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RIZIN.24 天心皇治から天心武尊の勝敗・内容を予想する。

先日29日に行われたRIZIN.24のメインイベント那須川天心vs皇治。

試合内容は戦前に予想した「天心KO勝ち」とはならなかったものの、終始那須川が全局面で圧倒。那須川の圧勝で幕を閉じた。

今年の日本格闘技界最注目のビッグマッチ天心vs皇治を経て、今回は

①皇治がRIZINで魅せた"K-1ファイター"としての仕事と残したモノ。

②ファン待望のビッグマッチ「那須川天心vs武尊」を皇治を物差しとして試合内容・勝敗を予想。

③天心武尊がの実現は、もしかしたらあるのでは?

⇧この3つのテーマを軸に記していきたい。


まずは、天心皇治を振り返っていこうか。

①皇治がRIZINで魅せた"K-1ファイター”としての仕事と残したモノ。

那須川天心vs皇治


皇治は新生K-1で試合していた頃と比べてステップを使っていた。プレッシャーを掛けて距離を短くし、打ち合いの展開に持っていきたかったのだろう。那須川のパンチの打ち終わりに右を当てようとするシーンもあった。

しかし、那須川が戦前の予想通り、皇治がパンチやキックを当てる距離を全く作らせなかった。そして、那須川のスピードに全く付いていけてない。皇治は那須川の左のジャブに対してもワンテンポ反応が遅く、ほぼ全て貰っていた。皇治が1Rに前に出た瞬間の左ストレートや飛び膝蹴りのカウンターを喰らった瞬間から前に出れなくなった。これは、新生K-1の中継で魔裟斗が「強いカウンターを当てられると、うかつに前にでれなくなる」とよく解説しているが、今回の皇治がそれだった。「皇治は何故もっと前に出なかったんだ!」と言ってるファンのコメントを多く目にしたが、それは違う。”那須川が前に出させなかった”のだ。結果、終始那須川が持ち前の距離の巧みな設定を守り、1Rから最終3Rまで一方的なワンサイドゲームだった。

皇治はこれだけの差がありながら、よくKOされなかったし打たれ強さを発揮したが、しかし、見せ場は”それだけ”だった。2Rにパンチを当てたようなシーンが1度あったが、スローで見ると那須川が瞬時に反応し、スリッピング・アウェーでかわしている。事実、皇治は一発も那須川にパンチを当てられずの完敗であった。

フルラウンド戦って一発も当てられず、逆に一方的に面白いように相手の攻撃を貰い続けたというのは、ファイターとしてある意味KO負けする以上に屈辱的な負けかたではないだろうか………

それでも、皇治が残したモノもある。それは、ファンが長年待望する那須川天心vs武尊への期待だ。実際に2度ダウンを喫して敗れた武尊戦。そしてダウンを1つもとられなかった天心戦を経て、ファンの間では、やはり『天心武尊はやってみないと分からない!』と言うコメントをSNS上でちらほら目にする。

皇治は試合後のインタビューで、『武尊の方が強い』とも言った。

おそらく、キックボクサーとしてのトータル的な強さとは違う別の視点での強さを言ったのかもしれないし、リップサービスなのかもしれない。皇治が同じK-1ファイターであり、かつてのライバル武尊に対する間接的なエールだったのかもしれない。皇治は”元K-1ファイター”として、K-1のメンツを守り、天心武尊への機運を高めさせる為に最後まで”元K-1ファイターとしての”コメントを残した。

私自身もTwitterで皇治へエールを込めて『皇治、K-1をしてくるんだぞ。K-1を』を言ったのは、まさにこれのことだ。

皇治自身としては、もちろん『俺は天心武尊を実現させる為の引き立て役じゃねぇよ!っざけんな。』と言うのが本心であるだろうし、皇治の立場を考えるとあまりにもこの結果は不本意であるだろう。

