チーバ君に飲まれる旅(後編)
寄生虫のひとりごと
僕は今、チーバ君の肛門にいます。
こんにちわ、また会いましたね、先ほどの寄生虫です。
長崎の帰省中を終え地元埼玉に戻り、僕は今、かねてより1周したかった房総半島に進出しています。
①の一日目にて、チーバ君の舌(浦安)に飛び込み、そのまま勝手に喉の千葉市蘇我駅に侵入し、外房線にて肺から背後に回り込み。
勝手に肛門付近の鴨川に宿泊しております。
たった1泊2日、しかも僕の好きな郷土資料館や博物館がすべて休館である月曜日。ただただ1周するしか能がないのだが、それだけを書いてもつまらないので、僕は虫となり、房総半島を自分の体をもって体現しているチーバ君の体に侵入し、その体を駆け巡る設定にいたしました。
なので、寄生虫と言っても、何の虫なのか設定しないといけませんかね。
ノミにシラミにナンキンムシ、アニサキスに横川吸虫。数多いる寄生虫ですが、やはり体表より体内、特にチーバ君の肛門に位置する鴨川に宿泊しているからこそ、お尻に関係のある寄生虫はどうかな。
お尻関係だと、サナダムシか、ギョウチュウでしょうか。
サナダムシがいいんじゃね?と思いましたが、成長すれば彼は数mの巨大モンスター。僕なんかが、チーバ君の千葉に、そんなのさばることはできない。
なので、ふだんは盲腸にいて、睡眠中に肛門に移り産卵活動をし、それが人体にひどい痒みを与える「ギョウチュウ(蟯虫)」という設定になることを決めました。搔きむしるくらいの痒さみたいですが…
こんにちわ!蟯虫です!!
安心してください。僕なんかは肛門付近で産卵活動とかできませんから、肛門の鴨川から一気に足元の館山を経て、お腹を駆け巡り、すぐに入り口のベロ(舌)の浦安から吐き出されます。
人畜無害。他人に迷惑をかけないのが、僕の座右の銘です!寄生虫としては有能だよね!
ギョウチュウといえば、小学校の蟯虫検査にて、お尻にセロハンをつけて提出しましたね。2015年に廃止になったとかで、学校提出してたころが懐かしく思えます。
僕なんか、ギョウチュウと同じようなもんです。セロハンつけて、「おお、害虫がいる!」と見つかってしまい。そして駆除されるようなもんです。
あああ、僕なんかゴミのネガティブなゴミ発言なんて置いといて、とりあえず気合と根性で一周するだけします!!
鴨川を出る
昨日の夜はそこそこの御馳走と美味しいお酒を楽しんだことは①にて描きました。
まあ、全部東京から持ち込んだもので地元のものじゃありませんが。
酒池肉林、ここで、飲む打つ買う等の豪遊ができれば、肛門にて生殖行為か産卵行為を行うギョウチュウに近づけますが、僕はチーバ君を汚さない有能なギョウチュウですから静かにスマホでアニメでも観て過ごします。
喉の渇きなどで早く目が覚めます。
しかし、旅館には自販機はありません。酒以外の飲み物を準備してないのは痛恨のミスです。
グーグルマップで自販機を探し、以外と外の近くに自販機があるのを知り歓喜。
リベンジの気持ちでお茶を三本ほど買っておき、渇きの対策は万全です。
だらだら、テレビを見ながら、うたた寝をしたり、行動計画を立てたりし。
鴨川シーワールドは駅から遠そうで、あんなのは車で家族が子供たちに思い出を作っていくようなリア充たちのもので、ぼっち貧乏電車の旅には不釣り合いなようで。
道の駅とか好きなのですが、これも駅から遠そうで、結局は電車に予定を決めてもらうことにしました。
九時台の下り、館山方面行きに乗れば、館山に全集中。
十時台の上り、安房鴨川方面に乗れば、鴨川シ-ワールドや市街地も楽しみ、館山へ向かうこともできる。
要するに、僕が早く旅館をチェックアウトするか、ギリギリ十時にチェックアウトするか。がんばるか怠けるか。
となれば、がんばるもの。
早めにチェックアウトすませ、駅に向かいます。チェックアウト時、何度呼んでもフロントはいませんでしたので(コミュ障は大声出すの辛いですががんばりました)、鍵を置いて駅に走り出します。
九時台の電車に間に合いました。一意専心、無二念に、チーバ君の足元にあたる館山に向かうことにします!爪先の水虫どもを蹴散らしてくれる!!
