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最後は結婚式で終わらせないでほしい


残り時間、12分。僕は心の中で祈る。
どうか、監督、おねがいしますっ…!

ラブコメや恋愛系の映画を見ると、エンディングが結婚式のシーンの場合がある。
紆余曲折、苦労の末にカップルになったかと思えば、すぐに別れてしまい、ライバルが現れて三角関係になり、紆余曲折、遠距離になったり、喧嘩したり、交通事故に遭ったり、最後にもう一度言うが、紆余曲折あって、最終的に結ばれる。
それはそれはハッピーエンド、大円団、めでたしめでたし、といったところだろう。


結婚式が見栄え的にも一番わかりやすく、エンディングテーマがかかり、これまでの登場人物も再集結、ライバルだったあいつまで拍手をしている姿に胸を打たれる。
ハワイだろうが、チャペルだろうが、色鮮やかな花とシャンパンとドレス、彩りも完璧だ。
鳩や風船が青空を飛び、そのままエンドロールへ。
うんうん、紆余曲折あったけど、二人が報われて良かったと涙する人もいれば微笑む人もいるだろう。
いずれにせよハッピーな余韻に浸りながら、テイラー・スイフトでも聴いて眠りにつくのだろう。






普通の人は。







僕は、絶対に結婚式エンディングはやめてほしい。そんなありきたりな終わり方、つまらなすぎる。
ラブストーリーの結末が結婚だなんて、指輪の交換だなんて、愛の口づけだなんて、そんなのあんまりだ。

もちろんのことだが、結婚式はすべての人にとってエンディングではない。
むしろ二人の人生の始まりのセレモニーだ。
それなのに、最後に結婚式を持ってきて残りの人生をバッサリと切り取る。
せめて、家庭内のささやかな日常とか、少し先の子供との未来とか、もうちょっと頑張って描いてほしい。
結婚式の二次会の場面で終わる映画も見たことないから、最悪それでもいい。


そうでもしないと、僕は暗にメッセージを潜めているのでは…と勘ぐってしまう。



二人の物語のハッピーエンドは結婚式。
その後の物語は皆様の想像にお任せします。
(※日本の離婚率は約35%です)



もちろん、その物語のメッセージが何かにもよる。
ゼクシィが絡んだ「皆さん、結婚式ってこんなに素晴らしいんですよ」というメッセージかもしれない。
婚活サイトが絡んだ「こんな素敵な出会いをしてみませんか?」というメッセージかもしれない。
全国のお父さんが絡んだ「花嫁姿見せてほしいなあ…」というメッセージかもしれない。
知らずのうちに、サブリミナル的に、何かを刷り込まれているのかもしれない。



そんな都市伝説的な展開を妄想しながら、Amazon primeで恋愛映画を見る。
終盤に差し掛かったところ、焦る。


(ヤバい、この感じ、結婚式で終わりそうだぞ…)


残り時間的にも、強引に結婚式クローザーが抑えてしまいそうだ。
安定の結婚式なら、7割の人は納得するだろう。レビューも安定して3.5くらいはつくだろう、という制作者側の声が聞こえてきそうだ。
やめてくれ。逆にここで破局して、モヤモヤからの続編にしてくれ。


お願いだから、最後は結婚式で終わらせないでほしい。


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