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【人生を彩る——TM34ができるまで——】(2)
ある日、「コロナ禍」と呼ばれる時代が突然始まった。
そして、いくつも絶望を感じた。
大小はあれど、世界中の誰もが、何かしらの苦しみを感じただろう。そしていまも、続いている問題があるのだろう。
自分が最初に感じた絶望は、「産めない」ことだった。
作品や役は「子供」に、皆様に届けることは「出産」に例えられることがある。
稽古していたのに、ヴィジュアル撮影は済んでいたのに、場当たりしていたのに、情報解禁できる日を楽しみにしていたのに——色々な子供たちを産めなかった。
「中止なりました」の連絡が本当に苦しかった。
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頭では理解している。
苦しいのは自分だけではないのだ。
未知なる状況なのだ。
人が集まることは危険なのだ。
その通りだ。
何より安全第一だ。
ただ、次々と作品(仕事)が失われていく中で感じてしまった。
「君たちの仕事は要らないよ」と。
「君は要らないよ」と。
そう言われているようだった。
実際にそのような言葉を見聞きもした。
頭では理解している。
危機的状況でエンターテイメントが不必要な人もいるだろう。
当然だ。
だけどわかっていても悲しかった。正直に言えば、僅かながら怒りもあった。
しかし、悲しんでいても怒っていても、それだけでは何もはじまらない。
すぐに元通りになるはずだ。
そう信じて、まずはその様な状況でも自分を求めてくれる人たちや、応援してくれる人たちのために何かできないかを考えた。
それは、失い続ける日々の中でどうにかもがきたい、自分のためでもあった。
自分のファンクラブで、ほぼ毎日生配信をした。
「おはよう!」の挨拶だけでも、「一緒に頑張ろう!」だけでも、リアルタイムで繋がっていることで少しでも救われる想いがあるかもしれない。演技(仕事)ができないいま、自分にできることはこれしかないのかもしれないと。
実際は、自分自身が一番救われていたのかもしれないけど。
しかし、先の見えない日々が続く中で、さらに無力を感じはじめた。
監督がいなければ、演出家がいなければ、台本がなければ、舞台がなければ、映画がなければ、テレビやラジオがなければ、創ってくれる人がいなければ——自分は何もできないのかもしれないと。
台本を書いてみた。
絵を書いてみた。
写真を撮ってみた。
そしてYouTubeのチャンネルを作ってみた。
動画を撮ってみた。
編集もしてみた。
ラジオみたいなこともしてみた。
いずれ「役者」の「芸」の肥やしになるだろうと、場所を作っておけば、いずれ自分の為にも誰かの為になるかもしれないと、毎日何かしら小さくてもチャレンジしてみた。
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当然、すべてそんな甘いものじゃない。
しかし、何かに挑戦する時間は、ただ何もせずに途方に暮れているよりも幸せだった。やってるつもりだった可能性はあるが、少なくとも自分の性には合っていた。
そんな中、重ねて持病である群発頭痛(極度の偏頭痛)が爆発し、2ヶ月ほど動けなくなった。
二つ目の絶望だった。
「役者」ができないとき、「仕事」がないとき、「体調」が悪いとき、自分には何ができるのか?と自問自答の日々だった。
そんなとき、三つの言葉が胸に突き刺さった。
それは苦しくもあったが、次の道に進むきっかけとなった。
「金儲けしようとしてて気持ち悪い」
「役者なのにダサい」
「別に違う仕事すればいいじゃん」
さらに、人生を考える速度が加速した。
(3)へ続く。
いつもサポートありがとうございます。余す所なく血肉に変えて、彩りを返せるよう精進します。心より深謝。