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挿絵付き小説サードアイ

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2024年6月の記事一覧

サードアイ ep 11 初任務

サードアイ ep 11 初任務

 体調が戻ってからというもの、俺は毎日のようにヒノエによる訓練という名の調教に駆り出されることとなった。
 基礎体力をつけるために、午前中はハードなトレーニングメニューをこなす。ヒノエは筋肉の使い方が上手いのか、あんなに細いのに結構な重量を軽々と持ち上げる。戦闘能力も並大抵のもんじゃなく、相手の動きの何手も先を読んでいる上に、モーションが矢のように早い。そのうえ、打撃が半端なく強いのだ。俺は何度も

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サードアイ ep10 心の魔物

サードアイ ep10 心の魔物

 オーエンの演習用の体験ツアーが終わったあと、一緒にテラス席で食事をしながら、ボクは、この間の旅で見てきた自分の過去世についての話をした。
「ボクが七歳になる年に、父が何かの宗教にはまってしまって。あまり知られていない宗派で、戒律が厳しくて、父はそれを家族に強要するようになったんです。以前の父とは別人になってしまって、つべこべ言わずに言うことを聞けと、急にボクと姉に厳しくなって。ボクは怯えると同時

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サードアイ ep 9 過去との遭遇

サードアイ ep 9 過去との遭遇

 ステファンに案内されたところは、先ほど通ってきた廊下の色と同じ赤紫色のドーム状の部屋だった。座り心地のよさそうなソファーや椅子が何台かあり、そこに向かって赤い絨毯が敷かれている。絨毯の上を歩いているのにしっかりと足音がする。やけに音響のいい部屋だった。
「あちらに座ってください」
 ステファンに示されたのは奥にある革張りの一人掛け用の椅子だった。座ってみると、身体がちょうどいい具合にすっぽりと包

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サードアイ ep8 ラボ見学 

サードアイ ep8 ラボ見学 

 俺の術後の回復を待って数日後、ステファンが研究室を案内してくれることになった。三次元の世界からこっちに移動するのは、思いのほか体力を使ったようで、どうやら部隊長との話の途中で意識がとんだらしい。それでもって、俺のサードアイは開いちまってたってことで、額にはめられていた装置は外されたそうだ。額の傷はもう消えていて痛みもないが、なんだかむず痒い感じがまだ残っている。
 ステファンが迎えに来た。今日は

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