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パソコンとインターネットが、好き。

私が初めて意識的にパーソナルコンピューターというものと向き合ったのは、最初に入った会社で社長が突然「Mac入れるぞ」と宣言したところから始まった。1995年前後だったと思う。え? Mac? Windowsじゃなくて? と思った記憶があるのでWindows95が出るころだったのかもしれない。

ともかく社内で誰もパソコンというものをまともに扱ったことがない。若手社員として立ち上がった私は、でもまぁわけがわからないのでしょぼい田舎の本屋で探し出した(Amazon Japanで津々浦々の書籍が入手できるようになるのはまだ先のことだ)初めてのマッキントッシュ的な本を片手に、爆弾相手に強制再起動しか武器がないような雑な格闘をしながら、ジョブズはパソコンを家電レベルに親しみ深いものにしようとしてたのか~、と各種雑学にリスペクトを感じつつパソコンというものに慣れていったのだった。

その後、パソコンが好きという自覚がなかったわりには、プライベートでも大枚はたいてBTOパソコン買ってみたりして、なんだかんだとパソコンに触れ続けながら生きていた。

同時にインターネットについても、最初の会社でMacをさわっていた時には「インターネット=長電話(従量制)」だったものが、定額つなぎ放題すごい! になり、ADSL速い! になり、光ファイバーもっと速い! に変わっていったのを肌で感じ続けていた。なかでも「24時間つなぎ放題」が可能になったことの衝撃は大きかったなぁ。

自分としてはずっと、ふわっとネットやパソコンに触れていた程度、という感覚だったのだけれど、どうも行く場所行く場所でなぜか「パソコンがわかる人」という扱いを受ける。

いや私じゃないでしょ! 私がやってたら危ないでしょ! と叫んでみるものの他に誰もいないので必死で調べまくって目の前の問題を解決する、ということを続けていると、さらに「パソコンがわかる人」扱いを受け続ける。

そんなわけないのになぁ、と思い続けていたある日、パソコンが苦手だという人から質問を受けた。
「テツカさんはなんでそんなにパソコン詳しいの?」

んん? 私はパソコンに詳しいのか?

本当にわかる人ってもっとずっとすごいからそういう人がインターネット上にあげてくれている情報を見ているだけなんだけどなぁ、と会話を進めているうちにだんだんその人との違いが見えてきた。その人は、そもそも別にパソコンにさわりたいという欲求はないのだ、と。…あれ…?

確かによく考えてみたら。

パソコンは自分にはできない正確さと速さで動いてくれる。そんなパソコンが好きな人たちがみんなインターネットにつながっていて、お互いに必要な情報を提供し合っている。重要で正確な情報もくだらないバカ話も等しくインターネット上に漂っている。なにか問題が起きるといろんな人が寄ってたかって情報を持ち寄って解決したりする。

私はそんな世界がすごく気に入っていたんだ。

ずっと長いこと、私はパソコンに詳しいわけではないんで! と思い続けていたけれど、それが30年ともなれば、まあ古い付き合いで仲良くしてるんで、くらい言ってもいいかもしれない。それなら、もうちょっと積極的に「パソコンに(ちょっとくらいは)詳しい人」として愛すべきその世界に貢献していっても…いいのかも…。

パソコンのことを本当にわかっている人たちの知識や技術はもっとずっと深くてすごい。でも、そこまでわからなくても私は楽しんで使い続けている。だとしたら、使い手としての幸せなつきあい方、ということなら少しはお伝えできるのかもしれない。

自分がインターネット(の向こうにいるたくさんの人々)に助けられた数々のこと、次々と歓喜を呼び覚ましてくれる端末や技術の進化(それも「人」がつくっている)、そんなわくわくする感覚を、パソコン苦手だな…と感じている人たちにも知ってもらえたら。怖がらずに楽しく使ってもらえたら。そんなことに、ほんの少しかもしれないけれど貢献できたら、パソコンやインターネットをつくり上げてきた人たちの世界に恩返しができるだろうか。

ICT(情報通信技術)と呼ばれる仕組みをきちんと事業で活用するには、やはりある程度の労力を使うことは必要だ。でも、趣味ではないし、そこが投資のメインでもない。そんな制約の中で、要点を押さえながらパソコンやインターネットでできることの恩恵を最大に受けられるように調整する。いくつかの現場担当者として実際にやりくりしてきたからこそ、机上の理想論ではない実際的な方法や対応を考えることができる。

そんなふうにやってきたことが、どこかでうまく役に立てれば。

勉強したいことはたくさんあるんだ。
がんばるぞー。

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