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飼料の違いによる牛肉の脂肪酸組成を考える② ーただの感想文と覚書ー

牛肉の脂肪酸組成は飼料でどこまでコントロールできるのか?

 牛肉の脂肪酸組成は品種や系統により違いますが、ここでは飼料からのアプローチに焦点を当てて私なりに考えていこうと思います。

 以前noteに書いたように牛は基本的には飼料として摂取した不飽和脂肪酸はルーメン内で水素添加され飽和脂肪酸に変換されてしまします。
よって不飽和脂肪酸(オレイン酸)を給与したからと言って不飽和脂肪酸は増加しません。

国内の試験を検索してみましょう。
検索するといろいろ出て来ます(便利な世の中だな~)。
試験されている方々には頭が下がります🙇

27 ヵ月齢出荷黒毛和種雌肥育牛にオレイン酸を約 50%含有する脂肪酸 Ca を添加給与する ことで脂肪酸組成が変化する

 屠畜前約6か月間、オレイン酸を約50%含む脂肪酸カルシウムを慣行肥育の中の濃厚飼料に対して約3%添加すると枝肉の筋間脂肪中のオレイン酸含量および一価不飽和脂肪酸割合が高まるとのこと。

【個人的感想文】
 屠畜前6ヶ月間給与という期間の長さと、脂肪酸カルシウムを給与することにより脂肪がバイパスしていることが考えられるのでオレイン酸が腸より吸収され牛肉の脂肪酸組成に影響したと考えられる。ちゃんとバイパスさえすれば給与した脂肪酸組成が牛肉の脂肪酸組成に直接影響を与えることは可能。
 このことは栄養学的に考えても狙い通りで再現性のある給与方法だけど、3%添加というと仮に配合飼料10㎏給与だと300gの添加量なので結構多いという印象。
 注意する点は一般的な配合飼料の脂肪含量は乾物で2.5~5.5%と銘柄により幅があるので(表示票にはおおよそ2%以上という表記が多い)脂肪含量が5.5%の銘柄を使用しており配合飼料の3%の脂肪酸カルシウムを添加すると飼料全体(粗飼料も含む)の脂肪含量が7%近くになるため乾物摂取量の低下や下痢などに注意が必要かもしれない。
 これは自分の使用している配合飼料の計算値なり分析で把握していることが重要だという再認識。
 配合飼料の脂肪含量と脂肪酸カルシウムの脂肪酸組成とバイパス率が重要ですね。

黒毛和種去勢牛の肥育後期における米ぬかまたは脂肪酸カルシウム添加 飼料の給与が産肉性,食肉の理化学特性ならびに官能特性に及ぼす影響

【個人的な感想文】
 米ぬかの場合は、オレイン酸がバイパスしなかったのかあまり変化はなかったけどMUFA(一価不飽和脂肪酸)とUSFA(不飽和脂肪酸)は増えてるね。脂肪の融点がかなり違うので食べた感じも違いが分かるんだろうなぁ。
 脂肪酸カルシウムも米ぬか同様、C14:1、C16:1、C18:1、C18:2が少しづつ高かったのでMUFA、USFAに結果差がでたけど上手く理解できない感じ。脂肪酸カルシウムの方はオレイン酸にもう少し影響があるのかなと思いながら読んでたけどそうでもなかった。
 USFA 割合は 55 ~ 60% の間で脂質性状の面 で満足できるが,60% 以上ではほとんど変化しないと の報告(常石ら 1994)とあるけど慣行区も60%以上だけど、でも官能評価ではCSFA区のが香り旨味、美味しいと高評価だったらしいのでUSFAとMUFAが高くなったことがいい評価に繋がったんだろうなぁ。

 飼料中の不飽和脂肪酸含量がルーメン 内水素添加能力を超過した場合、それが蓄積脂肪の脂 肪酸組成に影響するとされている´(黒毛和種去勢牛の脂肪組織における脂肪酸組成並びに色調 に及ぼす給与飼料の影響 三橋ら 1988))
 今回は上記のような水素添加能力の超過によるバイパスがあまりみられなかったようだが、どの程度の脂肪レベルもしくは脂肪酸組成だと再現性のある技術になるのだろうか?①27 ヵ月齢出荷黒毛和種雌肥育牛にオレイン酸を約 50%含有する脂肪酸 Ca を添加給与する ことで脂肪酸組成が変化するでは全く同じ脂肪酸カルシウムを使用しているのに結果が異なるなんだな。系統が関係しているのか?(全く系統はわかりませんが・・・)
 ルーメン内のpHが違っていればもしかしたら脂肪酸カルシウムのバイパス率が違ったのかとか想像するけどどうなんだろうか。

 個人的には乾物摂取量が気になる。「たくさん食い込む牛は美味しい」という言葉をよく聞いたことがあるんだけど、これは乾物摂取量が多いためルーメン内通過スピードが上がり、脂肪もバイパス率が上がった結果そのようなことになるのではないかと思ったりするんだなぁ。

食品データベースより
多分こんな感じじゃなったかなという予想

色々と思うことあるけど疲れたので。
👇はまたいつか順番に・・・

もっと違た視点から見てる方がいたら教えて欲しいなぁ。もしくはこんなのあるよ!って方いれば是非教えてください!
ってことでとりま、今日はここで終了(2024/6/8)。

生米ぬか給与による筋肉内脂肪の脂肪酸組成変化

黒毛和種肥育牛における脂肪組織中のオレイン酸割合に及ぼす 遺伝的および給与飼料の影響

27ヵ月齢出荷黒毛和種雌肥育牛にオレイン酸を約50%含 有する脂肪酸Caを添加給与することで脂肪酸組成が変化する

肥育後期における生米ぬか及び脂肪酸カルシウムの給与が 黒毛和種去勢牛の肉質に及ぼす影響

バイパス油脂給与が黒毛和種去勢牛の産肉性に及ぼす影響

現地におけるトウフ粕サイレージを給与した肥育牛枝肉の脂肪酸組成

黒毛和種肥育において粉砕玄米は濃厚飼料中のコーンミール代替として 利用しても、肉中のオレイン酸割合は変化しな

アマニ油脂肪酸Ca 給与が牛肉の脂肪酸組成に及ぼす影響

黒毛和種肥育牛にバイパス油脂の給与で筋肉脂肪のオレイン酸が増加!

脱脂米糠添加が黒毛和種去勢牛の産肉性および枝肉脂肪の脂肪酸組成に及ぼす影響

米ぬか給与による牛蓄積脂肪の脂肪酸組成変化



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