#010 「いのくまさん」が故郷でつくりあげた、心が元気になる美術館
JR予讃線・丸亀駅の目の前、ひときわ個性的な建物が目に留まる。丸亀市猪熊弦一郎現代美術館。
丸亀市にゆかりのある画家・猪熊弦一郎の全面協力のもと、1991年に開館。猪熊氏本人から寄贈を受けた2万点もの作品を所蔵している。
設計は、モダンの殿堂「ニューヨーク近代美術館(MoMA)」の新館を手がけたことで有名な谷口吉生氏。
地上3階の高さもある吹き抜けと、外から入ってくる自然光が、開放的な空間を作り上げている。
3階の廊下に立つと、真正面の細長い窓越しに市内の景色を窺うことができる。同じ場所から、2階のギャラリーに展示された作品を見下ろす感じで眺めるのも好き。吹き抜けだからこそ為せる技。
猪熊氏の常設展、他のアーティストの企画展を鑑賞するのももちろん楽しいのだけど、ここは建物自体がなんだか心地よい。ベンチにすわって、目の前に飾られた絵をふわーっと眺めているだけの時間もいとおしく感じられる。
猪熊弦一郎は、国内では三越百貨店の包装紙『華ひらく』、上野駅中央改札口コンコースの壁画などで知られている。海外での活動期間も長く、パリ滞在時にはアンリ・マティスやパブロ・ピカソと交流があった。
そんな経歴を持つ彼が、ここ香川にユニークで素晴らしい美術館を残し、文化的なまちづくりに貢献してくれた。やはり、故郷というのは、特別なのかな。
せっかくなので、とことん恩恵にあずかり、これからも現代アートに触れながら、心地よい時間を過ごさせてもらおうと思う。
▼香川歴4年の「私」が見た、さまざまな風景をお届けしています。現在、不定期更新中。
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