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坐薬、嫌だったよね?【薬の体内での一生】

ケツの穴からぶち入れるなんとも嫌な薬、その名も坐薬。

子供のころ、大敵として君臨し我々の前に立ちはだかった経験が誰にもあるだろう。

なんであんな辛い思いをしてケツから薬を入れなくてはいけないのだろうか?
飲み薬とどう違うのだろうか?

今回は坐薬を通して、薬の体内での一生について解説していきたいと思います!

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1. 薬のADME

体内に入った薬は、一体どのような一生を遂げるのでしょうか?

薬の体内での一生を表す言葉でADMEと呼ばれている言葉があります!

吸収分布代謝排泄の各頭文字をとったものです。

例えば、飲み薬として体内に入った薬は、小腸まで届き、吸収され血液に入ります。吸収された薬は血液という波に乗り、全身を巡ります。つまり全身に分布するのです。そうしてその薬が作用すべき病気の部位に到達するのです。

薬は、一通り体内を巡り終わった後、体内から出ていかなくてはいけません。いくら薬と言えど体内からしたら部外者ですから、よそ者は排除しなければならないのです。この排除のことを排泄と言いますが、排泄をする前に薬を排泄しやすい形に変換しなくてはいけません。この変換を代謝といいます。

最後に、代謝された薬は尿または糞に紛れて排泄される訳です。

以上のように吸収→分布→代謝→排泄の順に薬は生涯を遂げる訳なんです!


2. 吸収された薬は肝臓で代謝を受けてから全身を回る

実は、先程少しだけ嘘をつきました!

小腸から吸収された薬は、全身を巡る前に一回肝臓を経由します。

肝臓は薬を代謝する役割を担っています。

つまり、どういうことかわかりますか??

吸収してから分布する前に、一回代謝を挟むということになるということです!

このことを、専門用語で初回通過効果といいます。

もう一度言いますが、代謝とは排泄しやすいように薬の形を変えるということなので、違う言い方をすると、薬の効果が弱まるということになります。

よって、飲み薬は基本的に胃や小腸から吸収されるので初回通過効果を受けて薬効が弱まってしまう訳なんです!
なので飲み薬を設計する際にはこの初回通過効果を考慮して設計する必要があるのです。


3. 坐薬は初回通過効果を受けない

もう言いたいことが分かった方、多いんじゃないでしょうか??

坐薬はケツから入れることで、初回通過効果を避けることができるんです!

上の例のように、薬が小腸から吸収されれば、肝臓を経由するので初回通過効果を受けますが、ケツから入った坐薬は直腸の下部(大腸のほんと肛門寄りのところ)から吸収されます。

ここの血管は、肝臓を経由しないでそのまま全身を巡るので、初回通過効果を受けないという訳なんです!

これが薬をケツから入れる理由なんですね!


4. まとめ

坐薬のメリットをまとめたいと思います!

まず上で述べた通り初回通過効果を受けないので、薬の設計がしやすいんですね。

初回通過効果で薬効が小さくなることを見越して、服用量を多くしたり薬効がより強くなるように設計してしまうとその分副作用も大きくなってしまうので初回通過効果の考慮というのは厄介な訳です。


他には、飲み薬が飲めない小さいお子さんや高齢者にも用いることができます。


そして、坐薬の1番のメリットと言われてるのが、即効性です!

飲み薬だと、吸収部位である小腸にたどり着くまでに時間がかかってしまいますが、坐薬は比較的早く直腸下部にたどり着くため、即座に吸収されます。


坐薬の説明は以上になります、お疲れ様でした!

坐薬は子供の敵ではありますが、ADMEを考えた時に実は子供の味方であったということなんです!
見た目が気持ち悪くて嫌われてるだけなんです、ロッチ中岡みたいなもんです(違う)(ごめんなさい)

まあ今回の記事ではADMEと初回通過効果という言葉を覚えてもらえればと思います。
知ってたら結構博識感出ると思いますよ?笑


ってことで、ggy

僕の研究を応援して頂ければ幸いです!