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Z世代に伝えたい、優しい世界の作り方(3章)⑨

地震が起きてから一番大変なのはライフラインが止まるということだ。しかし、最初からライフラインのない生活をしているんだから、僕たちの生活は何も変わらなかった。
地震から数日経つと、僕らのグループに人が訪ねてきた。
「久しぶり、元気だった?」
シェフが帰ってきた。
「シェフ、無事だったか?」
「地震が起きて、すぐに高台に避難したから助かったんだ」
「津波の高さがビルを超えてた、多くの人が助からなかったかもしれない」
「やはり人間は自然には勝てないんだ、またここで暮らしていいか?」
「もちろんだ、みんなも喜ぶぞ、災害の話みんなに聞かせてくれよ」
夕飯は久しぶりにシェフが作ってくれた。そして災害の詳しい話をみんなで聞いた。
「あの日は、暑くなったり通り雨が降ったりで忙しい天気だった」
「急に海のほうからゴーという音がして、地震が起きたんだ。最初の地震で電気が止まった」
「震源地は海だったのかな?」
「それが情報がなくて分からないんだけど、海から音がしていたからそうだろうな」
「それで、津波が来ると思ったから高台に逃げたんだ」
「すると、数分後に津波が来て復旧した街が一瞬で更地になった」
「そしてそのあと強風が吹いて、津波の被害がない場所も火災で燃えてしまった」
「まるで、人類は地球に住むなと言われているようだった」
それにしてもシェフが助かってよかった。多くの人が犠牲になってしまったが、いくらでも人類はやり直せるんだ。

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