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「Leica Q3」実用レポート!(その2 動画編)

6/3に発売されたばかりの「Leica Q3」。前回の記事では静止画性能の素晴らしさを語ったが、もちろんこのカメラの魅力は静止画だけではない。今回は、凄腕3ピースバンド「MellowPeach」の協力を得て、その動画性能をしっかりとお伝えしたい(協力:ライカプロフェッショナルストア東京、ライカジャパン株式会社、MellowPeach)。

暗所でも8K撮影。4K切り出しも余裕

 まずはLeica Q3でライブを撮影してきたのでまずはそれを見ていただきたい。ISO3200 F5.6 SS1/60でのC8K 24Pワンカット撮影、切り抜き編集映像だ。

 この映像は、MellowPeachという凄腕3ピースおっさんバンドの「夢色風船」という曲だ。なかなかの名曲なのでまずは聞いてほしい。明らかに一見して名士とわかる3人が熱く夢と愛を語る非常に面白いバンドで、筆者は今、MellowPeachに大いに注目している。

MellowPeachは凄腕のおっさん3ピースバンドだ。
ギター&ボーカルのチェルシー志賀。こんなシーンをさくっと切りだしズーム(ブライトフレーム)機能で撮影できるのがLeica Q3の凄いところだ。


 さて、今回は、薄暗いライブハウスでの撮影であり、どうしてもISOを上げざるを得ない。また、奥行きのあるライブハウスだけにF1.7ではピントが取り切れず、F5.6 ISO3200 24pでの撮影となった。特に切りだしワンショット撮影ということで、拡大時にノイズが心配されたが、仕上がり映像を見る限りフルHDまでなら全くノイズがわからない。今回、筆者はちゃんとした8K切り出し編集は初挑戦だったのだが、あたかも3カメラ撮影であるかのようにどんどんカットが切り替えられるのは、実に面白い体験だった。これがコンデジのボディで撮影できるのだから、実に素晴らしい体験だった。
 反面、C8K撮影には問題も大きい。今回はハイエンドノートPC(Rog Flow Z13)の内蔵SSD内で編集したのだが、8K映像は標準の再生ソフトやDaVinci Resolveではびくともせず全く再生不可で、手持ちのソフトではPremiere Proのみがかろうじて編集出来る状況だった。エフェクトもそのほとんどがどうにもならず、再生は一度始まったらなかなか止まらず、リアルタイムとはほど遠い環境でただ直感でクロスディゾルブを行っている。そのため、本映像はトランジッションだけの非常にシンプルな編集だ。ファイルサイズは4分弱のこの「夢色風船」で8GBを超えた。そもそも本体も加熱してしまい、連続撮影時間も29分と限られるため、この一曲を撮影するのが精一杯であった。出来れば全曲撮影したかったのだが、大変口惜しい。
 正直言うと、実は最初はLeica FotosにてダウンロードしたLeica LooksやLogガンマを使って撮影をしていたが、実はこれがくせ者で、C8Kサイズの映像がまともにDaVinci Resolveに乗らない以上、ただの白飛びするフラットな映像が撮れただけであった。かろうじて動作をしてくれていたPremiere Proでも色はある程度戻せるが、そうすると今度は編集が益々リアルタイムから果てしなく遠ざかって極めて困難になる。結果、前述の熱や録画制限による関門を超えて、たまたま標準カラーで撮影していた「夢色風船」だけが救出できた、という感じだ。
 今回の編集で、8K切りだし編集はまだまだ未来の編集なのだなあ、という事は強く体感できた。まだ、一台据え置き回しっぱなしで、もう一台を抱えて走り回って、昔ながらのインサートアップカットを混ぜ込んだ2カメ編集をした方がよほど楽だ。
 8K切り出し編集は、PCの現状性能では厳しいが将来的には非常に可能性のある編集手法なので、Q3にこの8K動画機能を搭載してきたのは、非常にLeicaらしいと言えるだろう。

動画は29分で打ち切り!インタビューやドキュメンタリーカメラには使い辛い

 さて、上記に述べたが、Leica Q3の映像撮影時間には29分の上限がある。

29分上限のエラー。とても悲しい。
撮れた映像もジャスト29分で終わっている

 この29分制限はEU地域の税制に関する制限なのだが、実はその税制自体は既に撤廃されている。従って、29分制限制限の合理的な理由はなく、単にカメラの販売戦略として29分の機能制限を課しているだけという事になる。ライカは「高いが出し惜しみしない」が信条であるはずなのに、これは非常に珍しい。できればこの制限は撤廃を望みたい。

フルオートは鬼門?

 また、どうもLeica Q3においてフルオートでの動画撮影はまだまだ未完成なようだ(ライカの初物はこういうものである。気長に待とう。)。フルオート 8Kオートフォーカスで撮影すると、各カット記録最初の6秒ほどの間激しくフレームが前後(フォーカスブリージング)してしまって、とても見られたものではない映像になってしまう。これはどうも、手ぶれ補正とオートフォーカスが悪さをしているようで、オートフォーカスを切るとこの怪現象はなくなったように思う後に再テストしたい 再テストの結果やはりMFであれば問題ないとがわかった。また、6秒でフォーカスの動揺が収まらないことも多い)。6秒以降は問題が無いことが多いが、人が動くなどして再フォーカスするとまた同じ現状が起こる。 マニュアルフォーカスにすれば問題は無いところではあるが、とはいえ、これも早急に改善を望みたいところだ。


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