期待と不安が同居したキャンプとチームのモデルチェンジ　エルゴラ浦和担当、沖永雄一郎さんと2024前半戦を振り返る

2024年7月25日 17:33

＜全３回中の１回＞
＜開幕してからの振りかえり（中編）はこちら＞
＜編成や監督人事の振り返り（後編）はこちら＞

浦和レッズの2024シーズン前半戦というには少し試合数が経過していますが、サマーブレークに入りました。そこで、恒例となったサッカー専門新聞エル・ゴラッソの浦和担当、沖永雄一郎さんとの振り返り企画をしていきたいと思います。

実際のところ、ここまで経過したリーグ戦は24試合で残りは14試合とバランスが少し良くありません。そのため、ハーフシーズンの振り返りとしてはかなり長いものになりました。ですから、シーズン終了時の振り返りは少しライトなものにして先を見据えた割合を増やし、この時点でキャンプから夏の登録ウインドーでの動きまでをしっかり見ていこうという方向性で実施しました。

大きく分けて、オフシーズンから開幕前の準備段階について、開幕後の試合結果や内容について、選手編成についてとテーマを分けて進めていきます。

※文中で敬称を省略します。

沖永雄一郎（エル・ゴラッソ浦和担当）
山口県出身。2019年10月よりアイキャンフライしてフリーランスという名の無職となるが、気が付けばサッカー新聞『エル・ゴラッソ』の浦和担当に。
https://twitter.com/RMJ_muga

轡田哲朗（フリーランス）
埼玉県出身。浦和生まれの浦和育ちでイタリア在住経験も。9つの国から11人を寄せ集め、公用語がないチームで臨んだ草サッカーのピッチで「サッカーに国境はない」と身をもって体験したことも。出版社勤務の後フリーに。https://twitter.com/tetsu11k

トータルして「真ん中より少し下」が前半戦への印象

轡田　沖永さん、今回もよろしくお願いします。さて、いったんここまでの成績をまとめるとリーグ戦の24試合を終えて9勝6分9敗、勝ち点33、39得点、34失点の10位。いわゆる順位表のトップハーフのギリギリという位置ですね。そして、ルヴァン杯ではJ3のガイナーレ鳥取に勝利したものの、J2のV・ファーレン長崎に敗れて早期敗退となりました。まあ、長崎はJ2で首位争いをしていて来季のJ1で戦う可能性も十分にあるチームですが、これによりリーグ戦の残り14試合がそのまま今季の残り試合となりました。まず、この成績をどのように見ていますか？

沖永　さすがにちょっと、よろしくないですよね。開幕前に『優勝候補筆頭』に挙げられがちだったことは少し違和感がありましたが、大型補強もあり、相対的に押し上げられるのは仕方ない部分がありました。そんなにうまくいかないんじゃないかと感じつつも、ある程度は勝点を稼ぎながら、上位についていきながらチーム作りを進めていけるだろうとも思っていました。この順位はさすがに想定外です。

轡田　僕は時期が少し前になりますが、サッカーダイジェストさんの『前半戦通信簿』という企画で5段階評価を求められ、総合的に下から2番目の『D』とさせていただいたんです。その意味では、沖永さんと現状の見え方は似ているところがあるのかなと感じました。得点力アップが数字で証明されていることや、負傷者が多すぎたことも理由にありながら若手選手がピッチに立てば『これは』というプレーを見せてくれた部分もあり、全てがネガティブというわけではないです。ただ、ルヴァン杯がなくなってしまったのも痛恨ですし、真ん中より下の評価は免れないのかなと。

沖永　プレー面では成長が見られ、新加入選手の活躍もあってサッカー的な『うまさ』はアップしたと思いますが、チームの『強さ』が上がったかというと、なんとも言えません。周知のとおり負傷者が多すぎたこと、ルヴァン杯での選手起用やリーグ戦での采配などそれぞれの要素を細かく評価していく必要があると思いますが、トータルで評価をするのであれば僕もCマイナスとかそのあたりを付けると思います。

轡田　昨季のクラブ・ワールドカップ（W杯）を終えて帰国したのがクリスマスくらいで、短めのオフを経て今季は始動しました。マチェイ・スコルジャ監督が退任することになり、ペア・マティアス・ヘグモ監督が就任しました。ただ、その要素よりは割と実績のある選手を多めに補強した印象のあるオフシーズンだったことで、沖永さんの触れていた『優勝候補筆頭』という評価にもつながったでしょう。それに、浦和の場合はシンプルに『見出しにすれば数字が取れる』という理由で上下極端に評価されるクラブです。まあ、それはユベントスやバイエルン・ミュンヘンなんかもそうでしょうから気にし過ぎても仕方ないですが。それはそれとして、オフの補強からヘグモ監督の就任会見、そしてキャンプに入っていく流れの印象はどうでしたか？