『月曜日のたわわ』広告問題~「学者先生」の悪あがき~
ゆっくりしていってね!!!!
ゆっく……ゆっくり……。
あの、まさか3回も連続で、『月曜日のたわわ』日経新聞広告騒動について書く羽目になるとは思ってなかったわ。
私は一体、いつまで同じ場所でゆっくりさせられるのかしら?
※この記事単体でも、全貌が把握できるように書いてあります。
……ともあれ。
今回は、次の趣旨でこの問題を論じていくわね。
このあたりをキチンとまとめて述べていくわ!
(Twitterで熱心にこの話題を追いかけている人からすれば「知っている」内容も多いでしょうけど、時間経過で流れてしまうツイートではなく、記事としてストックしていくことが大事だと考えたわ。)
『月曜日のたわわ』騒動についての説明
日経新聞に、『月曜日のたわわ』の次の広告が掲載されたわ。
改めて言うけど、一見して何の問題もない新刊コミックの宣伝よね。
じっさい、女性を含めた多くの人も同じく「問題ない」という感想だったみたいで、次のような調査結果が報告されているわ。
この報告は、時系列的には騒動の始まりからやや時間が経った後で出されたものよ。
上記の調査では、さらに7つの意見に賛同するかどうかも確かめられているわね。せっかくだしご紹介させて頂くわ。
多数決が物事の正当性や妥当性を決める訳ではないけれど、一般的に問題があるとはみなされていないみたいね。
しかし、東京工業大学の治部れんげ准教授は、よほどこの広告に問題を感じたみたいで、ハフポスト日本版にて次の記事を公開したわ。
治部れんげ准教授の主張は以下の通り。
この論に対し、Twitterを主としたインターネットから批判が殺到。
まあ、これには私もnote記事を書いて参加したわね。
主な批判は次の通り。改めてひとつひとつ検討していきましょう。
治部れんげ准教授の論の問題点
そもそも広告なんて積極的に見たくはないものよね。YouTubeの広告動画も鬱陶しいっちゃ鬱陶しいわ。けれど、それがあるおかげで、サービスが無料または安価に利用できたりするのよ。
また、仮に「見たくない表現に触れない権利」があるとしても、企業の経済活動の自由や、クリエイターの表現する自由、私たちの知る権利より必ず優先される道理はないわ。
あえて例外を考えるなら、爆音で宣伝カーが24時間公道を走り回って昼も夜も寝られないとか「明らかに受忍限度を超える」ようなケースでしょうけど、一瞬で目を逸らせば済む新聞広告で「受忍限度を超える」は成立しないわね。
あの、『月曜日のたわわ』では、性的な虐待は描かれていないわ……。
当該ハフポスト記事、最初は「作品で描かれているのは数々の痴漢行為」という衝撃的な文言があったんだけど、いつの間にかコッソリと削除されたのよね。「さすがに違う」と分かったのかしら?
だったら、「性的な虐待」の方も見直すべきだと思うんだけど。
作中である男性教師と、「たわわ」な女の子が付き合うことになるけど、それは卒業後だし、「高校生に手を出すのはよくない」という倫理的なメッセージは繰り返し伝えられているわ。
加えて作中の描写を評価するなら、「胸が大きい当事者の苦痛」も語られているのよね。
作品の描写まで評価に含めるなら、登場する女の子たちが無個性なモノ扱いを受けているという話にはならないでしょう。むしろ「いかに女性をモノ扱いしてはならないか」の方が重点的に語られていて、フェミニストの日頃の主張に近いくらいよ。
もちろん、彼女らは「性的モノ化」の条件とされる、「代わりがいくらでもいるような代替可能な存在」として描かれていないし、「傷つけたり壊したりしてもいい毀損可能な存在」という扱いも受けていないわ。
逆よ逆、まったくの逆。
作品を読まなければこんなことは分からないでしょう。「広告だけを見たら、モノ化されているんだ!」という主張なら、ひょっとしたら1mmくらい成立するかもしれないわ。
まあ、治部れんげ准教授は、作品の描写に積極的に言及したから、この道は完全に閉ざされてるんだけど。
でも、閉ざされていないとしても、そんな批判は次のような広告にも成立してしまうんじゃないかしら?
この広告に登場する人の主体性や人格はどうでもいいわよね。「筋肉ムキムキであること」という身体的特徴だけが広告に利用されているわ。
広告の1枚絵(または写真)に含められる情報量を考えると、人物の主体性や人格性が省略・割愛されるのって当たり前だし、そこまで非難することではないでしょう。
普通の人は、「なんやねん、3つのPって?」と思うわよね。
こういうことらしいわ。
Presence 多様な人々が含まれているか
Perspective 男性と女性の視点を平等に取り上げているか
Personality 人格や主体性がある存在として描かれているか
……。
…………。
……………………は?
