Twitterの企業アカウント運用における公聴の重要さとサービス改善への貢献について
※このnoteは #PRLT(Lightning Text) Advent Calendar 2022 の12/1分の記事です。
企業からの発信がメディアを介した間接的なものに限定されてきた従来とは異なり、近年ではSNSを介して直接ステークホルダーとコミュニケーションを行うことができるようになりました。
一方で、ステークホルダーとの1 to 1のコミュニケーションには、プレスリリースやメディアリレーションズとは異なる作法が必要となり、まだそのノウハウは確立されているとはいえません。
本noteでは、「Twitterの企業アカウント運用における公聴の重要さとサービス改善について」をテーマ(※1)に、私が大事にしている心構えを簡単に紹介します。
Twitter運用の1歩目は公聴から
Twitter運用を始めるときには、「どんな内容を発信しようか」という広報ばかりに気を取られがちですが、より大事にしたいのはTwitterユーザーの発信を受け止めて自社の改善に活かす公聴の姿勢です。
企業が伝えたいことばかりをbotのように一方的に発信するだけでなく、公聴を通してサービスの改善点を見つけたり、その改善を通してユーザーとコミュニケーションを取ることでファンを増やしたりできるのが1 to 1コミュニケーションならではの利点です。
Twitter運用によってもたらされるメリットは主に下記のようなものがあります。
一方的な発信では「1. 認知獲得」しか期待できませんが(それも難しい場合が多いです)、公聴の姿勢を持ってユーザーとのコミュニケーションを行うことで「3. 改善点の発見」や「4. レピュテーション向上」に繋がります。
「4. レピュテーション向上」に関しては、ユーザーからの指摘を素直に受け入れて改善につなげる姿勢を示すことで企業としての誠実さを示すことができます。これはメディア露出等ではなかなか達成できません。
公聴・フィードバックを通した改善もPRの役割
広報・PR概論等にも記載されていますが、広報担当者には企業活動と社会とのギャップを俯瞰して捉えて的確に社内にフィードバックするモニター機能が求められます。
Twitter運用でも同じように社外の声を聞き、その意見と社内のギャップを感じた場合には改善を主導していかなければいけません。
また、サービスの改善点が見つかったとして、それを実際に改善するのはPRの領域ではありません。PMやエンジニア、CS等に適切にフィードバックを行い、改善の優先順位を共に判断していきます。
CSがユーザーからの声を拾い上げて改善起案をし、ユーザーに対して改善の約束や改善完了のアナウンスをするように、PR担当者はSNSを通して拾い上げた声を基に同じことを行っていくべきだと考えています。
具体的にはどうすればいいの?
例えば、サービスに関するユーザーからの改善提案の投稿を見つけた場合は、下記のように対応しています。
改善提案の妥当性を判断
社内へのフィードバック
改善スケジュールの確認
ユーザーへのリプライ/引用RT
ユーザーへのリプライ/引用RTでは下記のような内容を投稿しています。(※2)
対応できないパターン
上記のような例は対応方法がわかりやすいですが、すべての改善提案に対応することは困難です。下記のような場合には対応をしていません。
・改善提案の妥当性がない場合
・改善が困難な場合
・理不尽な苦情/言いがかり
・あまりにも改善提案の投稿量が多い場合(単純に工数が取れない場合)
・暴言が含まれる等、コミュニケーションによる態度変容が困難な場合
対応するか否かの判断は、Twitter上で対応することでユーザーにとってメリットがあるか、事態が収束に向かうか、という2つの観点を基にするようにしています。
普通に考えると……という視点の大事さ
個人的に大事にしているPRの感覚として「普通に考える」というものがあります。
企業に属していると考えは企業本位のものに染まっていきますが、主語をユーザーに変えて「普通に考えると……」と発想してみる、主語を社会通念に変えて「普通に考えると……」と発想してみると、企業としての偏った考えに気づくことができます。
この考えを持っていれば、自然にユーザーや社会に寄り添ったTwitter運用ができていくのではないかと思います。
おわりに
本noteではTwitter運用に関する限定的な部分のみ紹介していきました。
より具体的な運用手法(いいねとRTの使い分け、リプライと引用RTの使い分けポリシー等)については別の機会に紹介したいと思っています。(※3)
話は変わりますが……このnoteを書いた背景には、ごく個人的な2つの想いがあります。
1つめは、PR担当もサービス改善に関わっていくべきだ、というもの。
2つめは、企業本位の発信ばかりじゃなくステークホルダーの声を聞いて企業自体を変えていくべきだ、というものです。
出来上がったサービスや体制を発信していくことももちろん重要なのですが、そこに客観的な疑いの目を向けずに盲目的に発信だけしていくと、いつの間にか企業の言いなりの思考停止状態に陥ってしまう危険性もあると思っています。
単なる発信屋ではなく、企業と社会のバランサー/コミュニケーターとして社内変革にも積極的に関わっていける、そんなPRが個人的な理想です。
脚注
※1 元々は「10個(仮)の数字から見るPR領域のカオスな話」のようなテーマを想定していましたが、驚くほどみなさんの興味がなさそうなのでテーマを変更しました。
※2 文章の固さはサービスの性質、ユーザー属性によって変更していくのが好ましいと考えています。
※3 個人的なポリシーや手法を書き連ねているだけなので、より体系的にまとめている方はぜひいろいろ教えてください。
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