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わが村は水に沈んだ

勝楽寺村へようこそ!

むか~し、むかし。
埼玉の所沢、東京の村山(東村山市・武蔵村山市)の間に、「勝楽寺村」という場所があった。この村は、今は存在しません。
「町歩き散歩記事(歴史をタイムトリップ)」、今日はこの村についてご案内します。

奈良時代に創建された勝楽寺。この施設である仏蔵院や七社神社周辺に村ができ、のちに中世の武士の時代には、北に山口氏の根古屋城(勝楽寺城)もつくられ、ふだんは山口城や勝楽寺村にいる家臣たちは非常時にはこの城にたてこもったらしい。

突然ですが、ガオー!山口城の近くには、現在、西武ライオンズの居城ができた!
山口線レオライナーは、西武狭山線の「西武球場前」駅から乗れるモノレール。ここから「西武ゆうえんち」駅を経て、山口城の跡へ。
西武園ゆうえんち駅から徒歩15分、山口城あと。
後述しますが、筆者の出発点は西武新宿線から多摩湖線の武蔵大和駅から散策をはじめました。
今回の狭山湖散歩の帰路にて、山口城のあとを撮影。ファッションセンターの店の前にこの石碑と案内板がありました。
山口城も勝楽寺村とつながっています。

話を勝楽寺村に戻すと、関東で勢力をもった武蔵武士団たちの一派・村山党の山口氏が取り仕切っていたようだ。
武蔵村山と横田に通じる「山口街道(所沢街道)」は物資の往来もさかんで、このあたり「大ヌカリ」(ぬかるみ?)の小川にかかった橋は獄門橋ともいわれ、刑場にもなっていたらしい。
水田が広がっていたようだが、狭山丘陵の里山の食糧にもめぐまれ、冬は野ウサギ、秋はキノコ、春は山菜、また大人も子供もウナギやモクゾウガニなど川魚をとるのも楽しんでいたよう。
農業以外の仕事もさかんであり、養蚕や茶摘み、炭焼き、林業。紺屋、鍛冶屋、紙すき屋、紐屋、とくに勝楽寺村は「可津良絣」という綿織物がブランドらしく色合いなど高品質で、織機をもつ機元の家は日々道楽三昧など大儲けしていたものもいたとか。
この周辺でつくられていた所沢絣(所沢飛白)は庶民の衣服として広まったが、それが途絶えたのも勝楽寺村の沈没が一因のようだ。

所沢HPより。

狭山湖の成立

明治時代以降、東京の人口は増え続け、従来の玉川上水で水資源の確保は難しくなり、玉川上水(東京都羽村から)の終着である四谷大木戸からやや離れ、現在の新宿駅の西口・東京都庁が後にできる場所に「淀橋浄水場」をつくった。
しかしそれでも足りなくなり、村山貯水池(多摩湖)をつくることとなる。
大正時代に住民への立ち退きの依頼をはじめ、工事は着工した。
さらに水を確保するため、村山貯水池のそばに「山口貯水池(狭山湖)」をつくることとなった。

約282もの家が、約1720名ほどの人が、近くの山口村、村山村、小手指村に移住。190もの農家と20ほどの織物業が故郷を失ってしまいました。たしかに土地を手放したお金で新しい仕事(当時は昭和恐慌で農業・工業ともに大変な時代だった)を求めたり、ダム湖建築の仕事につけた者もいたようですが、とても大変だったようすは「湖底のふるさと」(昭和58年調査同好会発行)という本にくわしいようです。

多摩湖と狭山湖の散歩旅へ

西武多摩湖線、武蔵大和駅から徒歩20~30分くらいに、東大和郷土博物館へ。

狭山丘陵と青梅街道沿いの民家か。
ダム湖に沈む村。

出て、徒歩一時間くらいの武蔵村山市の郷土資料館を目指す。

博物館にあった高札場が今でも道路沿いに残る。

やがて丘陵の中へ。狭山湖近くに武蔵村山市があるんだな。

東京ていっても、わたしの田舎・長崎の町と変わらないなあ。
多摩だなあ。位置としては、東京の立川市の北(中央線)、東村山市と東大和市の西の武蔵村山市(西武新宿線とその支線の西武拝島線と西武多摩湖線と西武狭山線)、埼玉の所沢市や入間市や狭山市の南(西武池袋線の小手指や狭山ヶ丘や入間)。
江戸時代の道路もこんな感じかな。
あいまのこんな井戸を利用したり。

武蔵村山市の郷土資料館は撮影NGでした。
となりに温泉(村山温泉かたくりの湯)があったが、まだ歩くため、やめとく。

さて、目的は果たした。どうするか。
近くに入間市博物館もあるな。けど徒歩一時間半。ギリギリ17時、閉館するな。
バスなどないものか。バス停の気配がないな、温泉てのに。

するとバスがきた!
方向的に入間市博物館に向かう道路へ進んでいるぞ!
僕は駆け込んだ。
ああ!やばい、Uターンし、逆方向に向かっている!

