見出し画像

「b8ta」が教えるアフターコロナの店舗モデル

コロナ禍でリアル店舗の存在価値が揺らぐ中、新しい価値を提示する店舗が登場しています。発見と体験をコンセプトにした米国発の次世代店舗「b8ta(ベータ)」。8月、都内に2店舗を開設したこの店で、店員は「売る」ことだけを目的とした接客は決して行わないそうです。

関連記事はこちら⇓⇓

店員が重視しているのは「体験」。商品知識やそのベネフィット(利益)を理解した上で、リアルだからこそ得られる体験の提供に注力するそうです。店員は接客しすぎず、かと言って商品について聞かれたときはしっかりと対応しています。最適な商品の体験を提供するため、店員は2週間かけて商品のことを理解するとのことです。

「b8ta」では必ずしも店舗で購入してもらうことを目指しておらず、メーカーのECサイトで購入してもらって構わないというスタンスです。「b8ta」では、来店客の購買行動データを出品企業に提供しており、それがブランドに向けたサービスとなっています。ブランドはオンラインで得られない、よりリアルなマーケティングデータを取得できるメリットもあります。

画像1

消費者もリアルでないと得られないショッピング体験があることを理解しています。一方、リアルの不便さや煩わしさも理解しています。コロナ禍でECの利便性を知った消費者が急増している中、リアル店舗はこれまでのようなスタイルで存在し続けることは難しいでしょう。

リアルならではの体験価値を高めるとともに、リアルならではの負の要素を減らしていかなくてはいけません。そのためにリアルとネットとの連動は必要不可欠になると思います。リアルで商品を試し、買うのはECでもいいですよとすることで、来店客は「体験」に集中することができます。オンラインで商品の情報を収集し、リアル店舗への取り寄せや在庫を有無を表示することで、リアルで購入してもらうパターンもあるでしょう。

「b8ta」はこうしたリアルの魅力やネットとの連動の必要性を教えてくれる気がします。開設から間もないですが、コロナ禍においても多くの来店客が訪れています。今後、さらに多くの人が新しいリアルのショッピング体験を味わうことで、日本の店舗ビジネスに新しい風を吹き込んでくれそうな気がします。


EC業界向け専門紙「日本ネット経済新聞」で記者してます。EC、通販、モノづくり、流通、マーケティングなど取材していく中で紙面には書かない自分の考えや疑問について書いていきたいと思います