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「Leica Q3」実用レポート!(その1 静止画編)

 Leica Q3については本noteにも繰り返し書いてきたが、本日2023年6月3日、この素晴らしいフルサイズコンパクトデジカメがついに発売となった。
 筆者は幸いにしてファーストロット機の使用レポートをする機会を得ることが出来た。ここからしばらくの間、この素晴らしいカメラについての記事を書いて行きたいと思う(協力・ライカプロフェッショナルストア東京 ライカカメラジャパン(株))。

ハイエンドコンパクトデジタルカメラ「Leica Q3」

 「Leica Q3」はライカ判フルサイズセンサー搭載のコンパクトデジタルカメラである。小さなボディにおよそ考えられる限りの機能が詰め込まれており、6000万画素の静止画撮影機能に加え、8Kの動画撮影機能やUSBでの配信機能、HDMIからの収録出力機能まで有している。筐体の機能も詰め込んであり、前作「Leica Q2」から引き続き17センチの近接マクロ機能付きの「ライカ ズミルックスf1.7/28mm ASPH.」を内蔵し、更にはLeica初のチルトモニターに加え、オプションで無線充電にも対応した。AFも最新のパナソニック式の位相差AFであり、AI技術により、顔認証AFは人間だけでなくペットでも対応する。バッテリーも新開発され、長時間の撮影が可能だ。非常に高価な代わりに「出し惜しみをしない」のがLeicaの真髄であり、現行の考えうる機能をてんこ盛りにしたのがこの「Leica Q3」だと言える。隙の少ない完璧に近いコンデジのひとつと言えるだろう。

Leica Q3はこれ一つで全てをこなせる本当に素晴らしいコンデジだ!

高感度60メガピクセルセンサーで暗所にも明所にも

 Leica Q3が搭載した60メガピクセルセンサーは、ただピクセル数が多いというだけでは無い。暗所にも強く、高ISO感度でもノイズが乗りにくい特性を持つ。実際、ライブハウスや暗い高級店での食事風景も余裕でISO800~3200で無照明撮影が出来た。コンデジだというのに本当に信じられない性能だ.

次回動画編で紹介する凄腕おっさんバンド「MellowPeach」。暗いライブハウス内の撮影もLeica Q3なら余裕だ。ISO3200 SS1/60 F1.7
Leicaの苦手な室内撮影も
このように余裕でこなす。ISO800 SS1/60 F1.7
遠景も当然に余裕だ。ISO100 F5.0 SS1/640

マクロ撮影機能で近景も遠景も

 Leica Q3は、Q2と同じマクロ機能付きSummilux 28mm F1.7 ASPH.ライカレンズを搭載している。そのため、近景から遠景までクリアな画質で撮影することができる。

マクロ機能で、室内ブツ取りも余裕だ。

 また、Q2と同じレンズを搭載するということで心配されたのが、このレンズが果たして60メガピクセルセンサーに耐えられるだけの光学解像度を持っているのかどうかであったが、その心配はほとんどないと言ってもいいだろう。明所で切り出しを使うと流石に光学的限界が心配されたが、結果はご覧の通りだ。

手前のミントにフォーカスを合わせて撮影。28mm F1.7 SSオート
同35mm。デジタル切り出しズームにも関わらずなんの違和感もない。
同50mm。回析による不思議なボケが若干見られるが、この位までは全く問題ないだろう。ぶっちゃけ業務でのA4誌面くらいまでならいける。
同75mm。さすがに多少ピクセル合成による甘さが気になるが小さく使う分には実用範囲だろう。
同90mm。切り出しの限界をとうに過ぎ、ちょっとピクセル補完が解る輪郭の甘い人工的な雰囲気になるが、緊急時には十分に使える。60メガピクセルセンサーのパワーを思い知る1枚だ。

無線充電は今後に期待!

 しかし、目玉機能のひとつである無線充電に関しては、これは正直現状では厳しいと言わざるを得ない。
 SDカードスロットとバッテリースロットを隠してしまう。バッテリースロットは「無線充電なんだから頻繁に充電すればいいだろ」という理解で我慢ができるにしても、SDカードを交換する度に蝶ネジを回してグリップを外すのは面倒だ。また、車載で充電するには、特にロック機構もない無線充電はしんどい。更にはネゴシエーション時間が膨大でなかなか充電自体が始まらない問題もある。
 そして最大の問題が「無線充電グリップをつけるとネジ穴がレンズの中心から大きく外れる」という欠点だ。
 Leicaのカメラのすばらしさのひとつが「三脚ネジがレンズの正中を通っていること」なのだが、今回のグリップはついにそのルールを破ってきてしまった。三脚穴がレンズの正中を通っていると言うことは、そのまま三脚に載せてパンをした時に、妙な円心のブレが出ないということだ。安いコンデジならともかく、プロ向けカメラであれば必ず必要な仕様のひとつだと言える。もちろんQ3本体はちゃんと三脚穴がレンズの正中を通っている。さすがはLeicaのカメラだ。しかし何故か無線充電グリップのネジ穴はレンズの正中を通っていない。それどころか重心ですらない。
 非常に残念だが、この無線充電グリップは今の所使い道が見つからない感じだ。今後の改良に期待したい。

哀れ無線充電グリップは、早速外されてしまった。

バッテリーの持ち時間は実質2時間半~3時間ほど

 さて、ここまで来て、気になるのが容量が16Whに増えた新型バッテリー「BP-SCL6」の持ち時間だろう。これについては正直思っていたよりもだいぶしんどい。時折動画を交えつつの撮影ではあったにしても、実質2時間~せいぜい3時間程度でバッテリーが尽きてしまう。本体も大変に熱くなるので、やはり大型センサーと新グラフィックエンジンが盛大に演算熱を放っているものと思われる。まともに撮影しようと思ったら3本はバッテリーが欲しいところだが、残念ながら今は品薄で、バッテリーは1人1本の制限付きでの販売だった。
 旧型バッテリー(BP-SCL4)も撮れる動画サイズの制限こそあるが使えなくは無い。この場合には8K動画が使えないので完全に同じ条件とは言えないが、1時間~1時間半程であった。まあ正直お話にならないので、旧型バッテリーはあくまでも予備と考えるべきだろう。

明日か明後日には動画編をアップしたい。

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