卒業、同大学院修士課程環境科学研究科修了。英国国立サルフォード大学にてPh.D.取得(2002年)。地球環境戦略研究機関(IGES)の第一・二期戦略研究プロジェクト研究員、ユネスコ・アジア文化センター(ACCU)の国際教育協力シニア・プログラム・スペシャリストを経て現職。現在、UNESCO ESD-Net 2030 フォーカルポイント、UNESCO Chair(責任ある生活とライフスタイル)国際理事会理事、東京大学附属学校教育高度化・効果検証センター協力研究員、IGESシニア・フェローなどを務める。 UNESCO ESD-GAPプログラム(PN1:政策)共同議長、国連大学サステナビリティ高等研究所客員教授、「国連・ESDの10年」ジャパンレポート有識者会議座長、認定NPO法人ETIC.理事、JICA技術専門員(環境教育)などを歴任。 協働ガバナンス、社会的学習、中間支援機能などの地域マネジメント、組織論、学習・教育論の連関に関する研究と実践を進めている。

本内容にご関心を持たれた方は、こちらのご著書がおすすめです。
◆ソーシャル・プロジェクト12ステップ コレクティブな協働なら解決できる! SDGs時代の複雑な社会問題 佐藤真久・広石拓司 著


記事の更新については、Facebookでもお知らせします。こちらも併せてフォローいただけるとうれしいです。