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《ダヴィデ》ドナテッロ

《David》Donatello

このブロンズ製の《ダヴィデ》は、ルネサンス初期のイタリア人彫刻家ドナテッロが制作した彫刻です。

画像1David, Donatello, 1440 circa, Bronzo dorato, 158 cm, Museo Nazionale del Bargello, Firenze

制作時期は1420年代から1460年代まで様々な説がありますが、そのなかでも主流となっているのは、ミケロッツォ・ディ・バルトロメオが設計したメディチ・リッカルディ宮殿が建築された1440年代とする説です。ミケランジェロの傑作《ダヴィデ》が制作される70年前のことです。コジモ・イル・ヴェッキオ(コジモ・ディ・メディチ)の依頼で制作されたもので、完成後はメディチ・リッカルディ宮殿の中庭中央に置かれ、1494年の政変でメディチ家が追放されると、ヴェッキオ宮殿に移されました。

この彫刻は、ルネサンス期に制作された最初の自立するブロンズ彫刻で、古代ギリシア・ローマ時代以降で制作された最初の男性裸像として有名な作品です。

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ダヴィデは謎めいた微笑をうかべ、左手に石を、右手に刃先のない長い剣を持ち、切り落とされたゴリアテの首の上に片足をのせています。兜と長靴以外全裸で、ひどく華奢な体つきをしており男性的な印象はまったく与えません。

ゴリアテの巨大な剣と対照的にダヴィデの肉体を表現することによって、ダヴィデがゴリアテを打ち負かしたのは身体的能力ではなくすべて神の意思であるということを表しています。重武装の巨人兵ゴリアテとは対極である全裸の少年ダヴィデが神の存在をさらに明確にし、ダヴィデの特別な力は神からの恩恵であり、 悪に対する善の勝利を表しています。

また、この彫刻のダヴィデ(ミケランジェロの《ダヴィデ》も同様に)にはユダヤ教徒であれば通例であるはずの割礼がなされていませんが、これはルネサンス期のイタリアで制作された男性裸像をモチーフとした美術品に共通する特徴です。


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バルジェロ美術館/Museo Nazionale del Bargello

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