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働く母から専業主婦になるということ②

専業主婦に偏見を持っているつもりはなく、むしろ憧れていた。

大学時代は「就職せずに卒業したらすぐ家庭に入りたい」と本気で思っていたし、「将来の夢は専業主婦」と平気で口にするタイプだった。
仕事とは違って替えが効かない妻そして母という仕事に最大限コミットし、幸せな人生を送りたい。子どもを産んでからその傾向はさらに高まり、事あるごとに「専業主婦になりたい」と夢想していた。

なのに実際に専業主婦となった途端、どうにも心細い。行動範囲も社交もぐっと狭まり、人と話す機会が極端に減った。平日に出掛けた先でランチに向かうOLの姿を見かけ、まるで自分がサボっているような気持ちになる。それなら何かしようと考えるものの「収入のない私がそんな理由で支出をして良いのか?」という疑問が脳裏に浮かび、行動を押し留める。

そんな日々に苦しさを覚え、夫に相談をしてみた。すると夫は感じのよい笑顔で、「家のことや家族のサポートをしてくれているし、それで十分だと思ってるよ」と言った。夫の言う通り、私が専業主婦になったことで夫と子どもの生活はより良いものになった。そのこと自体は良かったなと思う。だけどこの生活を続けて、私はこの先もずっと幸せでいられるんだろうか?

結局のところ、私は専業主婦になる覚悟ができていなかったのだと思う。
専業主婦になると決めたとき、昔の職場の先輩に「専業主婦は会社員より大変な仕事だよ」と言われた。その時はピンと来なかったが、先輩のおっしゃる通り。専業主婦は全然楽じゃないし、生半可な覚悟で挑める生き方ではなかった。

そうして私はゆるふわ転職活動を推し進め、ついに仕事が決定。取り急ぎから始まった専業主婦生活も今月で終わりを迎える。

最初は楽しく、次第に苦しかった専業主婦生活。母そして妻としては最高にハッピーで、夫や子どもとより深く向き合えたり、気になっていたあれこれを整えたりと有意義な時間ではあった。疲れ切った体と心を癒すこともできたし、キャリアブレイクと捉えれば、会社人としての私にとってもメリットは多かった。

だけど振り返ってみれば「こんなはずじゃ無かった」の連続で、自然と苦笑いが浮かんでしまう。外資企業では避けるのが難しい問題だが、人生に関わる選択を他人に強制させてはいけないとつくづく思う。私の考えが甘かったせいもあるのだが、働く母が専業主婦に人生のギアを切り変えるというのはそんなに簡単なことでは無かった。

この先、私が再び専業主婦になる日は必ず来る。その時は専業主婦になるという選択肢を自分で選び、覚悟を持って決めたい。そうすれば専業主婦生活は私が夢想してきたように素晴らしく有意義なものになるはず。いつか来るその日を楽しみに、今しばらくは働く母として、自分の人生を生きていこうと思う。

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