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大動脈弁閉鎖不全症の手術を受けました_Vol.1

こんにちは!おいしい健康CEOの野尻です。
ずいぶんと長いこと、更新をサボってしまいました。

実は2023年4月に、持病であった大動脈弁閉鎖不全症(いわゆる心臓弁膜症)の心臓手術を受けました。手術は成功し、術後の回復も順調です!
今回、私が受けた手術の術式は「自己心膜による弁再建術」を基礎とした「ウシ心膜による低侵襲弁再建術(Mics Ozaki 法)」という、少し珍しいものです。同じご病気の方のお役に立てばと思い、何回かに分けて体験記を残しておきます。

3分でわかる心臓弁膜症

心臓弁膜症ってなんですか?

心臓には、全身に血液を送る際に逆流を防ぐための「弁」が4つあります(大動脈弁、僧帽弁、三尖弁、肺動脈弁)。
これらの弁が何らかの理由によって、「ちゃんと閉じなくなる(閉鎖不全症)」か「ちゃんと開かなくなる(狭窄症)」という状態となったのを総じて心臓弁膜症と言います。弁膜症が重症化すると心臓が全身に血を送り出すことができなくなり、心肥大や心不全を経て、最悪の場合は突然死につながったりします。弁膜症の原因は動脈硬化をはじめとして様々であり、4つの弁のうち大動脈弁と僧帽弁が弁膜症の97%を占めると報告されています(Lung et al. Circulation 2019;140:1156–69)。

どんな人がなりやすいのでしょう?

およそ200人に1人が弁膜症を有しているとされています。動脈硬化と関係するため、高齢者ほど増加する疾患ですが、一方で若くても赤ちゃんでも発症することがあります。これは先天性(生まれつき)の弁膜症というものがあるからです。

私の場合もまた、「先天性二尖弁」による大動脈弁閉鎖不全でした。本来、大動脈弁は3枚あるのですが、私の場合は生まれつき2枚しかないという状態でした。なお、弁が通常通り3枚の方でも弁膜症には十分なりえますし、二尖弁でも弁膜症にならない場合もあります。ですが、二尖弁では弁膜症リスクは高まります。

どうやって発見するの?(自覚症状はあるの?)

弁膜症そのものには、自覚症状のようなものがありません(だから怖いです)。弁膜症を背景とした心不全が進むと、疲労感、息切れ、むくみ等といった自覚症状が出るのですが、その場合にはすでに相当に重症化している可能性があります。こういった症状は、「仕事で疲れている」といったよくある症状と実に見分けがつかないため、見落とされがちになるそうです。

従って、症状がないうちにいかに弁膜症を早期発見することができるかがポイントです。大きな手掛かりとなるのは、健康診断などでの胸の聴診における「心雑音」です。私は30代の頃に定期健診で心雑音を指摘され、すぐに近隣の病院で心臓エコーを受診し、弁膜症の診断が出ました。早くに見つかって、実にラッキーでした。みなさんも先生に心雑音を指摘され精密検査を勧められたら、すぐに心臓エコーをとりにいきましょう。

耳学問ですが、弁膜症が発見されないまま亡くなる方が少なくないそうです。心臓の異変により救急で運ばれる患者さんで、いざ診てみると弁膜症があったというケースは少なくないとのことでした。

どう治療するのでしょうか?

弁膜症は軽症であれば、服薬(降圧など)を中心とした内科的治療で経過観察となります。一方、相当に重症化した場合、根治するには外科手術となります(近年はTAVIというカテーテル手術も増加しています)。ただし術後は、条件付きの人生を送る可能性が高くなります(後述)。

私が初めて弁膜症を指摘された時、心臓が送り出した血液のうち10%が閉鎖不全の弁を介して左心室に戻ってきてしまう状態でした。いわゆる「逆流」というのですが、10%というのは軽症と言えるそうです。まだ30代と若く、血圧なども安定していたので、投薬もありませんでした。
その後、しばらくは1年ごとにエコー検査を受けていたのですが、引っ越しなどもあって、いつしか定期検査を受けなくなってしまいました。そこから10年ほど経った後、私の弁膜症はびっくりするほど重症化していたのです。

つづく




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