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旅に不可欠な日常との「距離感」とは?~あるいは大河ドラマ『いだてん』とエルサレムでの思い出~

 2019年が明けて、早くも4分の1が過ぎようとしている。そんな中、今年こそは久々に「出張」でも「旅行」でもない、純粋な「旅」を楽しみたいと思っている。目的地をどこにするかも大事だが、その前にもっと重要な作業を済ませておかなければならない。それは「旅の再定義」である。

 これまでフットボールの取材で、さまざまな国を訪ね歩いてきた私だが、最近は旅の醍醐味というものをすっかり忘れ去って久しい。とりあえず旅の再定義が必要と考え、前回のコラムでは、出張取材と旅との違いを「無駄が許されるか否か」と定義した。しかし、これだけでは十分とは言えない。今回、私が着目したいのは「距離感」。過去の記憶を手繰り寄せながら、旅に不可欠な日常との「距離感」について考えてみたい。

 話はいきなり、NHKの大河ドラマに飛ぶ。わが家の日曜夜は、ここ数年はずっと『日曜美術館』だったのだが、今年の『いだてん』は夫婦で楽しみにしている(ピエール瀧の件については、長くなるのでここでは触れない)。いよいよスウェーデンの首都ストックホルムに舞台を移し、主人公の金栗四三は日本人初のオリンピアンとして当地での夏季五輪に臨む。余談ながら、ドラマに出てきたメイン会場のストックホルム・シュタディオンには、私も16年前に訪れたことがある。

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