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大切な人におくる手紙

7月4日、それがあなたの命日だそうです。

未だに私にはそれが信じられません。

信じたいとも思いません。

だから信じないことにします。

あなたは生きていることにします。

私の中では、連絡取ろうと思えばいつでも取れて、ただ取らないだけの相手だと思うことにします。

*

7月6日にSNSでお兄さんが投稿した、信じられない報告を見た。
翌朝もう一度それを見て、夢や幻じゃなかったと確認して、今まであった色んなことを思い出して、そんなはずはないって泣くことを繰り返した。

数分ごとに頭の中に鮮やかに蘇る記憶を、もう いっそ頭の外に出してしまおうとおもって漫画に描いた。

お通夜に行ったけど、今のお葬式って顔を見られるようにはしていないんだね。だから、本当にあの箱の中にあなたがいたかなんてこともわからなかったよ。

そうだよ。入ってなかったんだろ。
実は生きてるんだろう。


命日の二日前に、会社のSNSに「息子の野球チームが初戦勝利しました、このまま頑張れ!」って書いてた人がそれを見届けないって、そんな話があるかい。

お悔やみ欄も、SNSを通した報告にも、どうして、なんで、この世界からいなくなったのかってことは一切書いて無くて。

会社のSNSってことは普通に仕事も行っていて、さらに野球の応援元気いっぱいに行ってた人が病気療養中だったことはないだろう。

事故だったなら、何となくそのことにも触れるだろう。

何もそこに触れられていないということが、嫌な事を想像させてしまう。

そんな馬鹿な話があるか。

「やりたいことがあるならやれよ」って人の背中を力いっぱい押して、その気になった私をここまで突っ走らせておいて、自分はさっさとさようならってそんな馬鹿な話があるか。

もしそうなんだったら許さないからな。

悲しんでなんかやらないからな。
むしろ私は怒ってるからな。

高校の頃、突然電話してきたことを忘れてないよ。
彼女と別れたって、長電話でずっとぼやいてきたこと忘れてないよ。

なんで今回も電話してこなかったのさ。
電話ぐらい、あんときみたいに付き合ったのに。

いっつも強気で偉そうな態度だったのは、寂しさの裏返しだったのかな。
たまに頼るとブツブツ言いながらも全力で力を貸してくれてたのは、自分を必要としてくれる人がいてくれる事が嬉しかったのかな。

出世したって聞いて、忙しいんだろうなと思って、最近はあまり頼らないようにしていたけど、それは返って良くなかったのかな。
人の気持ちって難しいな。

いや、でも、原因がわからないからって勝手に決めつけるのは良くないよね。

きっとなんかあれだよね。車に轢かれそうになった猫を助けようとして道路に飛び出したとか、そういうやつだよね。
見た目そんなガラじゃないけど、実はそういう優しさみたいのあるしね。

見てるか!!
ここに書いてるのは手紙だ!!

数年後にそっちで後悔しろ!
あいつのサイン、もらっておけばよかったって!
あいつをその気にさせたのは俺だってみんなに自慢できるまで頑張っておけばよかったって!!



『やりたいこと』まだ沢山あるから、すぐには無理だけど。

あと数十年は無理そうだけど。

それまでちょっと、見守ってくれい。

「また今度」

絶対ね。

どうか、この手紙が、君に届きますように。

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