見出し画像

気まずさいっぱいの中学3年生たちのサッカー。

第1回目となる
「 U-15ミックス交流戦 」を開催。

これは公式戦のなくなった
U-15世代の選手たちの試合機会をつくろうと
交流のある数チームにお声がけをし
集まった選手たちで試合をするという企画。

この時期は受験の影響で
自チームでの試合は人数が集まりづらいため
希望する中学3年生が個人で
参加できるような形を取っているのですが
初回となった今回は
6チームから35名もの選手が参加。

その35名を
できる限り所属チームが一緒にならないよう
ランダムに3チームに分け
「自分の希望ポジションを1回はやれるようにする」
というルールだけを決めて行いました。

こちらのスタンスとしては
タイムスケジュールなどの大枠は提示するけれど
システムやポジション決めに介入しない
選手同士の関係性の中に自ら入っていかない
全体への声がけで試合中の空気感を作りにいかない
と基本「しない」ことを前提に。

というのも、この企画には
U-15世代への試合機会をつくる以外に
「高校に行くまでに"ある能力"を高めてほしい」
という、もうひとつの趣旨があるからです。


それは「自己表現」と「関係性づくり」の能力。


気心の知れた仲間たちとの中学3年間で
選手としての自分の強みと弱みを
自覚できるようになった選手は多いはず。

それを次のステージで
まだ関係性のない人たちの中で
どう理解していってもらい、どう活かしていくのか
周りの強みを活かしていくことで
自分の弱みをどうカバーしてもらうのか
逆に、周りの弱みをカバーするために
自分の強みをどう活かしていくのか。

高校年代から
大学、プロに移行していく過程で
こうした自分を表現する力や
関係を構築していく力を発揮していけるかどうかは
いち選手として豊かにサッカーをしていく上で
ものすごく大事なポイントになると思っています。

ブラジルやコスタリカでサッカーをしていて
向こうの選手たちの一番の強みに感じたことは
状況に合った「最適解を導き出す力」でした。

自分個人のイメージだけでなく
仲間と共鳴しながら、相手の逆を取りながら
その瞬間の最適解を導き出していく。

アーセン・ベンゲルの言う、このような。


『 試合では
 その瞬間に自分がやりたい事をやるのではなくて
 その瞬間に望まれている事を表現しろ 』


どうしてその能力が高いのかを考えたときに
それはサッカーの練習の内容だけで
育まれてきたものではないように思いました。

そのひとつに
所属しているチームで
同じ選手たちとばかりプレーするのではなく
普段はあまり交流のない選手たちとプレーする機会が
日常的にあるんじゃないかということが。

街中や公園でやっている草サッカーは
年齢も関係なくやりたければ入っていけるし
プロチームの下部組織ではセレクションだけでなく
テスト生として参加できたりもするし
育成年代の頃からチーム間の移籍も多々ある。

そういう環境ではその都度
よく知らない選手たちとの関係の中で
自分自身を表現せざるを得なくなり
関係性もつくらざるを得なくなる。

で、そうした機会を積み重ねていくことで
「状況に合わせた最適解を導き出す力」
「その瞬間に望まれていることを表現する力」
のようなものが自然と育まれてるのではないかなと。

日本ではまだ移籍も少なく
ブラジルやコスタリカの
草サッカーのような機会も圧倒的に少ない。

だから今回のU-15ミックス交流戦のような
普段は一緒にプレーしていない選手たちと
同じチームになって試合を行うことによって
「自己表現」と「関係性づくり」
の能力を磨いていってほしいなと考えています。 



今回のミックス交流戦は
最初はだいぶ静かな雰囲気で始まりましたが
こちらから何も言うことなく放置しているうちに
自然と少しずつヒートアップしていき
途中からは球際の激しい争いも起きまくりました。

想像していた以上に
熱量があって、レベルの高い試合に。

うちのチームから参加した選手たちは
自らコミュニケーションを取れず
試合中も受け身になってしまっていたので
自分の特徴を出せなかった選手がほとんどでした。

これもまた経験。
それを次にどう改善していくのか。
そのトライ&エラーを繰り返しをしていくこと。

参加したうちの選手たちの感想の一部です。


「 トレセンなどで関わってきた選手や
 1回も関わったことがない選手もいたり
 レベルの高い環境でやれて良い刺激になりました 」


「 今回の交流戦は
 みんな球際の強さやトラップ・パスの質が高く
 とても緊張感のある試合ができました 」


「 いつもと違うポジションで出たけど
 他のポジションで出ても
 通用することがわかりました 」


「 自分にはまだ
 コミュニケーションを取る能力が
 ないことがわかりました。
 次の交流戦ではまず自分から
 話しかけられるようにしたいです 」


アウェイだと感じる環境に飛び込んでいくこと。

そこで思い通りにいかなくたって
飛び込むことでしか得られない気づきがいっぱいある。

アウェイは、気づきの宝庫。

第2回目がどうなっていくのか、楽しみです。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?