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【試合レポート】2020年10月25日 秋季東京都大会2回戦 国士館1-2八王子 @ダイワハウススタジアム八王子

来春の選抜の出場権をかけた秋季東京都大会。その2回戦は、西東京の強豪同士の対決となった。

国士館は一昨年、昨年と秋の東京を連覇し、2年連続で春の甲子園に出場している(2020年の春の甲子園はコロナウイルスの影響で中止)。ディフェンディングチャンピオンとして順当にブロック予選を勝ち抜き、本大会の初戦を迎えた。国士館に挑むのは「ありんこ軍団」こと八王子学園八王子(以下八王子)。2016年夏には、準々決勝で当時2年の清宮擁する早実を破り、勢いそのまま初の甲子園出場を決めている。

国士館の先発はエース左腕の常盤、八王子は身長191センチの大型左腕・羽田がマウンドに登った。羽田はプロ注目の好投手。ブロック予選2回戦の昭和第一戦では1失点12奪三振の完投勝利をあげている。

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↑ 国士館・常盤投手

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↑ 八王子・羽田投手

試合は両投手が盤石の立ち上がりで、3回まで互いに1安打無失点に抑える。試合が動いたのは4回。国士館が安打2本で一死一三塁のチャンスをつくると、5番林がカウント1-1からスクイズ成功。永田監督らしい堅実な野球で先制点を挙げる。八王子はその裏、安打と犠打で一死二塁とするが、4番羽田、5番小高が凡退して無得点。その後両者ともに毎回走者を出すが、常盤、羽田両投手があと1本を許さない投手戦。1-0と国士館リードのまま9回を迎える。

9回表の国士館は先頭の5番林がストレートの四球で出塁する。国士館はこの試合4度目の先頭打者出塁だ。ここで八王子ベンチは羽田に代えて背番号11の星野をマウンドに送る。続く6番善波は当然バントの構え。しかし2球目をバントすると投手前へやや強く転がり、1-6-3の併殺。7番横手も遊ゴロに倒れ、無得点に終わった。

9回裏のマウンドには引き続き国士館のエース常盤が上がる。打たせて取る投球で、8回まで93球とテンポよく投げてきた。1点を追う八王子は5番小高からの攻撃。2球目を打って三ゴロかと思いきや、国士館の三塁手・横手が失策で出塁を果たす。6番渡邉は空三振に倒れるが、同時に一走・小高が盗塁を決める。さらに7番奥は四球を選んで、一死一二塁と同点あるいは逆転サヨナラのチャンスをむかえた。打順が下位に下るなかで八王子は代打攻勢。8番の代打で蓑田を送るがここは空三振。9番の代打・中村渠は四球で二死満塁とする。国士館ベンチはここも常盤続投、そして打席には今日ここまで2安打の1番安藤が入る。国士館にとっては絶体絶命、八王子にとっては絶好のチャンスだ。

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追い込まれていたのは常盤だった。完封ペースでサクサク投げてきたが、9回へきて最大のピンチ。この重圧のかかる場面でボールを制御できずにカウント3-0としてしまう。そして4球目も外れて押し出しの四球。ついに八王子が同点に追いついた。たまらず国士館は常盤に代えて同じく左腕の齋藤をマウンドへ送るが、流れを断ち切ることはできない。2番新田の打球は一二塁間へ転がる。国士館の二塁手でこの回から守備についていた渡井が懸命に追いつくが送球できず…。内野安打となって八王子がサヨナラ勝利を決めた。

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試合を振り返ると、国士館・常盤、八王子・羽田の素晴らしい投手戦に尽きる。試合は勝敗が付いたが、両者の投球は甲乙つけがたいものがあった。注目の羽田は今日は7奪三振。長い手足を使ったバランスの良いフォームから投げ込むボールはたしかに好投手という印象だった。タイプとしては横浜高にいた及川投手に近いだろうか。しかし、まだまだこれからという印象が強い。高身長左腕というだけに大成するのは容易ではないだろうが、高校より先のステージも含めてスケールの大きい投手になってほしい。

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