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薬学博士は他学部より学位を取得しやすい??

薬学生なら博士進学しても悪くないんじゃないかなぁと実際に博士に進学して思うようになった。つまり、ネットとかには書かれていない体感的理由だ。今回はその理由をいくつか紹介しようかなと思う。ただ、前もって断っておくが「悪くないんじゃない?」というだけで「進むべき理由」ではない。

理由1つ目は、タイトルにもある通り、他の学部の博士に比べて卒業しやすいからだ。
博士課程を卒業するには、卒業要件を満たさなければいけない。つまり、論文を執筆し受理される必要がある。それは逆に言えば、論文を出すまで卒業できないということになる。俗にオーバードクターと呼ばれるものだ。通常の学部なら博士の標準修業年限は3年(医学科、薬学科は4年)なのでD1・D2・D3とその学年を表すが、オーバードクターするとD5などB5と聞き間違えたかな?と思わずにはいられないナニモノかが爆誕する。

薬学部の博士課程でオーバードクターは少ない。少なくとも僕は見たことがない。その詳しい理由は分からないが、おそらく薬学部にはベースにちゃんと標準修業年限までに学位を取らせようという考え方があるからだと思う。何当たり前なこと言ってるんじゃと思われるかもしれない。現に僕も大学院に入るまではそうだと疑いもしなかった。だが、実際にオーバードクターの存在を知りSNSで様々な分野の情報を知ると、他の分野ではそれが当たり前ではないことを知り、酷いところでは最初からオーバードクターさせる気で計画を立てられてるんじゃないのかと思わざるを得ないお気の毒な方まで観測した。大きな研究はたくさんの院生の屍の上に成り立っているというよく聞く言葉を初めてリアルに感じた。

もちろん、そうでないラボもたくさんあると思うし、薬学部だから言ってオーバードクターしないわけでもない。とどのつまり、そのラボのボスによる。ただ、全体の傾向から考えるに薬学部は他学部に比べて学位を取りやすい。これは将来が確約されるという点においては大きなメリットであると考える。

理由2つ目は、薬剤師免許を有するからである。
これはさらにポジティブな面とネガティブな面に分けられる。
ポジティブな面で言うと、薬剤師免許を有するということは、研究で基礎面の知識を培うのはもちろん、応用面、つまり臨床的な知識にも強いということだ。このことは自分の力でキャリアを切り開く際には強い武器になる。世界のトレンド的にも薬剤師免許持ちの研究者を増やす流れである。これまで散々どうこう言ってきたが、僕は薬学専攻ではなく薬科学専攻である(笑)。つまり、薬剤師免許は有していない。これが尾を引いて自分の将来を狭めているのだ。企業に就職するにしても免許を持たなければできない仕事はさせてもらえないし、アカデミアに残るにしても薬学部に残るならラボによってはPIになることができない。つまりただでさえ少ないポストがより少なくなってしまう。逆に言えば、免許を有することで仕事も就ける役職も増えるということだ。

ネガティブな面で言うと、腐っても国家資格であるからだ。
万が一卒業できなくても、喰いっぱぐれることはない。こういうととてもネガティブに聞こえるかもしれないが、将来不透明な博士課程にとってはとても大きなメリットである。これからの将来を考えると薬剤師になれるかは確約はできないが、その国家資格でしかできない仕事がある限りフリーターになることはない。


繰り返し言っておくが、今回は「悪くないんじゃない?」というだけで「進むべき理由」ではない。個人的にはメリットデメリット云々考えているうちは博士課程には向いていないというのが持論である。リスクを考えるとどう考えても進学できない実態は続くだろうから、残念ながらこの国においては博士学生は大事にされていないようなので。ただ、その中でも薬学部だったらまだ…というお話。。。


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