NGワード「次からは気をつけよう」

こちらの記事に書いていた社員(Sさん)が2度目の育休から復帰し、現在一緒に働いている。ひとり人事からふたり人事になった。

以前さんざん一緒に仕事をしてきた関係なので、お互いどんな人かはよくわかっている(つもりだ)。私の悪い面もよく知っていると思う。

やはりどんな業務も担当者が変わってゆくことが必要だ。育休前にやっていなかった仕事もどんどん任せてゆくつもりである。2名体制で、属人化を防ぎ、不正も防止する。給与なので直接、金の振込に関わる部署である。私が不正に給与を多く振り込んでいるかもしれないじゃないか。

二人になって、早速さまざまな意見や提案を言ってくれている。色々なことに気づかせてくれる。

無駄な熟練

給与作業は計算方法の異なるグループ会社も含めて作業をしており、なかなか複雑である。会社によっては紙ベースの資料がやってくるのだ。
さらに給与計算において、10進数と60進数が混在するのは永遠に厄介なことである。
しかし、私は熟練なので、紙ベースの資料を入力するのは早い。そこまで多くないので、さほど時間も取られない。資料のフォーマットがそろっていなかったとしても、どこを見れば良いのか即座に判断し、給与システムに入力することができる。

でも、決まったフォーマットを決めて、CSVデータを作成して取り込めば一発なのである。

分かってはいるよ、一生懸命にパソコンに入力していれば仕事をしている気になるんだよ。別に困ってないんだよ。時間もそんなにかからないからね、なぜなら私は早いから。そういう、意味もない熟練技が何かの本に「無駄な熟練」と書いてあったのを思い出した。意識を集中し、様々な注意事項を頭に浮かべながら一生懸命手を動かすのではなく、効率的にこなすことのほうが重要である。

Sさんは、データにして効率化しようと言ってくれた。

「次からは気をつけよう」はダメ

内容を理解していないで、決まった手順通りにシステムを動かす人にはなってはいけないと、私はいつも言っている。Sさんは内容を理解しているので、データにして取り込んだほうが当然いいだろう。
しかし、実際は簡単にはいかない。イレギュラーなことはあるだろうし、まったく想定していないことが発生する。

何らかのミスがあったときに「次は気をつけましょう」ではダメだと思う。同じことが起きないように、どこでおかしくなったのかきちんと解明し、必要であれば計算式の設定を変更するとか、最終チェックリストに付け加えるとかしなければならない。注意して気を付けるとかではダメなのである。
そのためにはシステムも理解していないといけないんでしょうね。
基本的なところで言うならば、インポートデータの数字が全角になっていて何とも思わない人もいるのだ。

感覚も必要?

ミスを生じさせないようにシステマチックに作業することが必要であるものの、感覚的なことも重要だと思う。
給与の計算結果をざっと見渡したときに、なぜこの人のこの金額や数字がこんなに大きいのか?あるいは少ないのか。
数字的感覚も必要で、いつもと違う違和感も重要になることがあります。それで重大なミスを発見するかもしれないし、ミスでないにしても、「忙しくないはずだが残業が異常に多い」「フルタイムパートの勤務時間数が極端に少ない。報告はないが何かあったのか」「この人は給与がやけに低すぎないだろうか」など、会社(あるいはその人)の問題点が浮かび上がってきます。
見きれないほど人数が多ければ上限値を超えた場合のアラートを出すようなことになりますが、少なければ眺めていることで浮かび上がってきます。

目の前にあるのはデータでしかないのですが、実際は一人一人の生活や人生の話なので、人事の仕事は重いよね。まったく軽くはないんですよね。



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