人類の脆弱性 後半

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台風が自然消滅するように人類も散る

   地球は太陽光からエネルギーを受取り、そのエネルギーを最終的には宇宙へ放出することで秩序を保っていますが、このように外部からエネルギーを吸収し使用後のエネルギーを外部に放出する系のことを開放系(または非平衡系)といいます。
 
   プリゴジンはこの開放系の中では秩序から無秩序への不可逆な変化の中では、稀に秩序あるものが局所的に現れる、ということを発見し、それを「散逸構造」と呼んだのです。
 
   具体的な例でいうと、台風がその局所的に現れる秩序あるものになります。台風は、熱帯の海水で温められた秩序ある空気の渦が形作られて成長し、その後北上していくとその通過地域に大きな被害を与えます。最近では台風22号がフィリピンを襲いましたし、僕も2年前の実家にいた頃に台風19号で避難場所に避難した一人です(家の前の道は完全に浸水したものの幸い床上までは浸水しませんでした)。
 
   それほど台風というものは時に隆盛を極めますが、やがて温かい海からのエネルギーの供給がなくなったところでその構造の維持ができなくなり、自然に消滅してしまいます。これは皆さんにも簡単にイメージして頂けることだと思います。
 
   実は台風を秩序あるものの例として取り上げたのには理由があります。それは、散逸構造で生まれる秩序あるものの究極にあるのが、我々人類だということです。つまり、我々人類、更には地球上の生物というのは総じて秩序から無秩序の流れの中に生まれた秩序あるものの1つだということです。
 
   皆さんは地球の歴史について学校で習ったときに「40億年前に地球上に初の生命が現れた」「700万年前に人類が現れた」と教えられて「現れた、っていうことは生物って急に現れるものなの?」と疑問を感じたことはなかったでしょうか?実はそれは、台風の発生と同じ原理なのです。
 
   また、先ほど隆盛を極めた台風でもエネルギー供給が途絶えて消滅するという話をしましたが、同じように生まれる秩序あるものとして、台風の消滅のしかたは人類の滅亡の可能性が決してゼロではないということを示唆しています。
 
 「今まで700万年もの時代を人類は生き抜いてきたからこれからも大丈夫だ」と反論したくなる人もいるかもしれませんが、その700万年という人類の歴史は今よりはるかに小規模に動いてきたからです。1000年前と比べれば、今や世界の人口は1000倍にもなると推測できます。したがって、私たちは今以上の大量消費社会で地球温暖化を進行させたり、地球上の化石エネルギーを使い果たしてしまったりすることは十分考えられます。「これまで大丈夫だったからこれからも大丈夫だ」という主張は、「これまで1度も死んだことがないから自分は不死の存在だ」といっているのと同じです。過去にない体の衰えや不調の増加を感じているのに「自分が死ぬことは絶対にない」と信じる老人がどこにいるでしょうか。
 
   地球は今、エネルギー問題という危機に直面しています。テクノロジーによって過酷な労働から解放される傍ら、台風と同じように人類も消滅してしまう未来に駒を進めています。700万年もの歴史を経てこの時代に生を受けた私たちにはエネルギー問題に協力して立ち向かう責任があるのではないでしょうか。さもなくば、私たちは700万年の先人たちの苦労の甘い汁を吸い、無責任にも人類を滅亡へと追いやった時代の張本人になってしまうのです。

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