薬学生と一緒に見るアンサング・シンデレラ⑨
(前回の記事はコチラ↓)
とうとう瀬野さんの病状が明かされましたね。
正直言ってこれもう無理でしょって感じだと思うんですけど(笑)、葵との愛の力(?)で何とか治ってほしいですね。(テキトー)(クソ妄想)
今回は、小野塚さんが救急の見学に来ていた時のシーンを切り取っていきます!
原因不明の、意識がない患者が搬送されてくる
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患者には痙攣が見られ、カバンの中にはパロキセチンが入っていた
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セロトニン症候群だと判断し、ジアゼパム、ダントロレンを投与
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痙攣が収まる
まず、パロキセチンから説明していきます!
パロキセチンとは、俗にいうSSRIと呼ばれる薬で、これを知らない人は薬学部じゃない!というくらい有名な薬です、はい。(多分。。。)
SSRIは脳内のセロトニン濃度を上昇させる薬です。これにより抗不安作用であったり、抗うつ作用を示します。
あっ、これは余談ですがうつと不安は似ているようで違います。抗不安薬もあれば抗うつ薬も存在し、SSRIのようにどっちも兼ねている薬もあります。
この二つがどう違うかって言われた時に、あなたはどう答えますか?
一応、研究の世界では不安は未来を心配し、一過性(瞬間的)のものが多いと特徴づけられていて、うつは過去を後悔し、連続的であると特徴づけられています。
対象の”時制”が違いますね。「明日のテストが不安。」だし、「昨日のテストのせいで憂鬱。」であるのです。哲学みたいですね(笑)
また、不安症になると痙攣や呼吸困難などの機能障害が見られますが、うつ病ではそれらがあまり見られません。
しかし、それらの詳しいメカニズムの違いは未だはっきりと解明されていません。
…話が脱線しすぎましたね(汗)
瀬野さんはカバンの中からこのパロキセチンを見つけ、痙攣していることから、セロトニン症候群なのではないかと考えました。
セロトニン症候群はSSRIの主な副作用として発症する場合が多いです。
SSRIは従来の抗うつ薬より副作用が少ない画期的な薬であるのですが、この副作用がでてしまう場合があるのが難点であります。
ドラマ中では明らかに薬の飲みすぎで患者が悪いのですが(笑)
脳内のセロトニン濃度が高くなりすぎると起こるのがこのセロトニン症候群です。主な症状に痙攣、頻脈等があります。要は、脳が興奮しすぎてしまった状態になるんですね。
そこで興奮を抑える薬、ジアゼパムを投与したわけです。
実はこのジアゼパム、第4回の記事でも述べたGABA受容体に作用する薬なんですね!ですので、抑制性神経が活性化して脳の興奮を抑えるわけなんです。シーズン終盤にして繋がってきましたね!
(第4回の記事はコチラ↓)
最後に投与したダントロレンは本来、違う症状に用いる薬なんですがセロトニン症候群にも効く報告があるので、臨床で使っているようです。どれくらいの頻度で使われているかは、、、ちょっと医者に聞いてみてください(笑)
まあこのように詳しい作用機序がわかっていない薬というのは割とあります。しかし、十分に治験を行い安全性は確認されているので、心配する必要はいっさいありませんのでご安心ください!(一つの薬が作られるまでには10年以上かかり、そのうちの大部分が安全性の試験に費やされています)
って感じで、今回は簡潔に終わりたいと思います!
来週はもう最終回なんですね…次回は絶対解説することないと思うんで、悲しみに浸る記事になっていると思います、、、笑
では、ggy
僕の研究を応援して頂ければ幸いです!