そんなん無理でしょ!? 全広告がどうやって満たすのよ!?
だって、「広告に登場する人物が一名」だったらもうアウトになるわよ。いや、二人でも足りなくて、「アジア人しかいない」とか「老人がいない」とかいくらでも難癖がつけられるわ。
第一、「日経ウーマンエンパワーメント広告賞の審査基準」を、日経新聞が取り扱うすべての広告の「掲載可否の基準」にするのは現実的じゃないわ。これはさすがに私も馬鹿馬鹿しい論だとしか言いようがない。
実のところ、「3つのP」は「こうであったら望ましい」という話であって、「こうでなければ違反である」というネガティブチェックではないのよね。
……当然っちゃ当然なんだけど。
「3つのP」がネガティブチェックではないことは、UN Women日本事務局長の石川雅恵さんが次のように明言していらっしゃるわ。
あの……。
自分たちの身内の間くらいは、意見を統一しておきなさいよ。
しかしながら、更にこの石川雅恵さんにしても、問題はあるわ。上の通り「アンステレオタイプアライアンスはネガティブチェックではない」という趣旨で発言していたんだけど、『月曜日のたわわ』日経新聞広告掲載については、「違反」と完全に話を変えているわ。
さて。「アンステレオタイプアライアンス」とこれまた聞きなれない単語が出てきたわね? これはUN Womenが各企業に加盟を推進している協定の一種よ。
この協定に参加する方法は次の通り。(ただし、日経新聞に関しては、アンステレオタイプアライアンス設立当初からの関与しているそうなので、このステップは通っていないと考えられるわ。)
問題の焦点は、ステップ3にある「同意書や会員規約」で、日経新聞社による『たわわ』広告掲載がこれに違反しているかどうかね。
けれど、この「会員規約」がどういう内容かは現状では不明。
一応、個人的に資料請求はしてみたのだけれど、お断りされてしまったわ。「アンステレオタイプアライアンスの概要資料は、加盟をご検討いただける企業様にのみ、お送りしております」だそうよ。
ただし、「アンステレオタイプアライアンス」の綱領については以下のサイトで説明されていたから、和訳しておくわね。
UN Women日本事務局長の石川さんのインタビュー記事における説明では「ネガティブチェックではない」とのことだったけれど、上の説明では、「広告における有害なステレオタイプを終わらせる(to end harmful stereotypes in advertising)」「広告における偏見をなくすこと(the end of bias in advertising)を支持する企業や組織によって受け入れられ……」など、ネガティブチェックとも受け取れる表現が出てくるわね。
いや、どっちやねん。
とまあ、詳細は複数の別ルートで入手を試みている「概要資料」を待つとして。(入手できなかったらごめんなさいね。入手できたら報告するのだわ。)
こんな調子で、すべてが滅茶苦茶であり、支離滅裂であり、何もかもが破綻している論なワケよ。
こんなに内的整合性が取れない「意見」もかえって珍しいわ。
――しかし、私たちの治部れんげ准教授は諦めないわ!
助けて! よく分からん外国のサイト!
2022年4月20日、治部れんげ准教授は、なぜか英語ツイートをするわ。
続けて「日経広告への批判ポイントを的確に捉えた記事だと思います。」とツイート。どうやら英語圏のニュースサイトの記事の紹介みたい。
私は最初、「ああ、外国の人が、新しい難癖の付け方でも思いついたのかしらね?」と思ったんだけど――。
内容をチェックしてみると、ひたすらUN Women日本事務局長の石川さんと、治部れんげ准教授の主張を英訳しているだけだったわ。
じゃあ、「批判ポイントを的確に捉え」るのは不可能よ。
既に示した通り、両者の論は破綻しているのだから。どうしても現状を打破したかったら、いっそ全部なかったことにして、新しい着眼点から批判するしかない。それが出来ていない。
また、掲載媒体のUnseen Japanも、ぶっちゃけ質的に「まとめサイト」の水準あるいはそれ以下で、日本の俗流フェミニストの主張を英語で反復する機能しか持ってないわ。
英語になったら内容も立派だと思ってもらえるとでも?
それで騙せるのはごく一部の何も考えていない人だけよ。
この「悪あがき」としか言いようがない残念すぎる「学者」の姿勢に、さらに批判がヒートアップしているのが現状よ。
引き続き事態の推移を確認しつつ、広告表現における表現の自由を守るために、批判的検討を続けていくわ。
今回は以上!
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