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「人間社会の未来について」2 結城 悠木

のどぐろ1,500円


1.資本主義と民主主義の二律背反

 まず私が考えたことは、資本主義と民主主義が共存しているように見える現代社会への違和感です。

 それについて一度この両者を並べてみます。少し長くなりそうな予感です。

1-1.資本主義の始まり

 資本主義とは”生産手段を所有する資本家””労働者を雇用””利益を追求する”こと。
 このベースは16世紀、イギリスを中心とした絶対王政下の工場制手工業によって形成され、18世紀半ば、産業革命で今の資本主義の形が成立した。

 では前身であった工場制手工業どのような経緯で始まったのか。
 少し資本主義の始まる前を見てみます。
遡れば”封建制”の限界。それが結果、資本主義を成立させたとも言えるからです。

・封建制について
ヨーロッパでは8世紀から600年間、日本では12世紀の頼朝から始まり明治維新まで700年間、長い間人間社会を形成した。

封建制とは”権力者(領主)が領地から年貢を取る社会システム”で、権力者は領地を管理することで財産を維持した。
長い農業生活で農民たちの技術は進歩し、全体的な生産量は増え、そのおかげで豊かになった権力者たちは次に娯楽に目覚める。
各地で物々交換が行われ、器用な人たちは農作物以外の物を作ることでも生計を立てること出来るようになりました。
これが進むことで手工業が増え、組合のようなものも出来始める。次に物を持ち寄り、交換することが面倒であることに気が付いた人間は”貨幣経済”を導入。

16世紀、権力者たちは財産を守るために王を頼るようになり、その結果封建制後期では絶対王政が始まる。
王は権力を守るため官僚制を敷き、同時に軍隊を持った。
この体制の維持には非常に金が掛かり、絶対王政は農業よりも商業を重視し、外国との貿易で利益を得るようになった。
ヨーロッパでは毛織物の需要が高まると、土地の狭いイギリスでは領主が農民から農地を取り上げ羊を飼うようになる。

その結果、仕事を無くした農民は毛織物工場へと自分の労働力を売るしかなくなり”労働者””手工業”に就くようになる。

17世紀、イギリスでは清教徒革命・名誉革命によって王は権力を弱め、絶対王政は立憲君主制に移行。
18世紀、機械を取り入れることで工場は”工場制手工業”から”工場制機械工業”へと変わり、その生産力を爆発的に上げた。これが産業革命。

こうして権力者たちの飽くなき利益追求に対するモデルは生まれたと私は考えます。
つまり人間の欲望は当時の社会システムであった封建制を越えたわけです。これが封建制の限界。

・資本主義への移行 (次に人間の欲望を満たすモデル)
権力を弱める王とは対照的に、工場を持つ資本家たちは財産を増やした。
資本家たちはその利益で機械の改良を進め、さらに利益を追求。
こうして資本家階級と労働者階級、それぞれの立場がはっきりと決まった。


1-2.資本主義の現在


ドナルド・トランプ米国大統領やボリス・ジョンソン英国首相、フィリピンのロドリゴ・ドゥテルテ大統領など、現代の指導者は豪胆・豪放な”強い”とされる人物が選ばれることが最先端となった社会。
この流れは非常に面白くもあり、至極当然の事象であると言えるかもしれません。


こういった指導者の乱立は、時代に合わせたポピュリズム(大衆迎合主義)であり、こういった結果は”現在の資本主義”が大きく関係しているように思います。

・お金(資本)について
 物々交換の無駄を最小限にし便利にしたものがお金であり、つまり物やサービスと交換するための存在が”お金”である。
 それくらいの存在であったお金だが現代ではその目的を変え、それ自体をタンスに貯めていく(内部留保)ことが目的となりました。お金自体に価値があると。

 こういった状況から推測するに、大衆は”お金(資本)”を持つ者に迎合するだろう。ということ。
 民主主義の代表的なシステムである”選挙”が資本主義によって支配されている構造であると言えるのではないだろうか。


1-3.資本主義の限界

 資本家の中で“デジタル資本主義”による新しい資本主義の台頭が懸念されている、らしい。

 黎明期を越え、過渡期も落ち着きつつあるIT業界でその価値を高め続ける大手IT企業は莫大な富を独占。
 AIやビッグデータの活用によって彼らはさらなる富、つまりお金(資本)を手に入れる。
例えば機械化が進むことは18世紀産業革命を見れば分かる通り、権力者に莫大な利益を齎すのです。

では労働者はどうだろう。
機械化によって労働者の需要と供給のバランスが崩れた場合、彼らを養うのは誰であるのか。これはお金(資産)を持っている人以外にはないだろう。

 どこか地域を決めてそこで牧場のように元労働者たちを飼うのか、飢えない程度のベーシックインカムを毎月無条件で振り込むのか。社会保障や年金は?
 など暇を持て余さない程度のテーマです。

 言ってしまえば”働かなくて良い社会”が目の前まで近付いてきているわけで、これは労働のない世界。とても人間らしい世界かもしれません。
 それが資本主義の次の形になるのか、はたまた最後の形なのか、それともそれはもう資本主義社会ではないのか、我々は次の社会システムをどう定義するのでしょう。非常に興味があります。


第3部では民主主義について見てみます。

お時間の許す方は次のビールを片手に一緒に妄想していきましょう。

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