ここで、やはりトイレが駅にないのを確認。
海岸沿いに徒歩15分くらいにトイレの地図。間に合わないな。
僕はトイレが近くにないと安心できない人間。
館山まで電車で一時間、途中で降りることも考える。
しかし、なんと外房線と内房線はともに車内にトイレあり!
数時間は車内に閉ざされることもあるため、トイレを設置したようです。
長い房総半島を快適に過ごしてもらうための配慮か、それとも過去に何度も粗相を犯した人々の絶叫が響いたか。駅にトイレを置かないため、車内にトイレを置いたのか。
山の狭間を通っていると思いきや、やがて海が見え。
そしてまた山の狭間、海。故郷の長崎も、毎年行く東北の福島や宮城もそのような。日本の海沿いの風景はこういうものか。
今は山中、今は浜、今は鉄橋渡るぞと。
思う間もなくトンネルの 闇を通って広の原♪(童謡、汽車)。
ぽっぽっぽー、汽車ポッポー♪ トイレの不安なく、浮かれながら窓の景色を眺め見れば、気づけば外房の海沿いから大きく内陸にカーブして、もうしばらくで館山です。
館山にて
駅周辺、「クジラ」
午前11時すぎ、館山に着きました。見どころは一応、海沿いにある「渚の博物館」というものが月曜でも開いているようで、食堂やお土産も買えそう。それと、月曜休館の館山城と館山市立博物館の外側だけでも。
あとは歩くだけでも時間かかりそうだし、房総の南端の野島埼灯台はかなりの距離がありそうなので止めておく。館山全集中といえど、時間があれば木更津駅から久留里線にも乗ってみたい。
ひさしぶりに、駅中心の繁栄を見ることができました。
この辺りでお昼ご飯でも食べ、いざ昼食難民にならないよう備えたい。
駅を歩くと、さっそく地元のものが食べれそうなお店が見えてテンションが上がります。千葉というと、アジをたたいて調理するナメロウや落花生などのイメージしかなかったが、千葉も捕鯨がさかんなようで、クジラが食べられる!!
僕が千葉を見に行って気づいたことが、長崎との類似性です。
西部の長崎湾都市部に対し東部の背中は山が沈んだだけの寒村。僕はこれをハリボテにたとえましたが、房総半島も東京湾沿いの内房に千葉・市原・木更津・君津など有名な都市があり東側の外房は人口が少なそう。
しかも、長崎と同じく漁業がさかん、そして長崎もクジラはよく売られている。長崎生まれとして、房総のクジラも食べなければという不思議な使命感を持ち始めます。
クジラの卵とじを注文しました。お肉にクジラの大和煮がゴロゴロ入っており、鶏肉とはまた違った食感を楽しめます。噛み応えは豚肉、味はマグロなど魚肉のようです。飲み物はさすがに朝11時でビールとかじゃなくウーロン茶。
駅前には土産物屋もあり、館山や房総の名物が買えます。
また、なんとレンタサイクルもあり、僕は自転車を借りて館山を巡ることができました! 電動アシストで1時間500円のお手頃価格、館山をこれで周遊できますね!
