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購買心理を動かす建築写真の基礎とは

一級建築士として建築設計の仕事からwebマーケティング会社に転職し、複業で建築写真専門の写真家をしている鶴見です。
一級建築士がなぜwebマーケティング会社!?という疑問があるとは思いますが、それは別のnoteでご確認ください。

今まで設計の仕事で作り手の気持ちを理解しながら、写真家としてその意図を表現する写真を撮っていました。
そしてwebマーケティング会社に転職した今、それを的確に伝えるPR手法について日々考えています。
大切なのは、購買心理を動かす建築写真になっているかどうかです。
その視点で見た際に、住宅会社のHPにありがちな悪い状態について考察したいと思います。

1.やたらと立派なホーム画面

住宅会社に限らず、HPのホーム画面はどこの会社も最も注力します。
ホーム画面はその会社のweb上の玄関であり、そこから深くHP内を見回ってくれるかどうかで伝わる情報量が変わります
しかしそこだけを立派にしすぎていませんか?
ホーム画面の写真だけカメラマンやモデル、レンタル家具を準備して撮影し、深く見回った先にある施工事例ページは、明らかに素人が撮ったものになっていませんか?
私は今の仕事に就く前から、同業他社のHPを見て分析していました。
残念ながらホームの写真だけ立派で、中身は素人クオリティという会社が多いように見受けられました。
それでお客さんに選んでもらえるのでしょうか?
おそらく選ばれないことの方が多く、機会損失をしているはずです。

2.あなたは何を見てインターネットで買い物をしますか

この問題について、売り手側の気持ちと買い手側の気持ちの違いが原因になっていると考えられます。
住宅会社に勤めているあなたは、仕事中は売り手側です。
しかしプライベートでは買い手側に回ることが多いはずです。
買い手側の気持ちになれば、何を改善すべきかわかるはずです。
例えばAmazonやpaypayモール、ヤフオク、メルカリ等、インターネットで買い物をする時に、まず何を見て購入を検討するか考えてみましょう。

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こちらpaypayモールのメンズシューズ画面です。
様々な形、色、価格の靴がありますが、情報として一番大きく表示されているのは何でしょう。
答えは見たままで写真です。
あなたが買い手側になった時、写真を見ながらスクロールし、気になるものをクリック(タップ)して、詳細を調べるという手順をとるはずです。
サンプルの写真は新品で、しっかりと撮影されたものが並んでいますが、ここに薄汚れた靴が並んでいたり、写真のない商品があったらどうでしょうか。
おそらくあなたはその靴の購入を検討しないはずです。
なぜなら薄汚れた靴は魅力的ではないように見えますし、写真がなければ情報量が少なくて伝わらないからです。
つまりネット上において、伝えたい魅力に適した写真が購買心理をくすぐり、購入機会を生むことがわかります。
日常的に買い手側のみなさんが体験していることではありますが、なぜか売り手側になると忘れてしまうのがこの価値観です。

3.価値ある写真を撮影するために必要な目的と準備

写真が重要なのは理解していただけたかと思います。
ではその写真がどのように撮られるべきか考えてみましょう。
今から見せる2枚の写真で、どちらが魅力的に見えるでしょうか。

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1.iPhone8で手持ちで撮影/家具なし/PCでの現像処理なし。

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2.一眼レフカメラで三脚を使用して撮影/家具あり/PCでの現像処理あり

さて、ほぼ同じ構図で撮られた2枚の写真どちらが魅力的でしょうか。
おそらく2枚目を選ぶ方が多いかと思います。
どちらも写真家として活動している私が撮影しましたが、差は歴然です。
この差が生まれる理由は、目的と準備にあります。
1枚目の写真は、現場確認のために記録として撮影したものです。
目的が記録で、準備は特にしておらず、ポケットに入っていたiPhoneで気軽に撮っただけです。
記録目的なので、きれいに見せる必要がないのでPCでの現像処理(明るさの調整等)は行なっていません。
一方で2枚目の写真は、竣工写真(完成写真)として世にお披露目するのが目的で撮影しました。
見る人が生活をイメージできるように家具を設置し、よりきれいに仕上げるためにPCでしっかりと現像処理をしています。
ちなみに現像前の写真はこんな感じで真っ暗です。

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<プチ解説>
庭を見せたかったので、庭が白トビしない明るさで撮影し、Lightroomというソフトで室内の明るさのみをあげています。

まとめると、1枚目と2枚目の差は目的とそれに対する準備を徹底して行なったかどうかの差です。
決してスマホだからダメ、一眼レフだからきれいという訳ではありません。
一眼レフで三脚を使った方が撮りやすく、確実性が高いから使っています。
また近年のお客さんは、どんな仕上げの家かよりもどんな暮らしができるかを気にしています。
家具や家電、小物を入れて暮らしを想像しやすいようにスタイリングすることで、お客さんへの訴求力は高まります

4.あなたが依頼したい情報になっているか

HPのホーム画面の写真だけがやたらきれいで、施工事例ページが残念という住宅会社が多く、機会損失をしているという問題を提起しました。
その理由は売り手の意識が強く、日常的には買い手として無意識に決断していることを仕事で忘れているからだと考えられます。
魅力的な情報が、購買意欲をくすぐり、購入機会を生むことは日々みなさんが経験していることのはずです。
魅力を情報としてしっかりと伝えるためには、目的と準備が大切です。
記録写真と竣工写真(完成写真)は目的が異なるので、混同してはいけません。
まずは住宅会社に勤めるあなた自身が、見てみたい、依頼したい住まいの情報を発信できているか考えてみましょう。
あなたが見たいと感じないイベント情報に、お客さんは来ません。
あなたが暮らしたいと感じない施工事例に、お客さんは家づくりの相談はしません。
まずは買い手の気持ちになって、眺めてみてください。

私の撮影実績は、ポートフォリオサイトからご覧いただけます。


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