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虐待サバイバー

子ども時代壮絶な虐待を受けて育った大人を「虐待サバイバー」と呼びます。(※学術的な言葉ではないかも)
厳しい虐待を、必死に生き延び、逃げて、今も必死に生きている。そんな虐待サバイバーの方たちを写真家の田中ハルさんが撮り、そこに一人一人からのメッセージが載った写真集.それが虐待サバイバー写真集です。

僕自身はこの作品に直接関わってはいません。とは言え、先日虐待サバイバー写真集を出版するためのクラウドファンディングを支援したので、この虐待サバイバー写真集から感じたことを今日は記したいと思います。
(クラファンHP→https://www.makuake.com/project/survivor/?token=5eaabd6d4cc4b3dc50fd0fdedf33b4ba)

■ 田中ハルさん
先ず最初にこの写真集を出版される主催者(言い方が違うかも?)である田中ハルさんについて少し。
実は、田中ハルさんとも直接お話ししたことないんです...(笑) 勇気を出してTwitterのDMを送り何回かやり取りをしたくらい。
ただ、遠くからお見かけしたことは(多分)あって、それは「きらりの集い」というピアサポートとリカバリーをテーマとした当事者主体の全国規模のイベントに参加した時でした。
今年1月東京にて開催されたきらりの集いの分科会の一つにトーシツ100%展という会があったんですけど、(#統合失調症を持つ方のアート展)
このトーシツ100%展にハルさんもアーティスト側として参加していたんですね。(#急に下の名前で呼ぶ馴れ馴れしいやつ)
そう、ハルさんは写真家であり、いわゆる精神疾患の当事者でもあります。
そして、親から虐待を受けてきたけど、今を生きている虐待サバイバーの1人です。
(ハルさんのTwitter→https://twitter.com/harupohoto2532?s=21)

■ 虐待の現状
厚生労働省によると、児童相談所による児童虐待相談対応件数は平成30年度で15万9850件で、これは過去最多になるようです。
ここにはDVなども含まれています。
仕事柄、虐待サバイバーの方と関わることもありますが、こういった現状は正直なんとなく知ってる程度だったなぁと思います。支援施設もあんなに沢山あったのか…などと、他にも知らないことがあまりにも多くありました。

■ 親は子どもが一番可愛い?
虐待サバイバーの方たちから距離を置かれる覚悟で話すと、僕は親からたくさんの愛情を注がれて育ったと思います。実家を出てからも色々物を送ってくれたり、たまに帰れば泣きそうになりながら喜んでくれたり。
だから、「子どもが一番可愛くない親なんていない」ということを当たり前のことだと思っていました。
精神科で働き始め、そうじゃない人たちと関わっても、まだそれを信じている自分がどこかにいました。ただそれは虐待サバイバーの方が精神疾患を抱え、幻聴や妄想があっても笑顔を見せてくれていたからかもしれません。辛さを背景に抱えながらも生きているからかもしれません。

虐待サバイバー写真展のホームページ(https://kojikoji.themedia.jp/)にこんなメッセージがあります。

「子供が可愛くない親なんていない」
私の側にしたら、そんなのはただの『神話』。(中略)
私はあなたが苦痛の中にありながら、死への誘いを振りきって、今日までサバイバルしてきたことに心から感動しています。

親に愛されたことを誰かに伝えちゃダメなんてことはないけれど、それが当たり前ではないことは心に留めておかないといけないですね。

■ 支援者にとっても希望
精神科において、支援者としてクライエントさんのリカバリーを第一に考え、エビデンスを求めることが重要なことはもはや自明です。でも、支援者だけが何かを追い求めても限界はあると個人的に思っていて、
いわゆる当事者の方が自分たちの経験や声を伝え続ける。これも本当に大切だと思います。
リカバリー概念だって最初は当事者の手記から始まってますよね。

声を上げる当事者がいて、実現のためにエビデンスに基づいた知識技術や経験を活かして支援者が並走する。
それが出来ると精神科の立ち位置はもっと変わるんじゃないかと思います。(#勿論声をあげないことも一つの権利でそこに上下関係はないと思います)
だから僕にとっては、虐待サバイバー写真集のクラファンは希望とも言えるんです。

ハルさんを始め、虐待サバイバーの方たちがみなさんに話しかけ、手を差し伸べています。

今回は本を出すことが目的ですが、これをきっかけに虐待問題について身近に感じて欲しいということ、虐待を少しでも減らすことができることが目標です。
子ども虐待は大人になっても精神的に追い詰められるのです。
この本が虐待サバイバーや悩みを抱えてる人の救いになれば幸いです。


今回のクラファンはAll or Nothingな様なので、目標金額に達しなければ写真集の作成は中止かもしれません。
(※もしNothingだった場合、支援金は全て支援者の元に戻ります。クラファン支援が初めてで心配という方はその点はご安心を)

支援したい理由は人それぞれで当然。虐待サバイバー写真展のホームページから何枚か写真を見ることができます。https://kojikoji.themedia.jp/
この笑顔を、差し伸べている手を、心からの敬意をもって大切にしたいなぁ。

↑500円〜の支援リターンがあります。

長々書いてしまいました。本日もありがとうございました!

#精神科 #虐待サバイバー #クラファン #作業療法 #訪問看護

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