自転車をこぎ出し、どこにも行ける万能感。
しかし、最近の僕につきまとうのは、トイレが無いことに対する恐怖症。
お腹が弱いだけでなく、便意が無くてもトイレが無いと不安になるのです。
しかし、館山は海水浴場が広がるのか、海沿いに公衆トイレが設置されてます。ほどなく「渚の博物館」もありますし、グーグルマップで検索すれば、かなり先の方にもコンビニがあり。安心して巡ることができる有難さです。
館山航空基地、「アクキー」
僕は館山城を見ようと自転車をこいでいったが、ついうっかり先に行き過ぎた。たまたまここで、自衛隊の館山航空基地があった。日本最大のヘリポートがあるとかで、道理で館山湾をさっきからヘリコプターが頻繁に往来している。
どうやら史料館もあるのだが、事前予約が必要で、行き当たりばったり旅には見学ができない。
僕の目的はセブンイレブン。もちろん、トイレに念のために寄っておくのが目的だが、ここで館山航空基地のグッズが買えた。
館山城、「八犬士」
館山市のシンボル・館山城。どうせ月曜なので中は見学できないが、せっかく来たのでなるべく近づきたい。
自転車の欠点は、移動中に写真が撮りにくいこと。もちろん止まって写真とらなければ危険。僕は渚の博物館の駐輪場で停車して、徒歩で館山城を目指す。
お城の下の公園へ。トイレがあるのを見て和む。トイレの存在感が僕にとって大事なのだ。
まあ、お城はわりと急坂を登るものだね。そもそも城は軍事要塞だし。
あらためて、館山城が江戸時代最大の小説「南総里見八犬伝」の舞台である。僕もそんなに詳しくないし、館山城や館山市博物館でも資料が展示されているだろうが今日は月曜閉館のため勉強すらできてない。
あらすじを簡単に言うと、里見義実がライバルの大名を倒すため、冗談で犬の八房に「安西景連の首をとれば、娘の伏姫を嫁にやろう」と言ってしまう。八房は首をとり、他の褒美に目もくれず、伏姫を求めた。伏姫と八房は南房総市の富山に入り、姫は読経の日々を暮らす。
すると、八房の気により、姫の腹が懐妊したように膨らむ。伏姫の許嫁だった金椀(かなまり)大輔は八房を鉄砲で打つ。伏姫は父の里見義実と金椀の目の前で割腹し果てる。その中から、仁・義・礼・智などの8つの玉が各地に飛び散り、「八犬士」という男子を産むこととなる。
八犬士は同じ「犬」という名と、牡丹(ぼたん)の花の痣(あざ)と玉を持ち、金椀は出家して玉を探す旅に出る。伏姫と八房の霊に守られながら八犬士らは各地で出会い戦い、やがて運命のもと里見家に集まり危機を救うことになる。全98巻106冊、30年もの大作である。
この「各地の玉を求めて旅に出る」「同じものを持つ運命の仲間」や「霊刀・村雨」などのモチーフは、たとえば現代を代表する作品「ドラゴンボール」など、様々な作品に影響を与えてきた。
里見氏は、もとは久留里城が居城だったようですが、1580年に館山城を築城。しかし1614年に江戸幕府に改易(とりつぶし)され、館山藩も廃止。
のち1781年に幕府から稲葉氏が入るも、城の再建はなく陣屋を政庁とした。
1982年に館山市は模擬天守を建設し里見家の古文書調査をはじめ、この模擬天守である館山城にて里見八犬伝の資料を、ふもとの博物館で里見氏の資料を展示している。
渚の博物館、「ギョぎょ魚、サカナさかな魚」
渚の博物館は月曜日も開いている。
スポットは4つもある。
まず食堂。館山の海産物や肉料理など、オシャレなレストラン。
なめろう定食、サンガ焼定食、パスタやピザなど。ただ、う~ん、なめろう定食3000円近くするなぁ。さっきクジラ食べたからいいかあ。
2つ目、お土産屋。ここで館山のお土産を買いましょう。
3つ目、「さかなクン」さんの資料館。館山市に住んでおり、研究施設のある東京海洋大学の客員教授と名誉博士、館山初の親善大使、渚の駅名誉館長。いろんな魚のはく製や人形やさかなクンさんの絵入り研究ノートを楽しむことができる。
4つ目、これが僕の最大スポット。館山の漁業に関する民俗資料も展示している。
あ、あと、館山湾沿いにありますから、湾の景色も楽しめます。
さて。肝心の民俗資料コーナーですが。
撮影がNGですので画像は無いです。けど博物館マニアとして、とても楽しく勉強になりました。見て痺れてしまったのが、漁師の晴れ着「萬祝(まいわい)」の展示。その迫力とメッセージ性、漁師の宴の雄たけびが聞こえてきそう。そして、いろんな漁法や漁具の展示、船や漁師の人形、漁師の家の模型。もう頭の中は「エンヤー!」の声が鳴り響き、大漁旗が駆け巡り。