しかし、結果的に皇治が那須川に圧倒されながらも”KOされなかった”という事実が結果的に那須川天心vs武尊へのファンの機運を高めさせることになった。

②ファン待望のビッグマッチ「那須川天心vs武尊」を皇治を物差しとして試合内容・勝敗を予想。


では、那須川天心vs武尊を皇治を物差しとして試合内容と勝敗を予想していこうか。

まずは、2018年12月に行われた武尊vs皇治を見てみよう⇩


天心戦と比較し、皇治はまだパンチやキックを当てる距離が作れている。

3R通して至近距離での激しい殴り合い、蹴り合いの中、皇治は1Rと3Rにダウンを喫し、判定で武尊が勝った。判定も「30-25」の結果だ。

しかし、皇治がダウンを喫した以外のところや試合の流れ、過程と言うと天心戦とは対照的に、皇治も結構な数のパンチやキックを当ててはいるのだ。

1Rと3Rに打ち合いの展開になったところで、武尊が最大の持ち味である至近距離からのパンチのラッシュで打ち負けた上でダウンを喫したが、それ以外の展開は1Rから皇治はキックやパンチを当てられる距離は作れていたし、カウンターを合わせるシーンもあった。

逆に那須川は、それすらさせなかった。皇治武尊戦はお互いの持ち味が光る”死闘”だったが、皇治那須川戦は完全に皇治の光を消した”ワンサイドゲーム”だ。

この1つの試合を比較するに、フィジカル的な強さと1発の重さは武尊。しかし、それ以外の技術的な要素(ボクシング技術・蹴りの技術・技のレパートリー・距離の設定・ディフェンス・フェイント・スピード)は全て那須川の方が上回っていると私は踏んでいる。

私の勝敗予想はずばり………

那須川天心の判定勝ち。武尊の持ち味を消した上での完封勝ちだ。

しかも、大袈裟に感じるファンもいるだろうが、私は仮に那須川と武尊が10回試合したら9回は那須川が勝つ。それぐらい実はこの2人には差がある。と見ている。皆が期待しているような魔裟斗KIDのような死闘。もしくは天心堀口の更に上を行くスリリングで白熱した技術戦にはならない。断言する。

では、その理由を噛み砕いて説明しよう。

③武尊の必勝パターンは1つ。そのパターンを那須川は普通に攻略してしまうはず。

まず、武尊のファイトスタイルについて説明しよう。武尊には必ずと言っていい程の必勝パターンの流れがある。

(1)まずローキックとミドルキックからリズムと距離を作っていく。

(2)ジャブとローを散らしながら、距離を縮めてテンカオの膝蹴り、そして、強烈なボディブロー(←ここが凄く重要!)を叩き込み、試合のイニチアチブを握る。

(3)ボディブローが効けば、必然的に顔面のガードも緩み、顔面へのパンチも入り出す。更に蹴りも当たる。そこへ伝家の宝刀の右フックをバコンッ!と当てる。

(4)効いたと感じれば、後は近距離でのストレートとフックの連打でダウン、もしくはKOをする。

ざっくり説明すると、これが武尊の必勝パターンだ。新生K-1のウェルター級で活躍した中澤純やK-1 WORLD MAXで活躍したキック界のレジェンド佐藤嘉洋はこれを「黄金のワンパターン」と語っていた。

さて、この必勝パターンが那須川に通じるかと言うと、まず那須川は、武尊が試合のイニシアチブを握り、攻撃のリズムを作る上で最も重要なボディブローを”当てさせない”と思うのだ。厳密には武尊のパンチを当てる距離を完全に殺すだろう。那須川は「距離の設定の仕方」が他のトップクラスのキックボクサーと比較しても、群を抜いている。そして、卓越したスピードと天性のカウンターも併せ持つ。

那須川は「仮に自分が負けるとしたら?」を想定した場合、特に至近距離の攻防を徹底して避けるだろう。そして、武尊がリズムを作るボディブローを打てる距離を作らせないため、とにかく、皇治戦同様にまずカウンターを当てて武尊の出鼻を挫くはずだ。

攻めようとする武尊。それに、カウンターを合わせようとする那須川。こんな構図になるだろう。そして、カウンターをヒットさせれば、流石の武尊も迂闊に前に出れなくなるはず。しかも、武尊は比較的パンチのモーションが大きい時がしばしばあり、村越戦でも強引に流れを打開する為、大振りのパンチを振っていた。このパンチでは那須川には当たらないし、カウンターの餌食になるか、スピードに翻弄されるはずだ⇩

2019年12月 武尊vs村越優汰

昨年12月に対戦した村越優汰も武尊の必勝パターンを攻略する為の作戦として、武尊が前に出てきたところに左ミドル、左ストレート、テンカオの膝のカウンターを当てて近距離を殺し、2R途中まで武尊がボディブローを当てる距離にしなかった。

