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【Facebookアーカイブ② 我々について 日本の医師について など】


<我々ついて:留学時代の私  違いを知り衝撃>
私は現在 都内でクリニックを開業しております。小中高大、研修医、大学院時代は医師としては一般的なコースのなかで生きてきました。
そして、アメリカに留学時代に価値観の違いに驚きました。 これは、海外旅行、海外留学や海外赴任をされたことがあるかたにとっては「あるある」だと思います。
日本では、医師になる一般的なコースは高校卒業後に医学部に入学して、医学部内のクラブに入って、病院で勤務してというステレオタイプがあります。病院の規模や特徴はありますが、一般企業では学部も経歴が多様性があるのと比べて、医師では画一的な経歴を経ている人が多いという特徴があります。特に、僕のようなオッサン世代では、卒業大学の医局に入ることが「普通」だったので価値観の振れ幅が非常に少ない世界で生きていくことが多かったという特徴があります。
しかし、アメリカで外来や手術場でアメリカのレジデントやフェローと交流、ラボでアメリカ外の医師と交流すると「??」がたくさん出てきて混乱しました。  
1:アメリカでは、医師になるには理工系の科目は大学時代に専攻しておく必要がありますが、医学部は高校卒業後ストレートに入学するものではなく、大学院で選択するものということです。
2:それを知ったきっかけは、僕が留学時代にアメリカのレジデントと雑談していたときに、「特許を取りたいんだけど」という話が出た際に、ビジネススクール出ている人も、エンジニアリング(工学部)を出ている人もいて、すぐに方向性をしてしてくれたことです。多分、我々の世代(50歳近い)ではありえないと思います。外来中にフェローがpink paper( Financial Times)を読みながら診察していたのも衝撃的でした 3:毎年、フェローやレジデントの専攻面接があるのですが、自大学からの採用は人数が限られていることでした それによって他大学卒業後の人々と更にUNDERGRADUATE(学部時代)の専攻多様性が自然にクロスする環境で働くようになっていたことです。当然、自分の常識の再構築がされます。
4:専門科のCHAIRMANと言われる人とPROFESSORが分離されていたことです。 日本ではPROFESSOR=CHAIRMANが同じで、日本では教授が変わるとガラッと大学の専門性も変わってしまうことはあることは皆さん肌感覚としてお持ちだと思います。 しかし、アメリカでは、専門科の中のサブスペシャリティ毎のPROFESSORがいて その複数のPROFESSORを仕切るCHAIMANがいますので CHAIRMANがかわったとしても サブスペシャリティが影響を受けることが少ないです。
5:日本だと、MD,PhDというのが我々の世代であれば一般的でしたが、 アメリカではPhDコースにいくのは本当に一部の人でというのが衝撃的でした、そういった意味では サイエンスの考え方を知る臨床家である日本のMD,PhDに価値があるともも言えます。しかし、大学院は卒業したけどそのときのボスの研究の手伝いで自分のクリエイティブは研究をできずに、卒業後は研究を継続しないことが多い日本の環境はリソースの適正配分ができていないとも言えます。ポスドクのようなサイエンスの考え方のできる人にMDがアイデアを投げて ポスドクに雇用を生み出すという考え方もありかと思います。 
6:アメリカのMD,MBAの数の多さ。日本のPROFESSOR=CHAIRMANというシステムとは異なり、サブスペシャリティのPROFESSORたちの長であるCHAIRMANというシステムを束ねるにはマネージメント力が必要でPhDよりもMBAという資格を持っている医師が多いことにも納得しました

これは、どちらの良し悪しを判断するものではありませんが、やはり違いがあることを知ること、または知らせていくことが大切だという趣旨で書かせていただきました。

医師は医療のことだけ考えていれば良いと考えることも間違いではないかと思います。しかし、医療も社会システムの一部である以上 完全な独立をすることはできません。 国によってシステムが異なる以上 他国の例をそのまま移植することはできないことは論をまちません。

しかし、システムの構造や問題点やその中でも医師の役割を考えながら仕事をするのと 知らずに仕事するのでは大きな違いがある思いますので。

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<目標とする「ある地点」に到達は可能>

最近読んだ 山口周さんの「ニュータイプの時代 新時代を生き抜く24の思考・行動様式」という書籍の中で

いわゆる頭の良い人は いわば足の早い旅人のようなものである。 人より先に人のまだ行かないところへ行き着くことはできる代わりに 途中の道端あるいはちょっとした脇道にある肝心なものを見落とす可能性がある。」との記載がありました。

