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年末年始の百文字日記(1)

年末の慌ただしさと、年始のお目出度さを感じられるような日記が読みたくてはじめました。みなさまからの百文字日記を募集しています。何日でも送っていただけます。お待ちしています。こちらからどうぞ↓

年末年始の百文字日記は、中の人の朗読を聴きながら読むこともできます。

それではどうぞ。


2020.12.01 Tue. - 2020.12.06 Sun.

2020.12.01 Tue.

“I love you” 公園のホームレスが話しかけてきた。無視した。僕への愛など微塵もないだろうし、皆に言っているはずだし。でもその軽い言葉が、忘れられない。段々ニヤけてきた。無差別ハッピー、いいじゃん。

やっぱり一年の最後の月はわくわくが別格で、御堂筋のイルミネーションを見ながら歩くだけで、外で飲む飲み物の暖かさに、冷え切った自分の手に、クリスマスを思い、年末年始のあのまったりに、わくわくしきりなのだ

サラダを少しこぼした。床に落ちたそれを見てすぐに「ゴミ」だと判断し片そうとした。しかし「食品」だった物が、人の不注意で「ゴミ」に変わるのが可哀想に思えて、ベビーリーフを1枚口に入れた。変な味がした。

花を捨てた。花は、デスクライトの強い光の下で、じっとしていた。生ゴミの上に横たわって、蓋が閉まる瞬間まで、花は白いままだった。服を脱いで、乳白色の湯に唇の下まで浸かる。今日は早く寝よう、夜が来る前に。


2020.12.02 Wed.

寒さが堪える。夕飯はミートソーススパゲッティと作り置きの副菜たち。面倒で冷たいまま作り置きを食べたら、お腹を冷やした。終わった恋に執着する僕と違い、巡る季節はしっかり気持ちを切り替えて冬だった。

普段は嫌いで全く見ないテレビだけど、年末の吸引力は半端ではなくて、もちろんテレビ目的なんかではないけれど、大晦日はテレビを設置している彼氏の友達の家に3人で集まる企画が浮上し、ヌーヴェルヴァーグごっこ

今日も今日とてジム(通い始めて半年弱)に行ったけど、見たことない人がちらほら。人がいる空間に行くといつも思うのだけど、人ってたくさんいる。この人たちは普段どこにいるんだろう。中々晴れない田舎者の疑問。

お花屋さんみたいな匂いの香水を探す。さっき教えてもらった香水は、ジャスミンティーをこぼしてびしょびしょになったときみたいな匂いだった。ジャスミンティーをこぼしてびしょびしょになったことはないんだけど。


2020.12.03 Thu.

みんなの痛みを分かりたいという気持ちはわたしの心を引きずりまわすこともあり、それはダメ。わたしはわたしのできることをやるだけだという思いに至り、妹にオススメされた松岡修造の歌を聴き、自分を奮い立たせた

帰り道。歯を食いしばって寒さに耐えていたら、頭が痛くなった。坂を下る。音楽がうるさいのでイヤホンを外した。後ろから歩いてくる人の足音が、怒っているみたいに聞こえる。左端によけて、イヤホンを着け直した。


2020.12.04 Fri.

全てのことが無意味に思えることがよくあって、好きなことをしてるときもスーッとそれがよぎって邪魔をして来るけれど、無意味だと思うことで物事が良くなることなんてないのだし、無意味だと思わなくていいんだって


2020.12.05 Sat.

野菜多めの盛り合わせ。塩レモンと塩豚と桜海老のパエリア。豚バラとソーセージと鴨と豆のカスレ。プロボローネチーズステーキとアンディーブ。この世には、与り知らぬおいしいものが、まだまだたくさんあるらしい。

例えば、あなたにとってなにが正しいか?なにが許せないか?なにを求めるか?なにがかっこいいか?なにが美しいか?というような魂の会話が好きなので、お酒がなくても、わたしはいつだってあなたに魂を投げかけるよ


2020.12.06 Sun.

人は変わるものだからね、というときの変わるものは大抵の場合、習慣や性格や志向であるけど、顔というのは変わることなく、かつ変えられない代替不可能なものであって、うーん、そうなるとこれこそまじのラブでは?

未来とエアマックスを天秤にかけたら、エアマックスの方が断然重い。エアマックス履いて峠越えて工事中断中のダムを見よう。山の音は水の音で、ここらは川枯れてるから、静かすぎて静かなことにも気付かない。

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