僕は静かに、入間市博物館を断念した。

しかし、どこに向かうのだ?
今日は本来、西武新宿線あたりから狭山湖をのぞみ、徒歩で東大和、武蔵村山、そこから入間(わが家の近所)つまり東京から埼玉の西武のわが家(背中に秩父と飯能)を歩くという壮大な旅をお手頃にやっちゃうつもりだった。
どうやら来た道戻ってる? はうう、リセット…

アナウンス聞くと、どうやら上北台駅にむかうらしい。多摩モノレール始発の駅だ。
僕は駅で路線図を見た。
立川の歴史民俗資料館へ行ける?
しかしもう四時前だ。電話したら四時半閉館。
調べたら45分かかる。
どうしよう。高幡不動駅にも行けるな。京王線乗り換えて散策するか。高幡不動は新撰組の土方歳三も祀られている。駅内の高幡そばの鳥中華(山形名物、天童で食べた、なつかしい!)も絶品だった。今もやってるかな。行く宛ないな。

僕は決めた!やっぱ狭山湖を目指す!
湖底に沈んだ村を思おう!

狭山湖へ到着!

しかしバスは、けっこう狭山湖から外れてきたぞ。
たしかにバスは僕が来た道を引き返した。僕が1~2時間かけてきた道を、バスは数十分で引き戻す。
武蔵大和駅近くに行くとおもいきや、その半ばで大きく道を反れ、上北台駅というまったく無知の駅に着いた。
さて、徒歩で何分だろう。…一時間くらいだ…。

僕は決心した。戻ろう! 狭山湖に行き、すぐ近くの「西武球場前」で帰ろう! そういえば、僕は西武線ユーザーなくせ、西武球場前駅(西武狭山線)を使ったことがない。いつもと違った景色が見れるに違いない。

景気づけにコンビニでビールを飲む。酒クズです!

西武球場前まで1時間半以上か。そっから狭山湖とか行くしなあ。
トイレをすませ(旅では重要)、ひたすら歩く。ナビを見ると道路はわりと一直線。スマホでナビを見ると電池をけっこう消耗する。道に迷わぬよう、少しずつ見ていく。

武蔵大和駅と東大和郷土博物館の間あたりの道を十字に横切り、やがて森林に囲まれ始める。多摩湖が近い。

再掲載。こんな位置関係。

調子に乗って歩いていたら、ふと気づく。どうやら大きく道を外したようだ。どこで道を外したのか。そのポイントに戻り、原因を確認する。
「なんで気づかなかった!?」と思いつつ「んなのわかるか!」という開き直り。

やがて多摩湖を渡る橋へ。高所恐怖症なので不安だったが、ダムをせき止める壁のようで、浮いてはいないので平気で渡れた。

左手、西側、武蔵村山方面。
右手、東側、東村山方面。

橋を渡ると、目の前は西武球場前へ向かう道路へ。左手の方へ迂回するように、狭山湖方面へ。

途中に山口観音が。けっこう広いがもう六時近く、観音様も閉まってた。

新田義貞公が鎌倉幕府を滅ぼす「鎌倉攻め」に向かう途中、祈ったらしい。
むーん。近くの小手指原古戦場跡は新田公の激戦の地、行きたいものだがもはや疲れた。電車で行くか。

さらに近くに狭山不動尊。僕は御朱印集めも趣味なのだが、しかしここは三時半に閉まってた。

ほどなく狭山湖。おお、勝楽寺て地名が!

勝楽寺の面影はなく、水道局かなんかの敷地で入れない。なんとか湖底に沈んだ村の面影はないものか探しながら狭山湖を見ていく。

逆さ(水面に写る)取水棟。
夕日が3つだ!(目が焼けそう)
ちなみに左手側。この湖底に勝楽寺村が。
こっちが右手側。ダムをせき止めた壁の上をある家います。
このコントラストも不思議。
てことは…
ここも湖底になりうる? 
もしここもダムならばを想像してしまう。
家々が沈み、山々も沈み…
って、狭山丘陵といえば、トトロの森やがな!
となりのトトロのモデルらしく、さつきとメイもダムに沈む…???
一度水をぬいたことも。勝楽村のあたりかな?

こういう案内板もおもしろく、さきほどの、昔の勝楽村の写真もあり、これが今回の旅の最大の収穫でした。

昔の道はこんなんばっかなのかな。

もどり、西武球場前を目指す。
山口観音の脇道にも湖底を描いた案内板が。

ほどなく西武ライオンズのホームタウンへ。
敷地内に狭山スキー場もありますが、スキーなんてやったことありません。
敷地内の端、「西武球場前」駅を目指します。
前述(トップのほう)に書いた通り、ここから山口線レオライナーがモノレールということで、はじめて乗った。西武ゆうえんち駅ですが、午後7時過ぎ、寂しいもんでした。

ここから山口城あとへ。
その途中、なんと、「山口民俗資料館」が、が、が!! 調べると、勝楽寺村のことをくわしく展示しているらしい!
これを見ずして、勝楽寺村を語れるか!?

しかし、当然閉まっている。そのうえ、開館日が毎月第2第4木曜日やらなんやら。レア!
ってか、今日は第4木曜日やがな!! 悔やまれる…

まあ、いいや。勝手に記事書いたれ。

山口城あと(前述)を見て、近くのベルクで買い物。こんにゃく煮、ふきとタケノコの炊き合わせ、里芋といかの煮物、塩サバを買う。
がっつりチャンポンでも食べたいが、最近下っ腹が出てきたかもでダイエットを続けないと。
万歩計によると30000歩突破、距離にして23kmぐらいらしい。

はあ。歩いてたまった書類処理をしないといけない。
(現在半分終わりました)




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