シーズン前の選手編成は十分だったのか そして補強が必要なポジションとタイプは? エルゴラ浦和担当、沖永雄一郎さんと振り返る(後編)

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浦和レッズの2023年シーズン前半戦が終わりました。今季からマチェイ・スコルジャ監督が就任したチームはシーズン開幕前に3人の攻撃的選手がチームを離れる形でスタートしました。その編成面に感じた問題点や、補強するならどのようなタイプの選手が必要なのか。沖縄県でのトレーニングキャンプから取材していたサッカー専門新聞エル・ゴラッソの浦和担当、沖永雄一郎さんと共に振り返りつつ、最後にはシーズン後半戦に期待するものをテーマにしていきたいと思います。

※文中で敬称を省略します。

沖永雄一郎(エル・ゴラッソ浦和担当)
山口県出身。2019年10月よりアイキャンフライしてフリーランスという名の無職となるが、気が付けばサッカー新聞『エル・ゴラッソ』の浦和担当に。
https://twitter.com/RMJ_muga

轡田哲朗(フリーランス)
埼玉県出身。浦和生まれの浦和育ちでイタリア在住経験も。9つの国から11人を寄せ集め、公用語がないチームで臨んだ草サッカーのピッチで「サッカーに国境はない」と身をもって体験したことも。出版社勤務の後フリーに。https://twitter.com/tetsu11k

背後に飛び出せる3人を失ったシーズン前

轡田 後編では選手編成の部分をメインにしながら今季の前半戦を見ていきたいと思います。まず、昨季の終了時点から主だったところでいうとキャスパー・ユンカーと江坂任がチームを離れました。また、沖縄県トレーニングキャンプ中には松尾佑介が海外移籍でチームを離れ、マリウス・ホイブラーテンの獲得が決まりました。ホイブラーテンの合流自体はキャンプ後になってしまいましたけれども、これはビザが降りるまでの時間も影響したようです。そして、海外移籍を目指してキャンプに参加していなかった岩波拓也は最終的に合意することができず、こちらもキャンプ後のチーム合流ということになりました。そして、いわゆる「9番タイプ」のセンターフォワード獲得に動いた形跡はありますがシーズン開幕前に合意することはできず、3月に入ってからホセ・カンテと契約するに至りました。まず、ここまでの流れに対してどんな意見を持っていましたか?

沖永 噂のセンターフォワードを逃したのは痛かったですが、まあ何とかなるだろうと思っていました。どこを目標に置くかによっても変わってくると思いますが、各ポジションに大きな不足はなく、前目にかけては圧倒的ではないけどそう悪くもないだろうと。ただ、これは期待値どおりの活躍をしてくれれば、ということが前提でもあるので、いざ開幕してみるといろいろと違ったわけですが。

期待どおりにパフォーマンスを発揮してくれなかった選手もおり、チーム全体の攻撃練度が不十分な状態だったので、特に攻撃陣は迫力を出せなかった。カンテにしても、興梠慎三、ブライアン・リンセンと並んで年齢が高めなので不安がありました。

轡田 僕のスタンスは、これまで「浦レポ」などでも少し触れたことがあるんですが、基本的には「今いる選手たちに成長して穴を埋めてくれることを期待したい」です。ただし、それをずっと待ち続けるのは難しいのも理解しています。何が言いたいかというと、前編でも問題になった相手の最終ライン背後に働きかけられる選手の存在という観点からみると、シーズン前の段階で「マイナス3人」だったわけです。ユンカーはもとより、江坂と松尾もまたそのようなプレーができるタイプで、プラスアルファの部分で江坂は組み立てに参加できること、松尾はドリブルでの仕掛けもできることが挙がりますが、かなりゴールに直結するプレーを好むタイプだという印象です。だからこそ前編で小泉佳穂や大久保智明に触れたときに「意識改革」というワードを使用しましたが、そもそもチームの編成としては同じようなことができる選手をまとめてロスしている。これはとても気になりました。

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