「ステップを使い、武尊が出てきたところにカウンターを合わせる。近距離を作らせない。そして有効打の数でポイントアウト」

村越はこれ⇧を狙っていたのだろう。作戦としては正解だ。しかし、村越のカウンターには武尊のプレッシャーを弱める程の威力のあるカウンターを打てず、プレッシャーを捌き切れるスピードもなかった為、作戦としては良かったものの、結局武尊の圧力に屈してパンチを当てれる距離を作られ、3Rにはダウン寸前まで追い詰められて判定で敗れた。

那須川は村越よりも、スピード・パワー・カウンターのテクニック・フェイント・技のレパートリーと全ての要素を更に上回っている。村越のカウンターでは怯まなかったが、那須川のカウンターはワケが違い、皇治のように武尊もグイグイ前に出れなくなるだろう。皇治戦で那須川が見せたカウンターの飛び膝も武尊戦では非常に有効だ。そして、スピードもまた段違いだ。村越の捌きに武尊は何度もパンチが空回りしていた。両者と対戦経験を持つ村越本人が那須川天心vs武尊についてインタビューされた際も『武尊のパンチでは那須川には当たらないだろう。』と語っていた。

話が少し逸れるが、来月11月に新生K-1で行われる武尊vsレオナ・ぺタス戦。これも、レオナ・ぺタスが如何に「打ち合いの展開に持って行かせず、ポイントアウト出来るか?それを武尊は打開出来るか!?」が試合の焦点となる。

レオナは村越よりもリーチが長く、スピードも速い。アウトボクシングでも長けている。昨年武尊が仕留めきれなかった村越を今年3月に2Rでしっかり仕留めて完勝もした。武尊にとっては過去最強の難敵であり、これをクリア出来なければ那須川と試合する夢は絶たれる。

④それでも、武尊が那須川に勝つ方法。

私が思うに武尊が勝つ流れは2つ。

(1)那須川のカウンターで武尊が怯むシーンが必ず来るだろう。その場面で那須川が『倒せる!!』と思い、KOを狙って一気に距離が縮まったところに逆にカウンターを合わせられるか?

もしくは

(2)皇治とは違い、那須川のカウンターに怯むことなく、前に出て強引にパンチを当てる距離を作れるか?

武尊が勝つポイントはこの2つに絞られる。ただ、(1)に関しては那須川はリスクをさけて無理に行かず、勝ちに徹すように感じる。先日の皇治戦でも2Rに左ストレートをヒットさせてぐらついた皇治に対し、倒しに行かず冷静に対処したシーンがあった。体格差から来る1発のカウンターを警戒してだろう。

であれば、(2)が武尊が勝てるか?の大きなポイントになるだろう。武尊がどれくらいタフで後は精神論に近い話になってしまうし、言葉で言うのは簡単だが、しかし、これが出来なければ皇治同様に「何回やっても那須川が勝つんだろうな」と思わざる得ない圧倒的な差の試合になるというのが結論だ。

そして、この試合は武尊の方が様々な意味で非常にリスクがあると言う事も付け加えておこう(それに関しては、またいつかの機会に記事書きます)

⑤天心武尊の実現はもしかしたら水面下で動いているのでは?

長々と勝敗予想を噛み砕いて説明したが、最後に『結局、この試合は実現するのかよ!?』って話だが、最近新生K-1で思わず『んんんっ!!??』となる発表があった。

⇩日本国内のIT企業大手・サイバーエージェントが新生K-1への出資を決めたのだ。

サイバーエージェントとは、新生K-1だけでなく、RISEやONE Championshipも放送する「ABEMA TV」の親会社である。更にRISEと那須川天心のスポンサーを務めるスマホゲームを手掛ける大手「Cygames」の親会社である⇩

これは私の「こうであってほしい」という個人的願望と観測に過ぎないが、サイバーエージェントの主催として、新生K-1とRISEの仲介的立場でイベントが出来ないのな?と思ったり………

那須川天心vs武尊の実現するか、しないか。この会社がどう動くかによるかも?

サイバーエージェントと格闘技界。この2つの流れに注目したい。

最後まで、読んでくれてありがとうっ!!!

by 不滅の鉄人

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