魚と漁師の汗臭さも芳しいぐらいでした。
僕が結局買ったお土産は、大好物の海苔。そして千葉は酪農もさかんですから、リッチな低温殺菌牛乳、びわサイダーを飲みました。
びわも長崎の名物です。長崎のびわゼリーも美味ですが、館山のも良いですね。
館山を去る さよなら房総・千葉県よ
自転車を2時間でレンタルしたはずも、すでに午後3時近くになっている。
月曜日なので博物館も閉まっているし、けっこうあっさり見終わると思っていましたが、気づけば4時間も満喫していました。
さて、ここから各駅停車でゆっくり帰りますが、久留里線にも乗りたいと思ってましたが、久留里線は1時間に1本ずつ。帰宅が深夜とかになりそうだけどどうしようかなと思いながら、僕はなるべく千葉を駆け巡る寄生虫として、房総半島を海沿いになぞりながら、景色を撮影しようとします。
車内撮影・盗撮にならんよう、スマホを窓にくっつけて外の景色を撮っているアピールですが、やはり不審者っぽいですね。
雲を見て分かるよう、館山は傘もなく楽しい散歩ができましたが、南北細長い房総半島のためか、内陸には山々がそびえそれを潜り抜けるためか。
暗雲が立ちこめてきます。
東京湾を往来する船。細長いから石油タンカーか何かかな。
さらに向こうに見えるのは、三浦半島、横須賀かな。地図を見ても房総半島に身を乗り出すように迫っているし。
三浦半島の観音崎と、房総半島の富津岬はひょっとして、原始の海面上昇による水没前は一緒に繋がっていたのでしょうか。
今は山中、今は浜。車両はカラフルな内房線とその双子の外房線ですが、昔は蒸気機関車だったのでしょうか。ぽっぽっぽー、汽車ポッポー♪
実は関東の食を支えているだろう、農業生産額全国4位(北海道と鹿児島と茨城に次ぐ)の千葉。関東のスーパーに行くと、千葉産の野菜が多いですね。(なので、千葉で買わなくても、我が家の近くで買えるという)
館山にいたのも、儚き夢のごとし。電車はそのまま木更津を抜け、蘇我、千葉、浦安というチーバ君のベロからペッと吐き出されると思いきや、チーバ君の歯のすきまにあたる市川を抜けて東京都に入り、東京駅を経て。埼玉の我が家に戻るのでした。
木更津で久留里線に乗ろうと思いましたが、たまたま総武線快速で短時間で東京に行ける電車が来たので今日は断念。
総武線快速は横須賀線とも直通しますから、一気に三浦半島の横浜と横須賀線まで行ける。なんとも便利になったものです。
ってか、自動車で東京湾アクアラインで海底トンネルにて千葉と神奈川が直接に木更津~川崎でつながっているんですから、「アクアライン線」ができないものかと思っています。
長崎湾を結んだ女神大橋のちっちゃな直通と、東京湾じゃスケールが違うのはわかりますが。
またこんにちわ、千葉!
で、この日は館山を楽しんだ後、早々に千葉から退散したと書きましたが、実は旅の物足りなさ感で、千葉の「10分で1周できる」謎鉄道のユーカリが丘線に乗りに行きました。房総半島を1日かけて1周した余韻で、ユーカリが丘を10分で1周してみようという戯言です。
帰宅したときは21時まわる深夜でしたが。
そして、後日。久留里線にも乗りに行きました。
それについては、ここももはや7千字を超えましたので、後日くわしく描くとして、ここでは久留里線の写真をちょっとだけ載せておきます。
こんにちわ! また会いましたね。いつものギョウチュウです。
ただ、僕がギョウチュウであるのは、今回の千葉旅だけの設定です。
今後またギョウチュウとして現れるかもしれませんが、みなさんのお尻もむず痒くなりそうなので、なるべく止めておきます。
ギョウチュウは、ふだんは盲腸にいるらしいのですが、せっかくなんで、千葉の「盲腸(虫垂)線」である久留里線に向かいます! 自然の摂理だね!
盲腸線とは、営業距離が短く、かつ始点や終点のいずれかが他の路線と乗り入れしていない「ずん止まり」路線のことを一般的に指すようです。
ギョウチュウとして、盲腸の先に、納まりにいきまーす!ア○ロ、行っきまーす♪
内房かなた、盲腸の先へ。はるばるのぞみますが、それはまた次の機会に。
さよなら、ギョウチュウちゃん!!
お尻がむず痒くなった人がいたら、申し訳ありませんでした。
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