マチェイ・スコルジャ監督就任初年度 すべてのタイトルに可能性を残した前半戦 エルゴラ浦和担当、沖永雄一郎さんと振り返る(前編)

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浦和レッズの2023年シーズン前半戦が終わりました。今季からマチェイ・スコルジャ監督が就任したチームはAFCチャンピオンズリーグ(ACL)決勝戦を制し、すべての出場大会で優勝の可能性を残したままシーズン前半戦を終えました。そのピッチ上でのパフォーマンスについて、沖縄県でのトレーニングキャンプから取材していたサッカー専門新聞エル・ゴラッソの浦和担当、沖永雄一郎さんと共に振り返っていきたいと思います。

また、7月23日に公開予定の後編では補強も含めたチーム編成をメインテーマとして振り返っていく予定です。

※文中で敬称を省略します。

沖永雄一郎(エル・ゴラッソ浦和担当)
山口県出身。2019年10月よりアイキャンフライしてフリーランスという名の無職となるが、気が付けばサッカー新聞『エル・ゴラッソ』の浦和担当に。
https://twitter.com/RMJ_muga

轡田哲朗(フリーランス)
埼玉県出身。浦和生まれの浦和育ちでイタリア在住経験も。9つの国から11人を寄せ集め、公用語がないチームで臨んだ草サッカーのピッチで「サッカーに国境はない」と身をもって体験したことも。出版社勤務の後フリーに。https://twitter.com/tetsu11k

沖縄キャンプの印象は守備から詰めて攻撃は大枠だけ

轡田 浦和レッズはシーズンの前半戦を終えて、リーグ戦では10勝7分4敗、27得点17失点の勝ち点37で4位。ACLは、決勝だけ残していたアルヒラル(サウジアラビア)とのホーム&アウェーを制して優勝し、8月に次の大会のプレーオフから本戦出場を狙います。天皇杯は4回戦(ベスト16)に進出し、ルヴァン杯ではプライムステージ(ベスト8)に入って、ある意味ではすべてのタイトルを獲得する可能性を残していると言えます。まず、この結果を見たところから始めたいと思いますが、マチェイ・スコルジャ監督の就任1年目でコーチングスタッフにも大きく手が入った中での公式戦31試合を大きく見たときにどのような印象を持っていますか?

沖永 まず、ここまでの結果自体は素晴らしいものだと思います。ACL優勝に照準を合わせて始動した中で、守備から着手して強度の高いチームを作り上げました。中心選手の『個』に支えられている面もあるとはいえ、チームとしての強度は僕が赴任した2020年以降でもっとも高い状態にあると思います。これがアジア王者のタイトルにつながりましたし、リーグで上位につけている大きな要因になっています。コーチングスタッフが刷新された刺激もいい方向に出ていると思いますが、夏の時点でリーグ優勝を狙える位置につけるところまでは予想していませんでしたし、少々出来過ぎの結果でもあります。

轡田 お互いに今季は沖縄キャンプの取材からスタートしました。多くの変化があったので一言でまとめるのは難しいですが、特徴としてはオフェンス、ディフェンス、フィジカルとそれぞれの担当コーチがハッキリしていて、マチェイ監督が統括するような形であったこと。また、池田伸康コーチのトップチーム合流によってかなり雰囲気が明るくなったというか、活気が出たような感もありました。昨季までのコーチが悪いと言う気は全くないんですが、彼のようなキャラクターは1人チームに必要なんだなと最初の何日間ですぐに感じたところもあります。沖永さんはトレーニングの進め方や昨季からの流れで感じた部分はありますか?

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