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役者とは|谷口賢志note

劇場からの帰り道。暗闇に違和感を覚え立ち止まった。いつもは輝いていた場所だった。お洒落な英語看板の存在自体がいつの間にか消えていた。

強い思い入れを持っていたお店ではなかった。だが、当たり前に存在した光景が一瞬で消滅している様に、意外にも大きく落胆した。ご時世の影響だろう。もう、何かが失われることに疲れてしまっているに違いない。

破壊と創造と言えば聞こえは良いが、それはあくまで自分自身の中で行うことであり、他者により壊され、他者により創り変えられる絶望は計り知れない。

そんな中、誕生という光に救われる。

仲間の子供が生まれた。仲間が新曲を生み出した。仲間が新作を創った。仲間が新たな挑戦をした。そして、世界に新しい朝が来る。

新しい何かを生み出し続ける人間でいたい。

同じ舞台、同じ戯曲、同じ役であろうが、時間は、空気は、体調は、お客様は、毎回違う。だからこそ、毎回新しい感情を表現を探し続けたい。届けたい。

『BANANA FISH』The Stage -後編-

僕らはまた失った。

沢山の光が生まれた作品だった。

だが、止まらない。

僕らにはまた生み出す力がある。

新しい何かに出逢うために生きることができる。

役者とは、あなたに出逢うことと見つけたり。


谷口賢志


映画『文豪ストレイドッグス BEAST』

谷口賢志FC『独演会』

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