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あの頃の2人のままにしておきたかった。

ずっと残してしまっていた。
カメラフォルダに、君の写真を。

それをついに、私は消した。

美化してしまいたかった。
思い出になって欲しかった。
頭の中に、心の中に。

今までは、君との恋が思い出になる前に、もう一度始まる可能性を残しておきたくて、消すことができなかった。

君からのアプローチが凄かった3年前。
待ち伏せまでして連絡先を交換しようと言ってくれた。年上の私に、必死に連絡してくれていたね。インスタのDMで話す日々が楽しくて、会う日が決まってからは、どんな服着ようか、どんなメイクしようか、そんなことばかり考えていた。
初めて2人で遊んだ日に、たくさん話した。君との共通点が多くて、盛り上がって、まるで昔から知ってるみたいに話が途切れなくて、その日が終わるのが悲しくて堪らなかった。
次に会う日も、とんとん拍子に決まって、気づいたらずっと一緒に居た。



君の好きだったところは、いつでも私を守ってくれるところだった。車道側を歩いてくれたり、すぐに泣いてしまう私の涙を拭ってくれたり、メンタルが弱くなっている時にはそっと抱きしめてくれた。
君の好きだったところは、表情にはみせないけど私のことを本当に大好きなところだった。カメのぬいぐるみを抱いて寝ていたら、違うでしょと言ってぬいぐるみを取って私に抱きしめさせるところとか、好きな古着屋さんの店員さんと喋っていたら嫉妬したりするところとか、私のことをいっぱい撮ってくれたりするところとか、君の行動から感じ取れるものが私は幸せで堪らなかった。

君の好きだったところをあげるとキリがない。
好きじゃなかったところなんてほとんどなかった。私たちは合いすぎていた。だからこそ、少しの違いが響いてしまっていたのかもしれないね。

写真は消したけど、君からもらった手紙は捨てることができなかった。元気がなくなったら見ているなんて、君が知ったら引くだろうな。私を、私自身をまるごと愛してくれていた証があの手紙には詰まっていて、その時の言葉には嘘なんてなくて、あの頃の君の気持ちがダイレクトに、時を経ても伝わってくる。手紙を読むと、快感と憂いと後悔が、私の中で溢れて、笑顔で涙を流してしまう。

早く忘れたかった。
君は別れる時、時間が経てば大丈夫だよ、なんて、振ったくせに無責任なことを言ってきた。

時間が経っても大丈夫じゃないよ。

あれから恋愛が怖くてできないよ。傷つくのが怖くて、幸せから一気に苦しくなるジェットコースターみたいな感情は、もう私にはしんどいから、自分から恋愛をしようと思わないよ。

それから、君以上に合う人に出会う予感がしないよ。好きなもの、ほぼ全部一緒だったよね。多分君は覚えてないだろうけど、スシロー派だった君をくら寿司派にしたのは私だよ。


君は少し出向けば会える距離に居て、私からなら、会おうと思えば会える。
別れてからの少しの間、会いに行ってしまっていたけど、私はもう君の元へは絶対に行かない。君の働くお店にさえ行かない。

私は君を忘れないよ。
だけど、君は私を忘れて欲しいんだ。
すれ違っても、声をかけないで欲しい。
君はきっと、すぐに忘れてしまうだろうから心配はしていないけど、どうか、私のことを忘れて、自分の人生を歩んでね。

写真を消して、君と出会ったのは私の人生の中でビッグイベントだったってことを改めて思い知った。

本当に大好きだった。


どうして今でも涙が止まらないのだろう。 
前に進みたいのに。

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