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「Leica Q3」実用レポート!(その3 ブリージングテストと夜間撮影編)

 前回前々回までに、ハイエンドフルサイズコンパクトデジタルカメラ「Leica Q3」の良いところを主に扱ってきた。本当にLeica Q3はすばらしいカメラだ。しかしもちろん、このQ3にも課題点が無い訳ではない。今回は、その直面しやすい課題の一つである「動画でのフォーカスブリージング(焦点移動による画角の変動)」と、その解決方法についてのTipsから始めたい。

動画でのブリージングはAFsかMFで解決!

 いきなり答えを言ってしまうと「Leica Q3の動画でのフォーカスブリージング問題はAFsかMFで解決」する。まずは動画を見てほしい。

 このように、iAFやAFcでは不気味に焦点が前後し続け、画角そのものも動き回っている現象が、AFsやMFではピタリと定まって安定する。従って、Leica Q3の動画撮影においてはiAFやAFcは使わずに、極力マニュアルフォーカスとし、オートフォーカスを使うにしても、カット頭や決めるべきポイントポイントでAFsを用いてスタティック(静的)なフォーカスをするのが望ましい、という事になる。
 まず、このiAFやAFcでのフォーカスブリージング現象の出やすい条件だが、こうした焦点部分が常に変化し続けている映像ならほど確実に出てしまう。というのも、Leica Q3の被写体追跡は極めて優秀なのに、そもそもLeica Q3内蔵のレンズは、元から静止画であってもフォーカスブリージング(焦点調整による画角の変化)が出やすいカメラであるからだ。人間だけでなくペットの目にまでもフォーカスを合わせてくれる最新フォーカス技術の優秀さが、iAFやAFcモードでは徒になっていると言える。

静止画でのフォーカスブリージング

 ではここで、Leica Q3の静止画でのフォーカスブリージングを見てみよう。下の写真は、カメラ固定で、0.3m~無限遠の変化をさせた写真だ。

距離0.3mだともちろんピントは合わないが左右の木の端に隙間がある画角なのがわかる
無限遠だと、同じレンズの画角なのに右側の木が半分見切れてしまう!左側の木の横のスペースも狭くなっている

 ご覧の通り、Leica Q3のレンズ「ライカ ズミルックスf1.7/28mm ASPH.」では、元からかなり強めのフォーカスブリージングが存在していて、このレンズでもってして正確な追跡を行うために、動画でiAFやAFcなどの常時追跡機能を使った場合、フォーカスブリージングが目立ってしまっていることがわかる。一般的にレンズは小型化すればするほどフォーカスブリージングの抑止が困難になるため、Q3のコンパクトなボディサイズと性能を維持しようと思ったら諦めるべき部分だと言えるだろう(というか交換式レンズでもコンパクトなLeica Mレンズは基本的に強めのフォーカスブリージングが出る。Mレンズシリーズより高性能なSL向けレンズが巨大なのは、プロ向けを意識したSLシリーズにおいてはこのフォーカスブリージング抑止を目的としている部分が大きいだろうと推測される)。
 とはいえ、Leica Q3のこの課題点は、正直、問題点と言うほどのことでもないだろう。解決方法は非常にシンプルであった。
 ここは素直にレンズをひねってマニュアルフォーカスか、あるいはどうしてもAFを使いたい場合にはAFsを使うといいだろう。
 Leica Q3が、極めて優秀で使いやすいカメラなのは間違いが無い。

素晴らしいLeica Q3の画質

 Leica Q3の描写力は本当に素晴らしい。交差点で軽く横を向いてシャッターを押しただけでこの画質である。

何の気なしに横断歩道でノールックで横にシャッターを切っただけでこの絵。もちろんJpeg一発出し

 新しい裏面照射型6000万画素フルサイズセンサーは夜間撮影に強く、非常にイージーに素晴らしい絵を叩き出す。下に、試しにフルオート撮影で撮ったJpeg一発出し写真を3枚載せよう。

フルオート撮影。手前から奥まで鮮明に写っている
フルオート撮影。深夜の海沿いでも街灯だけでフルオートでちゃんと映る
フルオート撮影で手軽に深夜にこの絵が撮れてしまうのは、あまりに凄すぎる

 このレンズとセンサーの異様な描写力は、近距離でも発揮される。
 レンズの手前をひねってマクロ機能をオンにすればごらんのようなフードショットも自在だ。

Leicaのフルオートでフードが撮れる時代だ。信じられない。

 こうした先端機能だけでなく、もちろん、フルマニュアルモードにすれば、Mシリーズもかくやという操作感と絵が得られるのもLeica Q3のいいところだ。Leica Q3のシャッターは、レンズシャッターを用いている。そのため、横パンでの撮影にも強く,素晴らしい操作感を持っている。
 なによりも、軽量で、そしてレンズ交換がないために防塵防滴での利用が出来るのも頼れる。
 もちろん、Leica Q3はあくまでもコンパクトカメラであり、Mシリーズのようなシチュエーションに合わせたレンズの選択は出来ないし、SLシリーズのようなきちんとした光学ズームやフォーカスブリージングとは無縁なハイエンドの撮影も出来ない。しかし、そうしたカメラのユーザーであってもサブカメラとして必要十分な機能を発揮するだろう。アマチュアユーザーはもちろん。プロカメラマンであったとしても、旅カメラ的な用途であればこれ一台で何でもこなせてしまうようにも思える。
 周辺オプションも充実しており、ボタン対応サムレストは機能に素早くアクセスできるし、レリーズ風ボタンは非常に押しやすい(なお、あくまでも通常のシャッターボタンにネジ穴が開いているだけであり、実際にプッシュレリーズが使えるわけではないので要注意。なお、無線充電機能はまだ未完成で機能していないので、機能開始後に記事で触れたいと思う)。新しく出たレンズフードは使用感も良く、丈夫で、小指を引っ掛けてレンズに映り込まないようにすることもできる。Q2迄は時折小指が画面に入り込んでしまっていた手が大きい人間には極めてありがたいフードだ。
 こうしたオプションも、過去のQ、Q2からの積み重ねがあってのLeica Q3への応用と言えるだろう。
 本当に素晴らしいカメラが誕生したものだ。

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