共通テスト 国語 漢文の得点を上げる

 共通テスト国語の点数を上げたいと考えている生徒には、まず漢文にとりかかることを奨めている。学習結果が得点に結びつきやすいからだ。

 共通テストまで時間の余裕があるのであれば、毎日、5分間の音読だけで充分だ。あとは授業をしっかり受けていればいい。

 音読は、漢文の「ことば」としての生命を蘇らせる作業だ。日本語文化圏の人は長い間、漢文を音読してきた。黙読が一般的になったのは、明治の後半だという。それまで、「読む」とは「声に出して読む」ことだった。つまり、音読をすることは、文字に閉じ込められている、数百年前、時には一千年以上前の音としてのことばを蘇らせる作業に他ならない。点数に汲々としている現代の生徒のことばが、一千年前の人のことばと響き合う。素敵なことではないか。一千年以上生きてきたことばに力がないわけがない。

 共通テストまでに時間がない、すぐに結果がほしいという場合は、もうひと手間かけるといい。

 薄っぺらいノートを1冊用意する。そこに、今、音読している漢文のなかから重要漢字を抜き出して、その全ての読みと意味を書き出す。重要漢字とは、漢文のサブテキスト、『新明説漢文』や『漢文必携』に掲載されている漢字のことだ。「与」とか「之」にかいう、すでに知っている(と思っている)漢字のことだ。これが何よりも大事。

 漢文の試験は、初見の文章の訓読を求める。なんと読むのか、どういう意味か、瞬時に判断を下さなければならない。うろ覚えでは対応できない。基本的な語に対するしっかりとした理解のうえに、判断は成立する。もちろん句法やいろいろな漢文の決まりも大切だが、すべて漢字一語の理解のうえに成立する決まりごとだ。そのことを忘れないようにしたい。

 ノートは美しく整理されたものにしよう。復習は、ノートを書くときではなく、ノートを開き、めくるときに発生する。ノートをめくるときに、一瞬目に入る。そのときに、「あぁ、このときはこの語についてまとめたな」と頭をよぎる。その瞬間が復習なのだ。だから、美しく整理されたノートにする。枠で囲ったり、色を使ったり、未来の自分の目にとまりやすいように書く、ということだ。

 音読は同じ文章を4、5日は続けた方がいい。その4、5日の間に復習ノートを一ページ仕上げる。言い忘れたが、一つの文章に対するノートは一ページ限定にしておこう。一度にたくさん書いたって、すべて覚えられるわけではない。少しずつ積み重ねる。

 一日にならすと、学習時間は10分で充分だろう。これを一ヶ月続けることができれば、もう漢文は心配いらない。

 念のために、もう一度。
 ・毎日5分間の音読を(同じ文章を4日は)続ける。
 ・一つの文章に対し、一ページ分の復習ノートを作成する。
 ・ノート一冊が終わる頃には、漢文は得点源になっている。

 ちなみに高等学校で漢文に費やされる授業数は3年間で60~70時間程度。それだけの範囲に、共通テストは45点(20分の1!)を配点している。こんなにお得な範囲はない。点数はもらった方がいいのだ。

 健闘を祈る。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?