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『検索窓の世界 ⑧大人』


「大人」と入力して、検索。


十分に成長した人。成人。
考え方や態度が十分に成熟していること。思慮分別があること。
一般に「子供(こども)」という表現と対比されている。

大人の休日倶楽部/JR東日本

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18歳から“大人“に!精神年齢引き下げで変わること、変わらないこと。


大人の概念を調べると、非常にさまざまな意見や考えがヒットする。
そのため、似通った、なんだか面白くない文章になってしまいそうな予感しかない。
どうせ、「大人になるとはどういうことか」という問いに対して、「それは『自立できていること』や『自らの行動に責任を持つこと』だ(ドヤ)」とかいう回答で、「まだまだ僕は大人になれないな…(哀愁)」とかいうオチで締めくくるのだろう。
そんな声が聞こえてきそうなので、予防線を張っておきたい。
皆さまの予想以下です。僕はまだ子供なので、ハードルは低く設定します。うんと。

子供の頃、大人になったら何がしたかったかを思い出す。
一人暮らし、お酒を飲む、煙草を吸う、SEXをする、車を運転する、大人買い…
ありきたりな単語を並べてみたが、これらは実際には大人でなくてもできる。
自立できていなくても、行動に責任が伴っていなくても、簡単にできてしまう。

フリーペーパーR25の調べによる、「大人になった瞬間」ベスト3は以下の通り。

1位 お酒が飲めるようになった
2位 自分で働いてお金を稼いだ
3位 選挙権が与えられた

なるほど。やはり、お酒・お金=大人のイメージは強いのだろう。

また、10位に、年下のアイドルがデビューした、とある。
確かに、あの頃TVで見ていた高校球児、アイドル、AV女優が年下だとわかった瞬間、大人になったなあ、と思うようになる。
TVに映る人達が、なぜか大人ぽく見えるのはどうしてだろう。
ゲレンデマジックならぬ、大人マジックがあるのだろうか。

TV越しではない、眺める景色が大人を感じさせることもある。
深夜のコンビニ、明け方の居酒屋、最終電車のホーム、忙しない交差点、空虚なビル…
何てことのない景色が、営業回りや会社帰りに見ると、大人マジックがかかる。
ラーメン屋のサラリーマンは、マジック増し増しだ。

どうやら、大人と子供の境界線は「あきらめ」を受け入れているかどうかにあるらしい。
夢、憧れ、願い。子供の頃は数々の想いがあって、遥か未来にその想いを馳せていた。
それが、子供の役目の一つでもあった。

しかし、大人になるにつれ、大人は可能性を絞り込む。
たくさん着込んでいた夢や憧れや願いを、「あきらめ」というナイフで一枚ずつ剥いでいく。
薄っぺらになった生身に近い人間が大人であり、それを受け入れるのが大人の役目でもある。

「こんなもんだろ」「まぁいいか」「どうせあとちょっとだし」
吐き捨てる台詞は、大人になった証なのかもしれない。
そう思うと、僕は子供の頃からこんな台詞を息のように吐いてきた。
「まだまだ僕は大人になれないな…(哀愁)」で締めくくるつもりだったのに、案外、早くから大人になれていたのかもしれない。

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