一般的には医師は「いわゆる」頭の良い人の部類に分類されることが多いと思われます。実際に、受験なども過剰な競争とも思えるくらいの状況で どうしても決められたタイムフレームの中で効率的にあるレベルまでに到達する勉強をしてきている人たちの比率は高いと思います。大学に入っても我々オッサン世代とは大きく異なるくらい忙しく、かつクラブ活動なども医学部限定のクラブに所属することが多いため、寄り道や他分野とのクロスをしにくいという現実があります。

そして、そのまま 医師になり更に忙しい仕事に追い立てられることになります。 勿論、患者さんの生命やQOLに関与する仕事では、新しい知識や経験の吸収を素早く行い、それを現場で応用するという仕事の分野においては、やはりそのような無駄の無い仕事遂行能力は第一条件として必要となります

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<医療は高度にマネージメントされている?>

医師は「いわゆる」頭の良い人で、目標とする「ある地点」に到達する可能性は高いと先日の投稿で書かせていただきました。

しかし、皆さん薄々お気づきのようにこれからの将来はこれまでの経験や知識を外挿すれば予想・対応できるような世界ではなく、指数関数的に様々なものが変化して所有するスキルや経験が短期間で陳腐化する世界になっていくと予想されます。

例えば 飛行機を初めて発明した人はライト兄弟というのは有名です。しかし、ホワイトヘッドさんという人だという説もあるので 確実なことは言えません。しかし、ジェット機を初めて作ったのは誰かというとこれははっきり言えます。 誰でもありません。 チームです。

将来は様々な仕事が複雑になっていくと思います。もちろんその複雑なものは人間以外が代用するので 人間の仕事としては単純なものしか残らないかもしれません。しかし、仕事をトータルで見たときには複雑で人間以外のものも誰かがケアしていると考えるとやはりチームでないと対応できないものが増えてくると思われます。

ですので組織というものと役割分担というものができているのだと思います。

有機的に機能をオーガナイズする必要があるため、クオリティコントロールされた機能とそれを指揮するマネージメントの両輪が必要というのは、未来を待たずとも現代社会においてもそのまま当てはまるものだと思います。

したがって、企業は舵取りをするマネージャー・社長候補を長年かけて育てたり、探したりするわけです。しかし、現場での意見とマネージメント側の意見が異なるのは常で、現場にいた方がマネージメント側になったときには 見るべきものが現場にいるときとは異なるため、発言が変わらざるを得ないことも理解する必要があります。

医師についても、チームマネージメントが大切だということは当たり前で、チーム医療と言われて久しいです。 生体、疾患、死という非常に難しいものに対応する医療に関しては非常に高度なマネージメントが行われています。

しかし、マネージメントは一義でしょうか?

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<医療におけるマネージメントとは>

「地域一番のスーパー」とチラシに書いてあります。 皆様はどんなスーパーだと思われますか?
「一番低価格」
「一番品揃え豊富」
「一番売り場面積が広い」
「一番長い時間営業している」
「一番来客数が多い」
「一番高い」
「一番接客悪い」

???というものも含めて 一番だけでは様々な意味があります。しっかりと「どんな意味で一番?」と聞く必要があります。

同じように医療では「すでにチーム医療が当たり前のように実践されている」と皆さん考えられることでしょう。

しかし、「どんな意味でのチーム医療でしょうか?」と一段深堀りする必要があります。

「それは患者さんのため」だと思います。 これについては当たり前で「目の前の患者さんを一生懸命助ける」というのは 誰にとっても疑問の余地もないくらい医療の姿勢としては素晴らしいものだと思います。このような高潔な倫理観を達成するリソースが潤沢にある状況では絶対にそれを追求するべきだと思います。

しかし、残念ながら 医療も健康保険制度という税金が投入されている以上、社会システムの一部という視点からも見る必要もあります。

働き方改革について、医師については2024年まで猶予期間があるものの 待ったなしの状況です。 現実的に 「患者さんのためのチーム医療!」だけではやっていけない状況に追い込まれています。 つまり、医療従事者のマネージメントという課題に準備していく必要もありますのでマネージメントを任されている医師については当然 改めてマネージャーの仕事について再認識する必要があると思います。マネージャークラスの医師でなくても、社会保障費の増大、公立病院の再編ということもNEWSで出ておりますように、キャリアについてそれぞれの医師が考える時代になっているのだと思います。

しかし、皆さんこれまでの人生でマネージングについて学習したり、さらにそれを継続的に実践されたことはありますでしょうか?「患者さんのケアについて以外のマネージング」について。

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